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近況報告。

・・・のつもりではじめたのですが・・・。
ゼミについては、学科公式ブログで報告しています。

第9回子ども社会学若手勉強会 告知。

2016-11-30 14:59:02 | 子ども社会学勉強会とか。
年末になりますが、第9回を開催いたします。
新しい試みとして、共通テーマを設けて、各人だったらどうアプローチするかをブレインストーミングする会としてみたいと思います。
ふるってご参加ください。

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日時:2016年12月17日(土)13時~17時 
場所:明治学院大学白金キャンパス 本館5階北ウィング1551教室
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/

<内容>
パート1)子どもと安全:既存研究をたたき台に
言説研究よりの立場からのお二人の発表をもとにブレインストーミングを行いたいと思います。
参考文献に事前にお目通しください。

A.大嶋尚史 「子どもの安全」
「子どもの安全」はセキュリティーに対する責任の問題ですが、そのような問題が、全く別の概念(「子どもの居場所」、「地域活性化」、「新しい公共」、「生きがい」、「つながり」や「きずな」など地域に関する概念が中心となる)と結び付き、様々な実践や言説が作動し続けていることが示せればと考えています。そして、その延長線上として放課後の通学路における遊びや、子どもだけの関係で成立する空間としての「道草」や「秘密基地」などの行為やそれに関する言説が終焉しつつあるのではないか、という仮説をお話したいと思います。
子どもの安全や、子どもの教育、といった、子どもの○○は、「子どものために」という理由で様々な対策や実践がなされた結果、別の現象を引き起こすことが考えられます。そのような部分についてブレインストーミングを行えれば、と考えております。

参考文献(CiNiiからダウンロードできます)
大嶋尚史,「子どもの「守れない安全」を守ることの意味」,社会学ジャーナル,筑波大学社会学研究室,第40号,pp79-96,2015
大嶋尚史,「安全教育が目指しているものは何か? -通学路に関する学校安全セミナーの事例から-」,社会学ジャーナル,筑波大学社会学研究室,第38号,pp85-100,2013

B. 桜井淳平  「子どもの犯罪被害防止」への社会的関心の高揚と言説の布置(仮)
00年代以降に社会的関心が高まったといえる「子どもの犯罪被害防止」について,「①なぜ,いかにして,ここまで関心が高まったのか」「②被害防止のためにいかなる方策が,いかなる論理構成のもとで,称揚されているのか」という問いを掲げ,言説分析を用いて探索してきました。
また今年は,「教育と責任」「監視と自由」といった視角から「“子ども”の安全」の特殊性を考えていました。
その(拙く粗い)成果を簡単に通観し,子ども社会学研究における,言説分析という手法や構築主義という立場の可能性と課題について考える「たたき台」となればと思います。
【参考文献】
桜井淳平,2014,「「子どもの犯罪被害」に関する報道言説の通時的変化―〈被害防止対策〉拡大の源を探る―」『子ども社会研究』No.20,pp.31-45
http://www.js-cs.jp/wp-content/uploads/pdf/journal/20/cs2014_03.pdf


パート2)子ども研究の視角と方法:「子どもと安全」を切り口に子どもと安全というテーマに絞って、いろいろな視角や方法(構築主義/フィールドワーク/資料研究/インタビュー・・・)の可能性や異同について理解を深めていきます。
※皆それぞれの対象でそれぞれの視角や方法を培ってきたわけですが、それらについて理解を深め合うために、共通のテーマを設定して考えてみるという目的です。ですので、子どもと安全に関する論文等を持ち寄っておくなども重要かと思います。

パート3)打ち合わせ兼懇親会 ※ここから色々な企画が生まれています。
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準備の都合上、参加希望の場合は、事前にご連絡ください。
また、新規ML参加希望の方も、遠慮なくご連絡ください。

元森絵里子(明治学院大学) motomori*soc.meijigakuin.ac.jp
*を半角@に変えてください。


第8回子ども社会学若手勉強会 告知。 

2016-07-03 16:09:24 | 子ども社会学勉強会とか。
ショートノーティスで恐れ入ります。今年度1回目を開催いたします。
理文問わず、学際的な研究の場を目指しておりますので、広い参加をお待ちしております。

