物欲大王

忘れないために。

2009年3月1日Kバレエ「ピーターラビット&放蕩息子」

2009年06月18日 12時52分45秒 | クラシック
前回の更新から大分経ってしまった……
まあ、とりあえず元気です。

昨年の年末だったと思うが、Kバレエからハガキが到着。
3月の公演の案内だ。
読んで驚いた。な、なんと!
ピーターラビットをやるそうだ。
……まったく
何処へ行くんだ?Kバレエ

全く知らない作品ではなかった。
2~3年前に妻が見つけたYou tubeの動画。
そこに写っていたのはウサギの着ぐるみを着たダンサー。
「脳内メーカー」では頭の中が「H」で埋め尽くされている俺だが、その時は「?」でいっぱいだった。
「修行?」「着ぐるみでこんなハードな事やると死ぬぞ?」など様々な想いが頭の中を駆けめぐる。
タイトルは「ピーターラビット」とある。ビアトリクス・ポターのあれか?
その後、妻がネット経由でDVDを購入。
が、リージョンコードが違っていたので、再生不能(パソコンではOK)……
買ってきたのは、奥さんなのに、軽くキレる俺。ちっちゃい男である。
しゃくなので、某ルートで解決してもらい、早速再生。
おお!確かに踊ってる!!ウサギを筆頭に、カエルやら豚さんやら……
やっべ、「カワイイ」。なんか悔しいけど、実にカワイイ。
着ぐるみの完成度が高いのが理由かなぁ?
まるで、ディズニー映画を観ている様だった。
でも、ディズニーはやらないな。こんなチャレンジ。
ミッキーのグランフェッテは一度観てみたい。絶対やらないけど。

一体、ダンサーにこんな事をさせるのは何処のバレエ団だ?とパッケージを確認。
with DANCERS OF THE ROYAL BALLETとある。
英国ロイヤルバレエ団。イギリス皇室お墨付きらしい。
いいんですか?ホントにいいんですか?
振り付けはFREDERICK ASHTONと書いてある。貴様かアシュトン!
俺がもしダンサーで、「今度の衣装はコレね♪」ってウサギの着ぐるみを渡されたら、そいつをコンクリートに詰めて沈めると思うが。

そんな「ピーターラビット」を今度はKバレエがやるそうだ。
10分ぐらいフリーズしたのは言うまでもない。
熊川哲也はロイヤルバレエの出身で、自信もこの作品を踊ったことがあるそうなので
この作品を日本に持ち込むのは自然な流れなのだろうが……
ドSなのか?コリオグラファーって?
いつも公演当日まで「楽しみ!」という気持ちでいっぱいなのだが、今回だけは「たのむから死なないでくれ」という想いが強かったのは言うまでもない。
そんな心配な気持ちを胸に渋谷のオーチャードホールへ。
席は一番前。なんかすいません。

因みに公演は2部構成で、一部にはバランシンの「放蕩息子」。
妻は観たことがある作品だが、俺は今回が初めて。
いわゆる「現代バレエ」で、難解かと思われるがストーリーがしっかりしているので、楽しめる作品になっている。
ストーリーを一言で表現すると「バカ息子」。
ごめんなさい。バランシン。
今回はその「バカ息子」もとい「放蕩息子」を熊川哲也が演じる。
ケガから復帰したばかりなので、こちらも心配。大丈夫か?

客席が暗くなり、指揮の井田勝大氏登場!
「う~ん」という唸り声と共に振られるタクト。
おお!格好いいぞ!マエストロ。

ん?あれ?
なんかオケ巧くね?
オーケストラとしては弱冠コンパクトなのだが、重厚な音がする。
プロコフィエフの作品をよくここまで鳴らす事ができるなぁと感心。
とくに金管が頑張っているなぁ。いや、張り切っているという印象。
オーケストラが急に覚醒する時があるが、まさにそれが「今」なのだろう。
弱冠、苦手な作曲家なのだが、この舞台では音楽に「包まれて」鑑賞できた。
ありがとうマエストロ井田。

さて、バレエである。
ストーリーを簡単に。
ある1軒の家がある。父と姉妹、そして放蕩ぐせの抜けない息子の4人暮らし。
父は子供たちに諭す「3人で仲良く力を合わせなさい」と。
姉妹は素直に従うが、問題は息子である。
今日も召し使い達とどこかへ遊びに行ってしまった。
「俺は自由だ!」と言わんばかりに……

