ポーランドからの報告

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ヨハネ・パウロ2世ゆかりの地を歩く ③ ヴァドヴィツェの人々

2006年09月14日 | ヨハネ・パウロ2世

ヴァドヴィツェの人々は、ヴァドヴィツェ出身であること、そしてカトリック教徒であることにとても誇りをもっています。

かつて共産主義時代、ソ連(ロシア)の経済支配に苦しめられていたポーランド人にとって、ローマ法王がポーランド出身であるということは、非常に誇らしいことでした。ロシア人とポーランド人は同じスラブ民族ですが宗教が異なり、ロシア人は東方ロシア正教を信仰しています。そのためポーランド人にとって、カトリック教徒であることは民族のアイデンティティそのものであり、その総本山のバチカンに君臨するローマ法王が、ポーランド人の、そしてヴァドヴィツェ出身の法王であるということは、カトリック教徒としてなによりの誇りでした。

  
  

そしてポーランド人にとって、ヨハネ・ パウロ2世はカトリックのシンボルであるとともに、東欧民主化運動のシンボルでもあります。80年代のポーランド民主化運動を支持したのが、ヨハネ・ パウロ2世まさにその人であるからです。1979年の第一回目ポーランド凱旋の際、ヨハネ・ パウロ2世は、ワルシャワのピウスツキ広場に集まった聴衆に向かって Nie lękajcie się (恐れてはいけない) と呼びかけ、当時ソ連による共産主義支配の絶望の中にいた人々に希望を与えました。このヨハネ・ パウロ2世の呼びかけでポーランド人は目を覚まし、その4ヵ月後には、ワレサ氏を中心とした「連帯(Solidarność)」運動がおこり、民主化への道を歩むことになったのは、いまだ記憶に新しいところです。

それゆえヴァドヴィツェの住民は 「すべてはこのヴァドヴィツェの街から始まったのだ」と「連帯」発祥の地グダニスクに加え、ヴァドヴィツェこそが20世紀のポーランドそして東欧の民主化の歴史の原点なのだとの誇りを持っているのです。


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