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<日時>
2016年7月30日(土)13時~17時頃まで

<会場>
明治学院大学白金キャンパス 本館5階北ウィング1557教室
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/

<内容>
パート1)著者を呼んで文献検討
土屋敦 2014『はじき出された子どもたち: 社会的養護児童と「家庭」概念の歴史社会学』勁草書房
http://www.keisoshobo.co.jp/book/b147064.html
[紹介]児童福祉施設という制度は家族、児童をどう定義化してきたのか。浮浪児や孤児・捨児など社会的養護児童をめぐる枠組みの変容過程を、敗戦後から1970年代後半まで「家族」「母子関係」をめぐって展開された議論のなかから描き出す。

高橋靖幸 2013 「明治期における「児童虐待」の社会的構築」『子ども社会研究』19:91-104

※土屋さんの本をメインで検討します。その後の研究にも触れていただくほか、戦前を扱った高橋さんにも簡単に参戦していただき、パート2につなげていきたいと思います。

パート2)児童福祉と「子ども」、子ども研究
※パート1にて歴史的に「児童福祉」問題の変遷を考えた著作を読んだことを受け、その延長線上で子ども研究と児童福祉について、子ども研究が考えていく点についてブレインストーミングしたいと思います。

パート2の趣旨と進め方:これまでのスタイルを踏襲します
【趣旨】
「子ども研究が今考えるべき問題」に挑むようなテーマで、MLを利用して事前に互いの知識を深めていくことを目的とする。
【進め方(予習あり)】
1)研究を続ける中で、どのレベルでも(ちょっとはずれていても)よいので、この問題系に行きあたったことがある人は、自身の/見つけた論文・レジュメ・意見等(やその一部、未発表のものは部外秘扱い)を可能な限り事前にMLで回覧する。
↓↓
2)参加希望者は興味があるものから順に可能な範囲で読んでくる
↓↓
3)当日、1)を回覧した人も含めて、この問題系に行きあたった人は、その概要を簡潔に発表していく(レジュメの用意は任意)
↓↓
4)それらをもとに自由にディスカッション

パート3)
18時~で、子ども研究の視角についての有志による意見交換会・懇親会
・今後のテーマ
・次回以降の運営体制について
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ふるってご参加ください。
準備の都合上、近くなりましたら出欠をとりたいと思います。

新規ML参加希望の方は、遠慮なくご連絡ください。
元森絵里子(明治学院大学) motomori*soc.meijigakuin.ac.jp
*を半角@に変えてください。


第7回子ども社会学若手勉強会 告知。

2016-01-03 16:35:50 | 子ども社会学勉強会とか。
相変わらず幹事離脱中ですが
第7回子ども社会学若手勉強会開催の日程が確定しましたので
ご案内いたします。

ふるってご参加ください。

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<日時>
2016年2月14日(日)13時~17時頃まで

<会場>
東京外国語大学本郷サテライト(7階会議室)
 http://www.tufs.ac.jp/common/satellite/#facility

<内容案>
パート1)南出和余『「子ども域」の人類学-バングラデシュ農村社会の子どもたち』

【だれもが「子ども」だった。しかし、時代や社会によって「子ども」の育つ道は大きく社会に左右され、常に違った答えが生み出される。
本書は「子ども域」という概念を視座において、バングラデシュの子どもと社会の関わりを描き出し、日本の子どもとの比較を試みる】昭和堂HPより


パート2)子ども研究の方法論を考える

パート2の趣旨と進め方:これまでのスタイルを踏襲します
【趣旨】
「子ども研究が今考えるべき問題」に挑むようなテーマで、MLを利用して事前に互いの知識を深めていくことを目的とする。

