ポーランドからの報告

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一味違った旧市街観光

2007年04月21日 | 日常生活

天気もよいことだし、馬車で旧市街をのんびり一回りしてみるなんていうのも、贅沢な旅の楽しみ方だと思います。中央広場からグロツカ通りをヴァヴェル城下まで行き、中央広場まで折り返すコースで、30分程度で100zl(約4500円)です。4~5人ほどで相乗りすれば、そんなに高くないと思います。

  

ところで今日は、クラクフ中央広場を中心に、ゲイパレードが開催されました。そしてゲパレードに反対する団体のデモ行進も同時に行われ、警察の機動隊が出動、逮捕者も出る騒ぎになりました。不運にも事情を知らずにその場に居合わせてしまった旅行者の方は、あまりの騒ぎにビックリされたことと思います。

ポーランドでは、いわゆるスキンヘッドの様相をした保守カトリックの若者が、同性愛はカトリックの教えに反するとしてゲイパレードの類を嫌悪しています。ポーランド国内で過去に別の都市で行われたゲイパレードでも、反対派が罵声を浴びせたりゲイパレード参加者に暴力を振るうなどして、警察が出動する騒ぎになっています。今日のパレードでも、数名の逮捕者が出ました。テレビのインタビューで、ドイツ人の参加者が、「ドイツではゲイパレードはお祭りなのに、ポーランドではいつも警察沙汰になってしまう」と嘆いていたのが印象的でした。

ポーランドからの報告


ポーランドの綿菓子屋さん

2007年04月20日 | レストラン・ショップ

初夏になると、街の広場に綿菓子屋さんが出現します。

私の中で綿菓子(わたがし)・綿飴(わたあめ)というと、お祭りの縁日で食べるお菓子のイメージがあったので、ポーランドに来て初めて綿飴を見かけたときは、すごく驚きました。卵やバターなどを使わず砂糖だけで作るというシンプルさが、かき氷みたいで、日本の伝統的なお菓子だと、勝手に思っていました。 でも調べてみたら、綿菓子製造機はもともとアメリカ人が発明したもので、綿菓子も世界中で人気のお菓子のようです。

  

ところでここでトリビアねたをひとつ。綿(わた)は、ポーランド語でも Wata なのです。ただポーランド語表記で W は英語の V の音ですので、ワタではなく、ヴァタと発音します。なのでわた飴は、ヴァタ・ツクローヴァ Wata cukrowa と呼ばれています。

ポーランドからの報告


ポーランドがユーロ2012開催地に決定 1

2007年04月19日 | イベント

昨日4月18日、サッカー・ヨーロッパカップ・UEFA EURO 2012 の開催地の最終選考会が行われ、ポーランド・ウクライナの共同開催が決まりました!もちろん今ポーランドはこの話題で持ちきり!今日も朝から新聞でテレビでEURO 2012 の話ばかりです。

  

2012年開催のサッカー欧州選手権の開催地選考は、ポーランド・ウクライナ(共催)、イタリア、クロアチア・ハンガリー(共催)が最終選考に残っており、昨日18日、ウェールズのカーディフで開かれた最終選考会にて、ポーランド・ウクライナが過半数の8票を獲得して、最終的に開催地に選ばれました。またこの最終選考をうけて、ポーランドは開催国としてEURO2012への出場権をも獲得しました。

  

これまでメディアなどでは、イタリアが有力視されていたため、今回のポーランド・ウクライナ共催決定は、各国で驚きをもって受け止められました。最終候補地の中でもポーランド・ウクライナはとくに鉄道や高速道路などのインフラ未整備を厳しく指摘されていたからです。加えてウクライナは国内政治が不安定、また最近ポーランドサッカー界でも試合買収に関する一大スキャンダルが発覚していました。しかしこれらの難問を跳ね除けて、今回、ポーランド・ウクライナが見事候補地に選ばれました。

それにしてもポーランド各地でのフィーバーぶりはすごいもの。とくに最終選考の結果発表のシーンで、UEFAのミシェル・プラティニ会長が、封筒から「ポーランド・ウクライナ」と書かれた紙を取り出す写真のシーンは、昨日だけでテレビで30回くらい見させられました。(写真はポーランドの新聞Gazeta Wyborcza ですが、ポーランド・ウクライナ共催決定を受けて、裏表紙がウクライナ語でのタイトルになっていました。)

ポーランドからの報告


ポーランドにやってきた新たな移民

2007年04月17日 | 政治・経済

すっかり夏になってしまったポーランドです。オープンカフェに座って、のんびりと粋なひと時を過ごして.. なんていかにもヨーロッパのバカンスといった感じでとても素敵ですが、、実は厄介な問題もあったりします。

