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ポーランドからの報告

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修復工事 III

2007年01月21日 | こぼれ話

一昨年から昨年にかけては、クラクフ旧市街のかなりの部分が修復リニューアル工事中でした。とりわけフロリアンスカ通り、中央広場のあたりにかけては、どこを見渡しても一面工事中で、しかもクリスマスや年末年始の休暇には、重機などの作業道具をほったらかしで長期休暇に入ってしまったものだから、もはやただの工事現場。この時期にクラクフを訪れた人は大変気の毒だったと思います。

   

フロリアンスカ通りのリニューアル工事は、アスファルトだったのを石畳にかえる工事でした。かつて中世に「王の道」であったフロリアンスカ通りを始め、旧市街の道路は、そもそも造られた当初は石畳だったのですが、その後共産主義の時代に、石畳は無駄な贅沢ということで、すべてアスファルト舗装されてしまいました。

   

たしかに中世の技術で作られた石畳の道路は、自動車で走ることを想定していませんので、自動車で走ると、気分が悪くなるくらいがたがたに車体が揺れてしまうし、乳母車や車イスの人にも不便だったと思います。しかし一方でアスファルト舗装の道路は、使い勝手ということでは抜群によいのですが、まったく趣きがありません。ということで、昨年あたりから、再び石畳にもどす大規模工事が行われたのです。石畳といっても、平らで自動車の走行も考えた、最新式のものです。

このリニューアル工事で、フロリアンスカ通りは見違えるようにきれいになりましたので、とても有意義な工事であったと思いますが、なにせ夏のバカンスのシーズンまで永遠と作業が長引いてしまいました。ガイドブックを見ると「クラクフのメインストリート」と紹介されているフロリアンスカ通りが、ショベルカーや工事の赤いコーンが並ぶ風景では、 「パリ症候群」 になってしまうのも少しわかるような気がしました。(写真は去年夏に撮影されたもので、現在はフロリアンスカ通り自体の工事は終了していますので、ご安心ください。)

   

中央広場の方は、遺跡の発掘調査が行われていました。こちらも工事の入札の段階からだらだらと予定よりも後ろ倒しになり、いつ終わるのか心配でしたが、昨年5月のローマ法王ベネディクト16世のクラクフ訪問が決まったことで、調査もそこそこに、急遽大慌てで敷石を詰めなおすことになってしまいました。当然、遺跡調査チームの方からは、もう少し調査を継続した方がよいという声があり、結局あれから一年以上たった現在でも、織物会館(写真のクリーム色の建物)周辺の敷石がまだしかれていません。クラクフへいらっしゃる観光客の方は、今しばらくご辛抱ください。

つづく


ポーランドからの報告


修復工事 II

2007年01月20日 | こぼれ話

写真のスウォヴァツキ劇場は、クラクフ旧市街の北部、中央駅付近の聖霊広場(Plac Św. Ducha)にあるバロック式の劇場です。1893年建設されて以来、ポーランドを代表する演劇やオペラが上映されており、「文化の都クラクフ」にふさわしい建物です。

ただ写真をよく見ると、同じ建物の正面と後ろの方の部分がやけに白く、前の方が黄色とまだらになっています。(写真は側面部から撮影したものです。)実はこれ、もともと建築当時はアイボリー色だったのですが、建築から百余年をへて色あせ黄色になってしまい、そのため昨年あたりからペンキの塗り替え工事が行われているのです。しかしなにぶんその工事のペースが遅いため、一部がアイボリー、残りが黄色のままのおかしな体裁になっています。

  

ポーランドでは、修復は可能な限り長引くのが慣例となっています。もちろん工事着工の際に、○月○日までに完了、という契約を交わすのですが、その期限ぎりぎりまで伸びることも。写真のスオヴァツキ劇場も、見るたびにアイボリーの部分が広がっているので、工事は継続しているようなのですが、それにしても、もう一年以上もまだらの状態が続いています。

つづく


ポーランドからの報告


修復工事 I

2007年01月19日 | こぼれ話

古くからの街並みが残る、ヨーロッパの旧市街。歴史を感じさせる趣きのある建物は、とてもロマンチックですよね。といっても建設着工から百余年を経ると、建物も傷んできますので、修復が必要になってきます。とくに外面の色落ち、レンガの張替え、彫刻の修復など、定期的に手を加えないと、町並みが色あせてきます。そういうわけで、建物の修復作業はヨーロッパでよく見られる光景となっています。

  

景観を第一にするヨーロッパでは、中央広場や王宮前など旧市街の観光地で修復工事を行う場合には、細心の注意を払います。たとえば建物外面(ファサード)の修復作業では、外面に足場を組んで作業をするわけですが、足場を覆う幕に建物の窓の模様を施したものを使うなど、工事中であることがわかりにくくする工夫がされています。

   
   

また最近では、この足場をおおう幕に広告のついたものをよく見かけるようになりました。上の写真左側の建物、遠くから見るとただの普通の建物のように見えますが、近くで見てみると、建物の真ん中に、赤い手のひらのマークがついています。これもやはり修復工事の足場を覆う幕に広告を施したもので、赤い手のマークは、携帯通話会社ヘイヤHey-ya!のロゴなのです。Hey-Ya は通話会社の中では、後から参入したほうですが、積極的なCMキャンペーンなどで、どんどん加入者を増やしている会社です。ただこの中央広場の広告は、赤い手のロゴがとても奇抜なことから、「景観を壊すのでは」と賛否両論あったようです。(写真は2年前のものですので、現在はこの広告は見られません。)

つづく


ポーランドからの報告