【進め方(予習あり)】
1)研究を続ける中で、どのレベルでも(ちょっとはずれていても)よいので、この問題系に行きあたったことがある人は、自身の/見つけた論文・レジュメ・意見等(やその一部、未発表のものは部外秘扱い)を可能な限り事前にMLで回覧する。
※MLに「第7回方法論文献」とのタイトルでご投稿ください。活性化のために、ぜひお願いいたします。※牧野さんいかがでしょうか?
↓↓
2)参加希望者は興味があるものから順に可能な範囲で読んでくる
↓↓
3)当日、1)を回覧した人も含めて、この問題系に行きあたった人は、その概要を簡潔に発表していく(レジュメの用意は任意)
↓↓
4)それらをもとに自由にディスカッション

パート3)
18時~で、子ども研究の視角についての有志による意見交換会・懇親会(検討中)
・今後のテーマ
・次回以降の運営体制について


新規参加&ML登録希望の方は、以下の2人に同報でご連絡ください。
吉岡一志(山口県立大学)kyoshioka*yamaguchi-pu.ac.jp
元森絵里子(明治学院大学) motomori*soc.meijigakuin.ac.jp
*を半角@に変えてください。




第6回子ども社会学若手勉強会 告知。 

2015-05-24 19:45:37 | 子ども社会学勉強会とか。
不肖の幹事、離脱中ですが 第6回はきちんと開催されます!
ふるってご参加ください。
参加希望の場合は、事前にと連絡ください。
また、ML登録希望の方も随時募集中です。

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第6回子ども社会学若手勉強会

日時:7月18日(土) 13:00~17:00くらい
会場:立正大学品川キャンパス 9号館4回 941教室
 〒141-8602 東京都品川区大崎4-2-16
 交通アクセス    http://www.ris.ac.jp/access/shinagawa/index.html
 キャンパスマップ  http://www.ris.ac.jp/introduction/outline_of_university/introduction/shinagawa_campus.html

山手通りにある大崎警察署横の通りを進んでいただき正門から入るか、もしくは正門を通り越して8号館と9号館のあいだの入り口から入構いただくのがわかりやすいかと思います。
正門から入る場合、入り口正面左手の1号館の建物を裏手に回り込むようにして進んでいただくと9号館にたどり着きます。

内容:

パート1)野辺陽子「養子縁組の社会学―血縁をめぐる人々の行為と意識」(博士論文)

※既存の社会学における血縁の捉え方を批判し、新しい分析枠組みを構築した上で、現代の血縁について養子縁組を事例に分析・考察論文です(「子どものため」というレトリックも伏線として出てきます)
※なお、同論文は出版を控えております関係上、参加希望者に個別にPDFでお送りします。

パート2)家族分野の子どもと子ども論の現在を考える:第二弾!!

※前回に引き続き、childhoodsをめぐる具体的な議論として家族と子どもをテーマにディスカッションをしたいと思います。

パート2の趣旨と進め方:これまでのスタイルを踏襲します
【趣旨】
「子ども研究が今考えるべき問題」に挑むようなテーマで、MLを利用して事前に互いの知識を深めていくことを目的とする。
【進め方(予習あり)】
1)研究を続ける中で、どのレベルでも(ちょっとはずれていても)よいので、この問題系に行きあたったことがある人は、自身の/見つけた論文・レジュメ・意見等(やその一部、未発表のものは部外秘扱い)を可能な限り事前にMLで回覧する。
※MLに「第6回家族と子ども文献」とのタイトルでご投稿ください。活性化のために、ぜひお願いいたします。
↓↓
2)参加希望者は興味があるものから順に可能な範囲で読んでくる
↓↓
3)当日、1)を回覧した人も含めて、この問題系に行きあたった人は、その概要を簡潔に発表していく(レジュメの用意は任意)
↓↓
4)それらをもとに自由にディスカッション


パート3)
18時~で、子ども研究の視角についての有志による意見交換会・懇親会(品川周辺見込み)
・今後のテーマ
・次回以降の運営体制について


新規参加希望の方は、以下の2人に同報でご連絡ください。
吉岡一志(山口県立大学)kyoshioka*yamaguchi-pu.ac.jp
元森絵里子(明治学院大学) motomori*soc.meijigakuin.ac.jp
*を半角@に変えてください。


