物欲大王

忘れないために。

いとうせいこう・みうらじゅん「見仏記」

2012年04月29日 09時50分17秒 | 読書、書評
大好きな仏像を前にすると子供になってしまうみうらじゅん。
言動が面白い。自由だ。自由すぎる。
大好きなら何をしても良いのだ。
そもそも仏陀は偶像崇拝を禁じていて、われわれがそれを破っているのだから。

山本周五郎「ひとごろし」

2012年04月29日 06時49分23秒 | 読書、書評
「山本周五郎」って勤めていた会社の名前をそのまま使ったそうだ。

ということで、初の周五郎。
きっかけは松田優作の「ひとごろし」。時代劇もやっていたのね。優作さんは。
臆病な侍の話で、そんな彼が何故かヒットマンに志願する話。
松田優作のコミカルな面が前に出ていて、また観たい映画だった。

原作は同名タイトルで、短編集に収録されている。
見つけたら買おう。と近所の本屋を廻ったのだが、意外と置いていない。
勤務先に近い大型書店にも置いていない。何故?

久しぶりにアマゾンでお買い物。
すぐ到着し、しばらくしてから読み始めた。

落語みたいな「やわらかいストーリー」。
なんか雰囲気が良かった。

西村賢太「小銭をかぞえる」

2012年04月29日 06時34分08秒 | 読書、書評
週が始まる月曜日。外は晴れ。
お気に入りの作家の作品を持って電車に乗ろう。
のんびりと自転車を漕ぎ、駅へ向かう。
穏かな気持ちでボックス席に座り、本を開く俺。

失敗した。DV男の話だった。
もの凄くキチンと描いてあるDV男の話。
前向きな朝にしなければならないのに、後ろ向きな小説を読んでしまった。
ひどい。とにかくひでぇ。まぁ自分勝手な男で……

さすがの俺もドン引きした1冊。

池上彰「知らないと恥をかく世界の大問題」

2012年04月29日 06時25分09秒 | 読書、書評
遅かれ早かれ、世の中に興味を持つようになる。
新聞・テレビより深く掘り下げて勉強したい。
専門的に学ぶ前の入門編としてお勧め。
さすが、池上さんである。
要点を巧くまとめてあるので、頭にすらすらと入る。
久しぶりに内容を書き留めたいと思った。

集中しすぎて読了後眠くなり、昼寝をした一冊。

赤井三尋「翳りゆく夏」

2012年04月22日 07時35分21秒 | 読書、書評
他人の事を「お主(おぬし)」と呼ぶ珍しい上司がいた。
尊敬できる人だったが、お互いのリストラにより疎遠になってしまった。
本書で登場する刑事も「お主(おぬし)」と呼ぶ人。まさかと思った。
あの人はお元気だろうか?久しぶりにメールをしてみようかと懐かしさを覚えた一冊。

誘拐犯の娘「朝倉比呂子」が大手新聞社に内定。
それをすっぱ抜いた週刊誌の記事により20年前の誘拐事件が再び動き出す。
新聞社の社長から命を受け、再び取材を開始する窓際社員の梶。
一方、比呂子は好奇の目に晒されてしまうのを恐れ、入社を渋ってしまう。
やがて梶は、事件当時には居ないとされた首謀者の存在に気付く。
事件の真相は?比呂子は内定を受け入れるのか?
そんなストーリー。

若干ネタばれになってしまうが、ミステリー小説の「真犯人」は大体が2人目だ。
「容疑者」がいて、それを読者と共に追い詰めるのだが、大抵の小説が後半あたりで
その「容疑者」が無実だということが露呈する。
まず、そこで驚き、その後「真犯人」が登場し、さらに驚く。
「容疑者」と「真犯人」とのギャップが面白い小説の要素なのだが、
今回はそのギャップが大きすぎて、しばらく固まってしまった。
「信じられない。どういう事だ?」と。

最後は新聞社らしい終わらせ方。
「手記」で腑に落ち、「エピローグ」でほっとした。
人の就職活動を応援する気になったのは、心が豊かになったからか?
それとも、本書の読ませる力がそうさせたのか?
まぁ、両方だろうな。

浅田次郎「憑神」

2012年04月18日 23時38分52秒 | 読書、書評
映画の予告編が面白そうで原作本を購入。
途中まで読み終え、他の本に浮気をしてしまったのが計2回。
今度は電車通勤。一気に読んでやろう!
と、息巻いて読み始めた。

読破してやっと分かった。俺には難解だったのだ。
江戸時代後期の話で、当時の文化や生活が事細かに書かれているのだが、
何分勉強不足なので、ちんぷんかんぷんな所がしばしば。
休日に家で調べながら読めば、当時の情景が浮かんで楽しめるだろう。

