物欲大王

忘れないために。

今野敏「隠蔽捜査」

2010年05月04日 00時10分50秒 | 読書、書評
 主人公の竜崎は警察庁のキャリア官僚。
仕事は長官官房でマスコミ対策を行っている。
これが周りから「変人」とも呼ばれている程、堅物な男。
読んでいてもその「正義感」が気持ち悪い程だ。
ある日、社会を揺るがす連続殺人事件が発生。
やがて、重要参考人として一人の人間が浮かび上がる。
それはなんと現役の警察官。警察の信頼を揺るがす大事件である。
事件の隠蔽工作を試みる動きを察知した竜崎。
そんな事は許さない。
「余計に信頼が失われてしまう」と彼の「正義」の戦いが始る。
といった内容。

最初は主人公の「真面目っぷり」が嫌いで、家族からも疎まれているんだろうなぁと思っていたが、
後半には考えが変わった。やっぱり「真面目・正義感」って大事だよ。
最後の母さんもカッコ良い。読了後、爽快感が心を満たした名作である。
評価5★★★★★(5段階)

立川談春「赤めだか」

2010年05月03日 23時40分02秒 | 読書、書評
 いいねぇ。青春って。
懸命に過ごして来た者ほど、良い想い出になるんだよなぁ。青春って。
著者は立川談志のお弟子さんの談春さん。
まぁ、お弟子さんとは言っても、真打なので「師匠」なのだが。
さて、本書は著者が落語家を志し、談志師匠に弟子入りをしてから真打になるまでの
青春時代を描いた自伝。
師匠の「理不尽」に耐えながらも、懸命に学ぼうとする著者の青臭さがとても良い。
俺もこんな青春を過ごしたかったな、と自らの人生を後悔してしまった名著である。

山本兼一「雷神の筒」

2010年05月03日 20時31分05秒 | 読書、書評
 若き日の信長に鉄砲を指南し、最強の鉄砲衆を創り上げたと云われる橋本一巴。
残念ながら、記録には殆ど残っていないそうで、半分は著者のフィクションだそうだ。
のびのび描かれていて、とてもスケールが大きい作品。
歴史をもっと勉強していれば、さらに楽しめただろうと学生時代を後悔。
評価5★★★★★(5段階)