第5回子ども社会学若手勉強会、告知。

2015-01-16 15:32:01 | 子ども社会学勉強会とか。
第5回の告知です。年度内最後の開催です!ふるってご参加ください

参加希望の方は、事前にご連絡ください。
MLへの参加希望も随時募集しています。

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第5回子ども社会学研究会若手勉強会 開催詳細

日時:3月7日(土)13時~17時
場所:明治学院大学白金キャンパス 本館南ウィング5階1505教室
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/

内容:
<パート1>
藤間公太「代替養育の社会学―児童自立支援施設における参与観察・インタビュー調査から―」(博士論文)
(※キーワード:子育ての社会化 施設養護 〈脱家族化〉)

・著者による概要説明
・コメンテーターなしで自由な意見交換

<パート2>
家族分野の「子ども」論の現在を考える

※今までで一般的な形で「子ども」の歴史性・文化的相対性や構築性、その記述の視角について議論してきたので、今後は、少し具体的な文脈で「子ども」を考えて行きたいと思います。その第1弾として、家族と「子ども」について考えます。家族を問い直すというような様々な実践や制度、学問の中で、「子ども」がどう捉えられているのか、またどう捉えて行く必要があるのかを雑駁に議論します。

「子ども/大人」と「子ども/親」でずれる点もあるので、まずは、「子ども」研究という視角から家族研究を整理してみるというような、初歩の初歩からの議論になる予定です。

パート2の趣旨と進め方:
【趣旨】
頻繁に会合が持てない中、テーマを「子ども研究が今考えるべき問題」に挑むようなものにして、MLを利用して事前に互いの知識を深めていくことを目的とする

【進め方(予習あり)】
1)研究を続ける中で、どのレベルでも(ちょっと外れていても)よいので、この問題系に行き当たったことがある人は、自身の/見つけた論文・レジュメ・意見等(やその一部、未発表のものは部外秘扱い)を可能な限り事前にMLで回覧する
☆MLに「第5回家族と子ども文献」とのタイトルでご投稿ください。活性化のために、ぜひお願いいたします。「こんなのを見つけた」というレベルでよいかと思います。

2)参加希望者は興味があるものから順に可能な範囲で読んでくる

3)当日、1)を回覧した人も含めて、この問題系に行き当たった人は、その概要を完結に発表していく(レジュメの用意は任意)
4)それらをもとに自由にディスカッション

<パート3(18時~)>
子ども研究の視角についての有志による意見交換会・懇親会(品川?)
・今後のテーマについて
・次年度の運営体制について

※第1~4回の経緯については、雑駁な議事録を回覧済みです。過去の添付ファイルはMLページに蓄積されていますので、参加していない方は、フリーMLマイページにログインの上、ご確認の上ご参加いただけるとスムーズです。

問い合わせ・参加連絡先:元森絵里子(明治学院大学) ※苗字あっとsoc.meijigakuin.ac.jpです。


第4回子ども社会学若手勉強会、告知。

2014-12-01 18:09:36 | 子ども社会学勉強会とか。
第4回の告知です。拙著です
年末になりますが、ふるってご参加ください。

参加希望の方は、必ず事前にご連絡ください。
MLへの参加希望も随時募集しています。

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第4回子ども社会学研究会若手勉強会 開催詳細

日時:12月27日(土)13時~17時
場所:明治学院大学白金キャンパス 本館南ウィング5階1558教室
http://www.meijigakuin.ac.jp/access/

内容:
<パート1>
元森絵里子2014『語られない「子ども」の近代:年少者保護制度の歴史社会学』勁草書房
 http://www.keisoshobo.co.jp/book/b182135.html
(参考) 同 2009『「子ども」語りの社会学:近現代日本における教育言説の歴史』勁草書房

・著者による概要説明(15分程度)
・コメンテーターなしで自由な意見交換(司会募集)