街(?)へ繰り出す若者達。
そこで、9人の奇妙な男達とそれを率いる絶世の美女サイレーンと出会う。
次第にうち解け、仲良くなるが、実はサイレーン達は若者を騙す為にやってきたのだ。
身包みはがされる若者。悲しいことに召使い達もグルだった。
もう何も無くなってしまった。身も心もボロボロになった若者は想った。
「ウチへ帰ろう」と。
重い足を引きずりながら、やっと家に帰ると姉妹が迎えてくれた。
やがて父の姿も。若者は父に抱き抱えられながら、温かい我が家へ帰るのであった。

なんか違っていたらごめんなさい。

主人公である若者は、日頃から溜まっている鬱憤を放出するかの様に、ジャンプしたり回ったりと、「元気が溜まりすぎてる」振り付けが特徴。
演じる熊川はケガから復帰したばかりで、また踊れる喜びも重なり「ハラハラ」するくらいの「バカ息子」っぷりかと思ったが、意外と優等生。
いや、決して「弾けていない」わけではない。
巧いのだ。まぢで。
ジャンプし、着地しても軸がぶれない。
ピルエットしても軸がぶれない。
さすがである。見ていてもハラハラしない「バカ息子」。ちょっとシュールである。
橋本直樹バージョンでも観たかったな。若くて元気が良いのでこちらは「ハラハラ」するだろうか?
観たかった「立てかけたテーブルの角に昇り、大西ライオンの様に叫ぶ(実際には叫ばないが)シーン)」と、「父親に昇り、そのままの状態で家に入るシーン」が生で観られたのは感動。
※後者のシーンの説明が理解できなかったと思いますが、DVDをご覧になって下さい。
しかし、父ちゃん格好良かった。まるで、神様。
ああ、そうか。バランシンは「親は神様なのだ」と伝えているんだね。なるほど。

1部が終了し、コーヒーブレイク。
タバコを吸い、2部へゴー!

正式名称はピーターラビットと仲間達。
異なる6つのストーリーの小作品で構成されるらしい。
そりゃそうだ。着ぐるみで70分も踊ればキツイ。
「舞台の上で死ぬのが本望です」というダンサーも居るだろうが、観客はそれは観たくない。
因みに基となる6つの絵本のタイトルは以下の通り。
「ティギーおばさんのおはなし」
「あひるのジマイマのおはなし」
「こぶたのピグリン・ブランドのおはなし」
「ジェイミー・フィッシャーどんのおはなし」
「2ひきのわるいねずみのおはなし」
「りすのナトキンのおはなし」
以前、子豚の着ぐるみを着たダンサーが踊っていたCMがあったが、それは「こぶたのピグリン・ブランドのおはなし」。

指揮は「ドン」福田一雄氏。重鎮である。
子供向けなので、絵本そのままでウィットに富んだ作品。
むしろ大人の方が喜んでいたかも。着ぐるみ?の完成度が高いので、まぢで「カワイイ」。
いや、もしかすると剥製かもしれない。
それを着て踊るのだから、死人が出るか?と思われたが、結構普通で驚いた。
心配したのが、無駄だったようだ。ダンサーはキツかっただろうが。
で、バレエはどうだったって?
楽しかったに決まってるじゃん
ディズニーランドより楽しいよ。時代はネズミよりもウサギだね。
着ぐるみを着ているので、手の表情やポワントワークが強調されたので、その意外性も楽しめた。
全然、人間臭くないので、動物園に居るかの様だった。
ラストで、登場したキャラクターが一同に集まるシーンがあったのだが、その時には皆が「カワイイ」と大絶賛。
うん。可愛かった。認めよう。

終演後、カーテンコールが鳴りやまない。
本当に心からの拍手だろう。皆、ニコニコしているもん。
暫くすると指揮の福田氏登場。汗で背中がびっしょりだった。
指揮者も大変だった様ですね。お疲れさまでした。
つか、まぢカーテンコールが止まらない。
いいかげん、時間制限しようよ。手が疲れるんだって。


その後、近所のペットショップでウサギを鑑賞するのが日課になってしまった。

ああ、バカ夫

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