何かというと、、、例えばクラクフ中央広場のオープンカフェでお茶を飲んでいると、10分もするとジプシーの一群がやってきて、アコーディオンで演奏を始めたり、カードやお花を買ってくれとせがみ始めるのです。お金を上げない限り頑として動こうとせず、逆にお金を払ってしまうと、次から次へと新しいグループを連鎖的に呼ぶことになり、きりがありません。お金をあげても額が少ないと、はたかれることもあります。特にヨーロッパ人観光客だらけの中で、日本人客は目立つので、すぐにつかまってしまいます。

  

ポーランドも国内にジプシー人口を抱えており、ジプシーによるこういった迷惑行為は、以前から問題になっていましたが、クラクフ市警察によれば、重ねて今年1月にルーマニア・ブルガリアの二国が欧州連合(EU)に新規加盟してから、これらの迷惑行為が目立って増えたと報告されています。

実はルーマニアはその人口の約10~20人に1人がジプシーです。これが非常に厄介な問題で、EU加盟国内ではビザなしで自由な移動が可能なため、ルーマニアのEU加盟以降、ルーマニア国籍のジプシーが、西側からの観光客が多く容易にお金が稼げるポーランドやチェコなどに大量に流出しているのだそうです。当初、言語習得の容易さなどから、EU加盟後、ルーマニア人は、イタリア、フランス、スペインに、ブルガリア人はスロベニアやギリシャに流れるものと予想されていましたが(実際にこれらの国では新規の移民が目立って増加しました)、しかしよく考えてみれば、アコーディオンやバイオリンを弾いてお金をもらうジプシーにしてみれば、現地言語習得の必要はないわけで、これら二国のEU新規加盟以来、ポーランドでも、とりわけルーマニア国籍のジプシーが流入したことに起因すると思われる迷惑行為が、急増しているそうです。

もちろん道端で音楽を奏でたり、花やマスコットを売りつけたりしてお金を取る行為は違法労働にあたるため、警察の取り締まりの対象になりますが、今のところ、パトロールを強化するぐらいしか対策はないそうです。というわけで、あまりにも迷惑行為に遭遇することが多かったら、オープンカフェなど人目につく場所は避けて、店内でゆっくり休むのも得策かもしれません。

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ポーランド人とカトリック ②

2007年04月15日 | 政治・経済

今日4月15日は、カトリックの祝日。クラクフの街は、街南部の巡礼地ワギャヴニキ(Łagiewniki) に集まった世界中からの大勢のカトリック信者でごった返しました。サンクタリウム・ボジェゴ・ミウォセルジャ(Sanktuarium Bożego Miłosierdzia) にて行われたミサでは、クラクフ教区のスタニスワフ・ジーヴィシュ大司教が、命の大切さ、とりわけ妊娠中絶に反対する姿勢を訴えました。

折りしもポーランドでは、中絶を一切認めないように変更する憲法改正案が否決されたばかり。それに抗議する形で、マレック・ユレック下院議長が辞任・PiS党脱退を表明する騒動に発展しています。

そもそもポーランドでは、現在の時点で、いくつかの例外事項を除き、原則として妊娠中絶は認めていません。この例外事項というのは、
  1.妊娠継続により、母体に危険が及ぶ場合
  2.子供に発育異常が認められた場合
  3.犯罪行為により妊娠が成立した場合
のケースで、これらの場合に限っては、現行の法律でも中絶を認めています。

今回の憲法改正案は、中絶を「いくつかの例外を除き、原則認めない」という現行の案から、「いかなる条件であろうとも認めない」へと改正しようとしたものです。右派カトリック政権である与党「法と正義(PiS)」主導で進められていた今回の法改正案は、「命の大切さ」を説くカトリックの教えに基づき、いかなる命の根も摘んではならないとの見方から、妊娠中絶はいかなる場合も認めないように法律を改正しようとしたものです。しかも事前の準備段階では、法改正できるとの大方の見込みがあったようなのですが、それがいざ票決してみたら否決されたため、「法と正義(PiS)」党員の中にも反対票を投じたものが多数いる、つまりPiSが内部分裂しているとの見方もあります。

世論調査では、ポーランド国民、とりわけ女性の多くが、今回の法改正案に反対でした。ですので今回の国会での否決を受けて、今ポーランド人女性の多くが、まずはほっと胸をなでおろしているところカも知れません。しかも、現行の「いくつかの例外を除き、原則として妊娠中絶を認めない」状態も、実際には、望まない妊娠を希望しない女性が国外の病院で中絶手術を受ける例が後を絶ちません。また数年前の一時期、オランダの「妊娠中絶船」なるフェリー形の移動病院がバルト海に停泊し、中絶手術を希望する女性が集まるなど、社会問題化していました。それを法律を改正してさらに条件を厳しくしたら、ますますこの手の裏ビジネスがはびこるであろうことが懸念されています。

ちなみに今後国会で審議予定の議題として、「離婚を一切認めない」という法改正案もあるとかで、掛け金がはずれたかのごとく極右カトリックへと暴走していくポーランド政界の動きに、今後も注目していきたいと思います。

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