<パート2>
子どもの身体、発達、能力をどう見るか(「子ども」の本質論をどうずらすのか)
※子どもの権利でも問題となりました、「子ども」の特徴をどう研究上位置付けるのかを考えたいと思います。
 実証研究の際の視角、規範の基礎づけの際に、子どもの小ささ弱さ未熟さを どう相対化し、どう折り込むのかといったあたりの問題系を考えたいと思います。

パート2の趣旨と進め方:
【趣旨】
頻繁に会合が持てない中、テーマを「子ども研究が今考えるべき問題」に挑むようなものにして、MLを利用して事前に互いの知識を深めていくことを目的とする

【進め方(予習あり)】
1)研究を続ける中で、どのレベルでも(ちょっと外れていても)よいので、この問題系に行き当たったことがある人は、自身の/見つけた論文・レジュメ・意見等(やその一部、未発表のものは部外秘扱い)を可能な限り事前にMLで回覧する
☆MLに「第4回子どもの身体文献」とのタイトルでご投稿ください。活性化のために、ぜひお願いいたします。「こんなのを見つけた」というレベルでよいかと思います。

2)参加希望者は興味があるものから順に可能な範囲で読んでくる

3)当日、1)を回覧した人も含めて、この問題系に行き当たった人は、その概要を完結に発表していく(レジュメの用意は任意)
4)それらをもとに自由にディスカッション

<パート3(18時~)>
子ども研究の視角についての有志による意見交換会(品川)
・今後のテーマについて
・次年度の運営体制について

※第1~3回の経緯については、雑駁な議事録を回覧済みです。本カテゴリーをさかのぼっていただけば概略はわかりますが、過去の添付ファイルはMLページに蓄積されていますので、参加していない方は、フリーMLマイページにログインの上、ご確認の上ご参加いただけるとスムーズです。

問い合わせ・参加連絡先:元森絵里子(明治学院大学) ※苗字あっとsoc.meijigakuin.ac.jpです。
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第2、3回子ども社会学若手勉強会、報告。

2014-10-14 17:20:01 | 子ども社会学勉強会とか。
告知が常態化してきたので、「子ども社会学勉強会とか。」というカテゴリーを作ってみました。
積極的に名乗っていない過疎ブログですが、この研究会の運営には若干の使命感をもっております。

さて、忙しくてやりっぱなしになっていた2回目と台風迫る博多で決行された3回目の議論から、私なりに論点になったのではないかと思うところを報告します。

※まだ論点出し期なので、議論はあちらへ飛びこちらへ飛び…という状態なので、あくまでも「私なり」です。
より細かい議事録は、MLメンバーに公開しています。議論が広まりいつかどこかで実を結ぶことを期待してフリーライダー歓迎ですので、加盟希望の方は遠慮なくブログ主までご連絡ください。


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第2回子ども社会学若手勉強会
:「子どものため」という思想・実践をどう考えるか より

「子どものため」か否かという議論の不毛さとその先の難しさ

保護・安全と、子どもの世界・子ども社会の尊重のアンビバレンスをどう見るか。どちらも「子どものため」。→「子どものため」で前者を進めてよいのか(子ども無視にならないか)。逆に、子どもが死んでも「子どものため」なのか。

「「子どものため」という人(思想・実践)が実は子どものためではない」という指摘をするだけでは、生産性がない。(不毛な二項対立に乗っている時点でミスリーディングでもある。)→ではどうしたら?

その水準の磁場を示す? →図式の中にいる現場への伝わりづらさ、実践的・政治的議論に踏み込まずによいのかという問題。

とりあえず判断を留保して子どもの世界を見る? →言葉で記述できない世界を記述することと、その研究者の視点(ポジショナリティ)をどう自覚するかという問題。


「子どものため」の使われ方の変遷:70年代的問題構成/00年代的問題構成

「子どものため」というレトリックには印籠ような使いやすさがある。

近年の防犯運動など、「子どものため」は当事者にもレトリックと認識されてきているのではないか。(パターナリズムや規律訓練では対応できない空間管理的な手法でないと難しい面。高齢化の中で地域の人々やお金を動員する「ダシ」として自覚的にレトリックが使われている面。)

