物欲大王

忘れないために。

7/19アメリカン・バレエ・シアター「海賊」

2008年08月12日 21時55分48秒 | クラシック
2日前、母親から入電。
「7月19日空いてるよね?」と母。
「いや、その日はちょっと用事が入っている」と俺。
「あら、そうなの?だってお父さんの命日なのよ」と母。
え?あら。

俺。父親の命日を忘れる。

いや、正確に言うと「命日を覚えていなかった」のです。
すいません。人として最低です。

母によると、「当日家族が集まるので来い」との事。
そりゃそうだ。親父の命日である。家族が集まるのは当然だ。
当然というより、義務である。
「あ。でも、3時位までだったら大丈夫です」と俺。
当然、「夜に大事な公演がある」とは言えませんでした。
親父ごめんなさい。もう忘れません。命日は7月19日だということを。

1日前、会社にて。
ウチの会社は土日が休みの週休2日なのだが、まれに休日出勤になる場合がある。
「物欲君。19日は出勤可能?」と上司。
「すいません。19日は無理です」と俺。
普段ならば「分かりました」で済むのだが、頭数が足りないらしい。
「何か予定入っているの?」と食い下がる上司。
「そうなんです。ごめんなさい」と俺。
さらに尋ねられれば「親父の命日がありまして……」と答えたのだが「分かりました」と諦めた上司。
ホントすいません。その日は親父の命日なのだが、夜には上野の文化会館に行かなければならないのです。
実は夜がメインでして。

バレエ観に行くんです……
仕事サボって、父親の命日に中抜けして……
はい。そうですね。人間として最低ですよね。分かっております。
でも、観に行くんですバレエ。

だって今回観に行くのは
アメリカン・バレエ・シアター
の来日公演なんです。
簡単に説明するとアメリカン・バレエ・シアター(以下ABT)とはバレエ界のメジャーリーグ。スターダンサーばっかりのバレエ団。バレエなのに何処かハリウッドの香りがするのは俺だけか?
メンバー全員がCGなのかと勘違いするほどのテクニック。
いや、実際に勘違いしたのが動画サイトで発見したこの動画
海賊での鬼フェッテ。CGだよな?え?
演じているのはアンヘル・コレーラ。一発でファンになりました。
彼を生で観たいと思うのは人間として当然だよな。
で、タイミング良く来日公演の発表。
勿論、チケットをゲット!

チケット代金はウチの奥さん。いつもありがとう。
で、演目は「海賊」。コレーラ演じるのはアリ。
白鳥の湖を観たかったのだが、それは平日の公演。
残念だったが、アリの「海賊CGフェッテ」を生で観られるのだ!

公演前日、「楽しみだね」と妻と盛り上がる。
煙草を吸いにベランダへ。何気無くミクシィへアクセス。
トピック最新情報にこんな文字が。
アンヘルは怪我のため来日中止
おい!嘘だろ?
慌ててインターネットに繋ぎ、調査開始。
……事実らしい。

……現実らしい。

暫く凹む夫婦。

うわ。どうしよう。立ち直れねぇ。
とはいえ、ニーナ・アナニアシヴィリを観られるし、コレーラの代役はホセ・カレーニョである(これには妻が大喜び)。
コレーラの怪我は残念だが、それでもメジャー級の舞台が観られるのである。
「きっと良い舞台になるよ!」と夫婦で納得。

当日、夫婦で寝坊をしたので慌てて実家へ。
親父に線香を焚き、皆で寿司を共にし、ビールで乾杯。いや、献杯。
暫く談笑をし、実家を後にする事に。

電車に乗り、いざ東京へ。
いやぁ、酔った体に炎天下はキツイね。
酔いが醒めた頃、上野に到着。文化会館へ。

さあ、夢の始まりだ!

ヒロインのメドーラを演じるのが、ニーナ・アナニアシヴィリ。
妻の大好きなプリンシパルで、今回のツアーでABTを退団し故郷のグルジアに帰るらしい。
アリがホセ・カレーニョ。コンラッドはマルセロ・ゴメス。
演奏は東京ニューシティ管弦楽団。数多く演奏をこなしているだけに、巧い。

圧巻だったのが、ダンサー達の「ラインの美しさ」。
以前観たテレビで解説をしていたのだが、「体を美しく魅せるのに大切なのが45度のライン」だそうだ。
ダンサーを中心として手や足を伸ばす時に体のラインを「なるべく45度に近づける」とダンサーが一番美しく見えるのである。

ABTのダンサーは全員それが出来ていた。
キッチリと45度。基本が完璧なので、何をやっても美しい。
軸がブレるダンサーも少ない。
自由の国アメリカらしい派手なテクニックが目立つのだが、基本を疎かにしないのは意外だった。

さて、ニーナの感想を。
凄いね。この人。
どんなバリエーションでも「キッチリ」と決めてくる。
圧巻だったのが、ピルエット。
「止まりたくないの♪」とず~~~と回ってた。
「余裕なの♪」とクルクルと。
大神楽でいうならば「いつもより多く回しております」状態。

どちらかというと、派手なバレエを好む私。
今まであまり「グラン・パ・ド・ドゥ」で感動した事が無かった。
2幕でのマルセロ・ゴメスとニーナの演技でそれが覆された。
「静のバレエ」の美しさを感じ、本物の女性の美を魅せてもらった。
うぁ、愛人にしたいね。こんな人。
すっごく美しかったです。

一方の男性人も凄かった。みんなが「俺が凄いぞ」と。
とりあえず「アピール」。身体能力がハンパないね。

そんなこんなであっという間に終演。
カーテンコールではリフトで登場したり、ニーナが男性ダンサーに飛び乗ったりと大サービス。
どうもありがとう。
ブッシュは嫌いだけど、アンタ達は大好きだよ。

この記事を書いている現在、ロシアとグルジアが揉めて戦争になっている。
芸術を愛する人間として、とても心配である。

と、いうことで
親父の命日は7月19日。
忘れてはいけない。

※素人が書いた感想なので、ツッコミ所が満載だと思います。間違った箇所があれば、優しく指摘をしていただければ幸いです。


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