そんなわけで理解度は低かったが、ざっくりと楽しめた。

佐々木譲「暴雪圏」

2012年04月14日 11時10分46秒 | 読書、書評
制服捜査の続編である本書。
派出所勤務の警察官である川久保巡査部長が活躍する警察小説と思っていたが、
群像劇だったのが、意外だった。
世の中、そんなに事件は起きないものだと、解説にも書いてあったがそりゃそうだ。

組長の家へ押入る強盗犯
出会い系で知り合った男と別れたい主婦
会社にある金を盗もうとたくらむ会社員
養父に犯されるのが嫌で家出をする女子高生
そして川久保巡査

登場人物一人ひとりの抱える闇のような部分が濃いので、
それぞれの登場人物に感情移入してしまう。
この先、どうなるんだろう?と思っていると、容赦なく舞台が変わる。
場面展開のテンポが速いのでページに釘付けになってしまった。

それにしても西田君。巧くいったのだろうか?

西村賢太「廃疾かかえて」

2012年04月08日 11時40分21秒 | 読書、書評
3編を収録。

同棲相手の秋恵が友人に貸した借金が原因で、喧嘩をしてしまう話。
同棲相手と古書探しにと旅行に出る話。
同棲相手が帰省し、せっかくだからと羽を伸ばす話。

3編目が特に面白い。
妻が居ぬ間に…というのは誰しも経験があるだろうが、主人公のそれは半端ない。
羽を伸ばしすぎで、全力でそれを止めさせたい程ハラハラする。
最後は大笑い。「こいつ馬鹿だなぁ」って。

西村賢太「二度はゆけぬ町の地図」

2012年04月08日 11時04分18秒 | 読書、書評
4編を収録。

彼女との同棲を目指し、バイトに励む話。
バイト先の「ムカつく奴」を殴ってしまい、留置所に入れられてしまう話。
家賃を滞納し、優しかった大家の老夫婦が豹変する話。
銭湯にて、と或る男の腋臭が臭い話。

貫太よ。ちゃんとしろ。そう思った。
面白いけど、読む覚悟が必要な作品。

西村賢太「人もいない春」

2012年04月08日 10時37分26秒 | 読書、書評
著者が作品の中で描く主人公は北町貫太という男。
まぁこいつがとことん「学ばない奴」で。
気に食わないとすぐって奴で。
反省とか、後悔とかは一応しているんだけど、
頭より、「手や口」が出てしまう。
貫太の言動にハラハラしながら読み進めるのが楽しい。

最後の編「昼寝る」では、同棲相手が風邪で苦しんでいる所から場面が始まる。
最初の数日は献身的に看病するのだが、その後は何か虫の居所が悪かったのか、
急に怒り出してしまう始末。気持ちの落差が激しすぎてこっちも困るよ貫太君。

今度は自分が風邪を引いてしまい、その苦しみから反省し、
相手に土下座をして誤る姿で物語は終わるのだが、
本気でほっとした。よ~~~く謝るんだ。貫太よ。

西村賢太「苦役列車」

2012年04月07日 09時28分18秒 | 読書、書評
2011年の芥川賞での受賞会見が話題になった西村賢太氏。
「面白い人だな」と全文が掲載されている文藝春秋を購入。
前半を数ページ読み、「すげぇ作家だな」と驚いた。
だが、日々のバタバタで読了まで到達しなかった。

2012年の受賞者は、職歴が無い田中さん。
「貰っといてやる」という会見がこれまた話題になり、
作品が掲載されている文藝春秋を購入。
田中さんの作品を読む前に、途中だった「苦役列車」を読んでみよう。
読了後、思った。「著者の他の作品も読みたい」と。

著者が描いているのは「私小説」というジャンル。
簡単に言うと「自分の事を書いた小説」で、読み手が共感できれば面白い。

作品の始まりが凄い。

「パンパンに朝勃ちした硬い竿に無理矢理角度をつけ、
腰を引いて便器に大量の尿を放ったのちには……」

すげぇな。この人。小説でまさか「朝勃放尿」の苦しみを読めるとは思わなかった。
俺もよくやるんだ。たまに失敗して床を汚しちゃうんだけど。
朝勃放尿の後も凄い。徹底的に自身の恥部をさらけ出す作風に驚愕した。
まるで「文学界のストリーキング」。尊敬に値する。

作品を読んで主人公に共感し、著者と友達になりたいと思った。
「俺の事を書いてくれている」本当にそう思った。
好きな作家が増える事は換え難い喜びである。

突然であるが、「朝勃放尿(あさだちほうにょう)」を新しい四字熟語にしようかと思う。
どの様な意味にしようか?思いついた。

「結果の可否に拘らず、必ず追行しなければいけない行い。」

ロイヤリティーは私まで。