「大人の押し付け」対「子どものため」、「国家のため」対「市民のため」という問題構成は、とても70年代的ではないか。「子ども」は「市民」のアナロジーでもあった。(「責任」を取れない人たちをめぐる、パターナリズムか自己決定かといった構図。)

00年代以降、「新しい公共」などとも関連して、「地域」というレトリックで、社会的責任を道徳の問題で解決させようという動きが出てきている。リスク(何かあったときの責任)に地域で対応するという中で、あからさまなレトリックとして「子どものため」が使われているように見える。


「子どものため」という言葉のマジックワード性

長期的なニーズや利益を考えるのが「子ども」というテーマ。「将来の国民・市民のため」「将来のその子のため」。それと、短期的なその子の希望との関係性を整理する必要がある。

「子ども一般のため」を語る領域と「ある子どものため」を問題とする領域のずれもある。

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第3回子ども社会学若手勉強会
:「子どもの権利」という思想・実践をどう考えるか

「子どもの権利」をめぐる経験的記述の問題

「子どもの権利」とされている状態を、「大人の思い込みの押し付け」か「真の子どもの意図か」という二項対立図式(ジレンマ、アポリア)に陥らずに記述するにはどうしたらよいのか。

当事者の意味世界で再帰的に語られる「子どもの権利」と、研究者が同定することの関係性の理論化、書き分けに関する議論をもっと詰める必要がある。ポジショナリティの問題も関係する。

法哲学や政治思想で語られる非リベラリズム的(=自立・自律した主体を強く想定しない)権利論と、エスノグラフィーという方法論に相性のよさを感じるが、それらの間を埋める方法論的議論が手薄ではないか。


「子どもの権利」をめぐる政治的・倫理的問題への距離のとり方をめぐる問題

本質的「子ども」概念や、普遍的基準(「発達」「能力」等)を回避しながら、「権利」を語っていくことが必要だが、やはり議論が詰められていない。

経験的研究は政治的・倫理的問題に踏み込まないという意味でもなく、欧米の研究が言及しているようにどう関わるかを含めてもっと考えねばならない。

記述によって、既存の概念をずらしたり脱臼したりするという方法の可能性がある。

ただし、概念整理や理論や方法論の議論が進んでいない。(ケア倫理やケイパビリティなどの概念を、エスノグラフィーや言説研究に落としていくにはどうしたらよいか)


「子どもの権利」概念固有の問題

親権と子どもの権利、国家と子どもの権利の関係 →今後議論が必要

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補足

今後としては、子どもの身体・発達(本質論をどう見るか)という観点から、もう1度議論をほぐしてみたいと思います。
言説研究からエスノグラフィーまで、実践的立場から客観志向の向きまでと多彩なメンバーの中で議論がかみ合わないときもあるので、国家・社会と子ども、家族と子ども、障害児やマイノリティの子どもなどと一度腑分けしながら考える、エスノグラフィー・人類学と言説研究などのスタンスの違いをきちんと整理していくなど、論点は山積です。


第3回子ども社会学若手勉強会 告知。

2014-09-11 20:04:47 | 子ども社会学勉強会とか。
第3回の告知です。九州です!
参加希望の方は、必ず事前にご連絡ください。
MLへの参加希望も随時募集しています。

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第3回子ども社会学研究会若手勉強会

日時:10月12日(日)13時~17時
場所:九州大学箱崎キャンパス 教育学部会議室
http://www.education.kyushu-u.ac.jp/accesses
※当日は日曜なので、教育学部の入口施錠のため、法学部棟の入り口からお入りください。


内容:
<パート1>
針塚瑞樹「インド都市社会におけるストリートチルドレンの「自己決定」に関する研究」(博士論文)

(参考文献)大江洋 2004(2005)『関係的権利論 子どもの権利から権利の再構成へ』勁草書房

・著者による概要説明(15分程度)
・コメンテーターなしで自由な意見交換(司会募集)
※文献はMLまたは個別に配布しています。

<パート2>
「子どもの権利」という思想・実践(※)をどう考えるか
前回の「子どものため」と重なりつつ、全世界的に高まる「子ども」の「権利」「自己決定」「エイジェンシー」といった観念や実践の難しさを多角的に考えます。

