物欲大王

忘れないために。

角田光代「八日目の蝉」

2012年08月12日 08時07分58秒 | 読書、書評
2部構成。
1部は不倫相手の子供を「思わず誘拐」してしまった「希和子」の物語。
2部はその誘拐された子供「恵理菜」の物語。

不倫相手の家へ忍び込み、赤ちゃんを「見る」だけのつもりだった希和子。
だが、自分に笑顔をみせる赤ん坊を見て「思わず」連れ去ってしまう。
「薫」と名付け、一人で育てる決心をするのだが、それはれっきとした犯罪。
育児をしながらの逃亡生活が始まるのだが、それが実に健気なのである。
「子供が愛おしい」のが良く伝わり、俺も子供が欲しくなってしまった程。
最後まで、逃げ切って欲しかった。いやぁ、残念。

小説ならではの「良いお話」でした。

西村淳「面白南極料理人」

2012年08月12日 07時48分00秒 | 読書、書評
むさいおっさん達の南極冒険記。
平均気温マイナス57℃って環境での
唯一の楽しみが食事。
常識では考えられない環境で食事を作り、
大酒を呑みながら、飯を喰らう。
ワイワイガヤガヤと。
これが宇宙だとアカデミックな感じがするが、
南極の方が楽しいかも。いや、寒すぎる。
そんな事を考えながら読み終えた本書。

料理好きならもっと楽しめるかも。
堺雅人の様な人は出てきません。あしからず。


阿刀田高「旧約聖書を知っていますか」

2012年08月12日 07時00分41秒 | 読書、書評
アマゾンを眺めていると、本書「旧約聖書を知っていますか」をお勧めしてくれた。
そもそも「阿刀田高」って誰?と思いながら、その商品をクリックすると、
「~を知っていますか」はシリーズ物の様だ。

・旧約聖書を知っていますか
・新約聖書を知っていますか
・ギリシア神話を知っていますか
・コーランを知っていますか
・イソップを知っていますか

以上の5作品。

その時は興味が無かったが、ブックオフにて再会!
おお!これか!しかも100円!
しかも、「新約聖書を知っていますか」と
「ギリシア神話を知っていますか」もあるではないか!
この2冊も100円コーナーに!!!
全部で300円!著者には申し訳ないが許せ。これも運命。

ということで、本書。
わかりやすい。単に旧約聖書を「知りたいだけ」だったら、本書で十分である。

聖書を原作で読むのは結構な労力だ。
数千年前にヘブライ語で書かれ、それを現代日本語に無理矢理翻訳しているので、
辻褄が合わなかったり、かなり日本語が変なのである。
原版をそのまま日本語訳にしているので、それは仕方の無い事だが。
しかも、量がハンパねぇ。
先日読んだ「創世記」の他にも沢山あるのを最近知った。
これを原版で全部読んだ人が居たら尊敬出来る。

「旧約聖書を知っていますか」だけで、十分です。はい。


関根正雄訳「創世記」

2012年08月02日 17時45分58秒 | 読書、書評
宗教を学ぶのに何を読めば良いのか?
正解が分からないまま、宗教について書かれた著作を読み漁っていると、
とある記述があった。

「西洋音楽や絵画、オペラなどを嗜む人には一度でも旧約聖書を読むことをお勧めする」

ふ~ん。そうなんだ。「旧約聖書」ねぇ。
調べてみると面白い。
ユダヤ教にとっては「聖書」
キリスト教にとっては「聖書の上巻」のような扱い。
イスラム教にとっても何らかの関わりがあるそうだ。

ある日、古本屋にて三浦綾子の「旧約聖書入門」という解説本をゲットし、読んでみた。
なかなか面白い。神が一週間で世界を作った話から始まる。
いや、正確には6日間。さすがの神様も1日は疲れて休んだそうで、
それが現在の「休日」の始まりとなっているそうだ。

その後も、「アダムとイブ」の話や、「ノアの箱舟」の話など、
「なんとなく」聞いたことがあるストーリーが書かれていた。

好きになったのは「バベルの塔」と「アブラハムとイサク」の話。

語弊があるかもしれないが、神様って結構ぶっ飛んでいる。
我々人間が間違った事をすると、すぐリセットしようとする。
結構頑固者で、人間に窘められることもしばしば。

だが、リセットする時は容赦しない。人間が住んでいるにも関わらず、
町ごと焼き払ってしまう。「ドーン!」「はい。ドーン!」と。

ある日、アブラハムの前に神様が現れる。
そしてアブラハムに言った。「息子イサクを生贄にしなさい」と。
いやいやいや、何を言っているんだ神様。
しかし、神を信じるアブラハム。言われた通りイサクを殺そうとする。
おいおいおい。アブラハム。
そこに神の遣い手が登場。「止めなさい。君が神を信じているのが良く分かった」
人間を試すのも程ほどにしろ。神様よ。
なんか、ぶっとんでて良いなー。神様って。
この情景を描いたカラバッジョの作品が欲しくなった。

で、岩波文庫の「創世記」である。
う~ん。読みづらかった。
解説本だけども、十分かな?



中村明「センスある日本語表現のために~語感とは何か」

2012年08月02日 17時27分57秒 | 読書、書評
日本人の識字能力は凄い。最近そう思う。
日本語は「ひらがな」「カタカナ」「漢字」「アルファベット」で、
組み合わせて構成される言葉である。
何かの本で読んだが、漢字は「読み」が分からなくても、
「見た目」だけで理解できるそうだ。
そう言われるとそうだ。納得。

本書は日本語の「語感」をテーマに書いてある。
「語感」とは、その言葉についての印象のこと。

同じ意味でも使う言葉で印象が違う。
麗しき女性が「ご飯を頂く」と話せば、抱きたくなるが、
「めしを食う」と話すと、お里が知れる。

難しい言葉を知らなくても、様々なシチュエーションで、
適切な言葉を使う事が出来れば、「美しい日本人」になれるだろう。

そう感じた一冊。

太宰治「グッド・バイ」

2012年08月02日 17時14分18秒 | 読書、書評
古典はフォントサイズが小さく、しかも行間が狭いので読みづらい。
なので、その問題を解決すれば、読み手が増えるのではないだろうか?

そう思っていた矢先の本書。新潮文庫による文庫本。
フォントサイズ、行間共に最近の本の体裁なので、
読みやすく、すらすらと頭に入って来た。

だが、あまり記憶に残っていないのは何故か?
日を改めてじっくりと読み直そう。

石井光太「神の棄てた裸体~イスラームの夜を歩く」

2012年08月02日 16時51分14秒 | 読書、書評
イスラムの世界で「性」を語るのはタブーだと思っていた。
しかし、どの国でも「男と女」。
「性」を商売にしなければ、生きられない人達も居る。

本書は、そのイスラムの夜に鋭く切り込んだノンフィクションである。
知らなかったイスラムの闇の部分だったので、非常に興味深く読めた名作。

読了後、ネットの評価を閲覧。う~ん。賛否両論。
「出会った人々とのストーリーが出来すぎている」だそうだ。
そう言われるとなんとなく納得するが、まぁ、いいや。
面白かったから、万が一「作り話」でも良い。

「ノンフィクションって書き手が巧いとそれだけで名著になりますよね」と言った
同僚の女の子を想い出した。あの人は元気にしているだろうか?