昨日は、「社会保障番号」について書いたので、関連する「社会保障カード」について考えてみたい。
社会保障カードは、被保険者証の機能を合わせ持ったICカードで、医療機関などで社会保障カードをICカードリーダーにかざすと「医療保険証」となり、社会保険事務所では「年金手帳」になる。ICカードの中には大したデータは格納されておらず、「中継データベース」を通して、保険者がもつデータを取りに行くという構想である。
社会保障カードだけではインパクトが弱いので、IT戦略本部が検討を進める「国民電子私書箱(仮称)」のアクセスキーとして使うことが想定されている。例えば、自宅のPCにICカードリーダーを付けて社会保障カードをかざせば、医療保険者に蓄積される特定健診・特定保健指導の結果や年金の納付記録が表示されるというものである。
社会保障カードは、どうみても、ほとんど普及していない住民基本台帳カードの構想の焼き直し(失敗隠し)だし、国民電子私書箱の構想は、長妻大臣が「年金通帳」の構想を打ち出した時点で先が見えなくなってしまった。
旧聞になるが、財務省が公開している「平成21年度第1次補正予算にかかる事業のうち執行を見直す事業」をみると、内閣府の事業「国民電子私書箱(仮称)・次世代ワンストップサービス関連事業」の全額が執行停止・返納見込となっている。現政権に「不要不急の事業」と位置づけられたならば、今後の予算化と推進は難しくなるだろう。
財務省
平成21年度第1次補正予算にかかる事業のうち執行を見直す事業
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h21/sy211016_b.pdf
日経ニューメディア
[速報]総務省補正予算の見直し,携帯,クラウドなど情報通信関連の削減額判明
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091016/338944/?ST=govtech
国民がインターネット経由で証明書発行や行政の手続きができるシステムの構築を目指す「国民電子私書箱関連ネットワーク基盤確立事業」(予算30億円),「新しい公的個人認証システムの開発実証」(予算77.9億円),「情報通信研究機構における省エネルギー対策推進」(予算35億円),地上テレビジョン放送のデジタル化によって空くVHF帯の一部を使う自営通信の「公共ブロードバンドシステムの早期導入のための実証実験」(予算19.3億円)は全額削減された。
このブログで紹介したように、社会保障カードの実証事業は、規模を縮小して実施に移されるようである。しかしながら、社会保障番号の議論を避けるために、「社会保障カード番号」を使おうなどという中途半端な構想では、国民電子私書箱と同じ運命を辿りそうである。
厚生労働省
社会保障カード(仮称)の基本的な構想に関する報告書について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/s0125-5.html
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/03/02.html
IT戦略本部
電子私書箱(仮称)構想の実現に向けた基盤整備に関する検討会
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/epo-box2/index.html
もし、現政権により、社会保障カードと国民電子私書箱の構想が中止されるならば、「国民が1人1枚のICカードを持ち、インターネットを使って、自宅から行政のホームページにアクセスし、何らかの手続きをする」という構想が、なぜ国民に受け入れられなかったのかを振り返り、研究=壮大な社会実験の成果として後世に残すべきである(もちろん、住民基本台帳カードを含めて)。
個人的な印象だが、日常生活をおくる上で、「国に申請しなければ」と思うことはないので、そもそもの電子政府・電子自治体のニーズがない。ニーズがないのだから住民基本台帳カードや公的個人認証は要らない。ゆえに特別なハードウェア=コストが要らない仕組み(ITシステム)にすべき、ということだろう。
被保険者証をカード化するとしても表面に2次元バーコードを印字すればよい。社会保障カードは、それで十分である。
社会保障カードは、被保険者証の機能を合わせ持ったICカードで、医療機関などで社会保障カードをICカードリーダーにかざすと「医療保険証」となり、社会保険事務所では「年金手帳」になる。ICカードの中には大したデータは格納されておらず、「中継データベース」を通して、保険者がもつデータを取りに行くという構想である。
社会保障カードだけではインパクトが弱いので、IT戦略本部が検討を進める「国民電子私書箱(仮称)」のアクセスキーとして使うことが想定されている。例えば、自宅のPCにICカードリーダーを付けて社会保障カードをかざせば、医療保険者に蓄積される特定健診・特定保健指導の結果や年金の納付記録が表示されるというものである。
社会保障カードは、どうみても、ほとんど普及していない住民基本台帳カードの構想の焼き直し(失敗隠し)だし、国民電子私書箱の構想は、長妻大臣が「年金通帳」の構想を打ち出した時点で先が見えなくなってしまった。
旧聞になるが、財務省が公開している「平成21年度第1次補正予算にかかる事業のうち執行を見直す事業」をみると、内閣府の事業「国民電子私書箱(仮称)・次世代ワンストップサービス関連事業」の全額が執行停止・返納見込となっている。現政権に「不要不急の事業」と位置づけられたならば、今後の予算化と推進は難しくなるだろう。
財務省
平成21年度第1次補正予算にかかる事業のうち執行を見直す事業
http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/h21/sy211016_b.pdf
日経ニューメディア
[速報]総務省補正予算の見直し,携帯,クラウドなど情報通信関連の削減額判明
http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20091016/338944/?ST=govtech
国民がインターネット経由で証明書発行や行政の手続きができるシステムの構築を目指す「国民電子私書箱関連ネットワーク基盤確立事業」(予算30億円),「新しい公的個人認証システムの開発実証」(予算77.9億円),「情報通信研究機構における省エネルギー対策推進」(予算35億円),地上テレビジョン放送のデジタル化によって空くVHF帯の一部を使う自営通信の「公共ブロードバンドシステムの早期導入のための実証実験」(予算19.3億円)は全額削減された。
このブログで紹介したように、社会保障カードの実証事業は、規模を縮小して実施に移されるようである。しかしながら、社会保障番号の議論を避けるために、「社会保障カード番号」を使おうなどという中途半端な構想では、国民電子私書箱と同じ運命を辿りそうである。
厚生労働省
社会保障カード(仮称)の基本的な構想に関する報告書について
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/01/s0125-5.html
http://www.mhlw.go.jp/seisaku/2009/03/02.html
IT戦略本部
電子私書箱(仮称)構想の実現に向けた基盤整備に関する検討会
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/epo-box2/index.html
もし、現政権により、社会保障カードと国民電子私書箱の構想が中止されるならば、「国民が1人1枚のICカードを持ち、インターネットを使って、自宅から行政のホームページにアクセスし、何らかの手続きをする」という構想が、なぜ国民に受け入れられなかったのかを振り返り、研究=壮大な社会実験の成果として後世に残すべきである(もちろん、住民基本台帳カードを含めて)。
個人的な印象だが、日常生活をおくる上で、「国に申請しなければ」と思うことはないので、そもそもの電子政府・電子自治体のニーズがない。ニーズがないのだから住民基本台帳カードや公的個人認証は要らない。ゆえに特別なハードウェア=コストが要らない仕組み(ITシステム)にすべき、ということだろう。
被保険者証をカード化するとしても表面に2次元バーコードを印字すればよい。社会保障カードは、それで十分である。