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税制と社会保障制度の一体的な改革に向けて

2009年10月24日 10時39分42秒 | ベーシックインカム
このブログでは、社会保障制度をいかに改正するかについて考え、改正の方向性が示されたら、それがどのような意味を持つのかを考える場として立ち上げた。政権交代により、日本の社会が大きく変わるかもしれないとの思いからである。
しかしながら、ベーシックインカムの導入による「税制と社会保障制度の一体的な改革」の可能性を考えるためには、新たな領域について相当に勉強しないと、まともに議論できそうにない(昨日のコメントに触発されたこともあり、私なりに考えていきたい)。

そこで、今回は、「納税者番号制度」について調べてみたい。

財務省のホームページに、「納税者番号制度に関する資料」が掲載されている。

財務省
納税者番号制度に関する資料(平成21年4月現在)
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/siryou/nouzei.htm

わかりやすい資料が、「納税者番号制度のしくみ」と「納税者番号制度として求められる基礎的条件」である。
簡単にいえば、全ての国民に「納税者番号」を付与し、納税申告書と情報申告書にその番号を記載する。そうすることで、税務当局は、番号を使って機械的に名寄せできるようになる。もちろん、そのためのITシステムを導入すれば、事務を大幅に効率化できる。
また、納税者番号と住民基本台帳番号が紐付けられ、住民基本台帳ネットワークから「世帯データ(住民基本台帳番号のセット)」を取得できるようになれば、「世帯」で所得を合算できるようになる(ただし、住民基本台帳上の「世帯」であり、実際の世帯とは違うかもしれない)。
世帯で所得を合算できることには、どのような意味があるのだろうか。例えば、定額給付金は、所得によらず全ての国民に一律に給付した。これは、世帯の所得の把握が簡単にはできず、「所得が一定額以下の世帯」に重点的に給付することができなかったからである。
「ベーシックインカム」や「負の所得税」の議論を現実的なものにするためにも、納税者番号の議論は避けられない。

基礎的条件をみると、住民基本台帳番号ではできない「民間利用が許容され」と書かれている一方で、「番号を付与した後の住所・氏名等の異動を管理できる」など、住民基本台帳ネットワークとの連動を想定したことも書かれている。
財務省は、住民基本台帳番号とは紐付けできる独自の番号として「納税者番号」を付与していきたい、ということだろう。

住民基本台帳番号を中心に、納税者番号と社会保障番号(基礎年金番号や医療保険や介護保険の被保険者番号を紐づける)が独自の番号として国民一人ひとりに付与される。万が一、どれかの番号が漏れた場合には、新たな番号を付与して紐付けデータを書き換えるといった仕組み=ITシステムが構築されるのだろうか。
1つの番号を使いまわすよりも、国のセンターに問い合わせれば、「納税者番号→(住民基本台帳番号)→社会保障番号」、「社会保障番号→基礎年金番号」といった番号の取得が必要に応じてできる仕組みのほうが安心といえば安心である。

住民基本台帳番号は総務省、納税者番号は財務省、社会保障番号は厚生労働省。調整は簡単ではないが、「政治主導」で議論を進めていただきたい。