パート2の趣旨と進め方:
【趣旨】
頻繁に会合が持てない中、テーマを「子ども研究が今考えるべき問題」に挑むようなものにして、MLを利用して事前に互いの知識を深めていくことを目的とする

【進め方(予習あり)】
1)研究を続ける中で、どのレベルでも(ちょっと外れていても)よいので、この問題系に行き当たったことがある人は、自身の/見つけた論文・レジュメ等(やその一部、未発表のものは部外秘扱い)を可能な限り事前にMLで回覧する

2)参加希望者は興味があるものから順に可能な範囲で読んでくる

3)当日、1)を回覧した人も含めて、この問題系に行き当たった人は、その概要を完結に発表していく

4)それらをもとに自由にディスカッション

※第1回、第2回の経緯については、雑駁な議事録を回覧済みです。過去の添付ファイルはMLページに蓄積されていますので、参加していない方はご確認の上ご参加いただけるとスムーズです。

問い合わせ・参加連絡先:元森絵里子(明治学院大学) ※苗字あっとsoc.meijigakuin.ac.jpです。
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第2回子ども社会学若手勉強会 告知。

2014-05-10 21:04:04 | 子ども社会学勉強会とか。
なんとか2回目が開催できそうです!ひとまず告知します。

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第2回子ども社会学研究会若手勉強会

日時:7月5日(土)13時~17時(+その場で雑談→有志で懇親会)
場所:明学白金校舎(教室は追って告知)
※レジュメ類は事前送付で私が印刷しておくことを考えています。
※参加希望の方は事前にご連絡ください。

内容:
<パート1>
高久聡司(2014)『子どものいない校庭:都市戦略にゆらぐ学校空間』(勁草書房)を読む
・著者による概要説明(15分以内)
・コメンテーターなしで自由な意見交換

<パート2>
「子どものため」という思想・実践(※)をどう考えるか
※「子どものため」「子どもの視点」「子ども中心主義」「子ども理解」「子どもの権利」等々のあやしさ、機能、答えのなさ、エイジェンシーを誰が発見するのか、子どもの権利・自己決定とは何か、尊重・権利とパターナリズム・指導・責任の振り子、こういったテーマにおける研究者のポジショナリティ等(詳細は、1回目メモ参照)

パート2の趣旨と進め方:
【趣旨】
頻繁に会合が持てない中、テーマを「子ども研究が今考えるべき問題」に挑むようなものにして、MLを利用して事前に互いの知識を深めていくことを目的とする

【進め方(予習あり)】
1)研究を続ける中で、どのレベルでも(ちょっと外れていても)よいので、この問題系に行き当たったことがある人は、それを考えた既存の論文・レジュメ等(やその一部、未発表のものは部外秘扱い)を可能な限り事前にMLで回覧する
1’)このテーマについてちょっとでも参考になりそうな文献(日本語英語)を見つけた人は随時書誌情報を回覧する
☆MLに「第2回子どものため文献」とのタイトルでご投稿ください。活性化のために、ぜひお願いいたします。

2)参加希望者は興味があるものから順に可能な範囲で読んでくる

3)当日、1)を回覧した人も含めて、この問題系に行き当たった人は、その概要を完結に発表していく(レジュメの用意は任意)
4)出そろったところで自由にディスカッション
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パート2が成功するかわかりませんが、少々独特の形をとらせていただきます。
当日参加できるかどうかはともかくとしてMLに参加したいという方はご一報ください。
【連絡先】苗字あっとsoc.meijigakuin.ac.jpです。

第1回の呼びかけ→http://blog.goo.ne.jp/e-com77/e/b8fbb9c3690c08a496680dd2c20cf36e
第1回の報告→http://blog.goo.ne.jp/e-com77/e/80d860f4c61914588172a5440afc08eb



第1回子ども社会学若手勉強会、報告。

2014-03-31 20:40:39 | 子ども社会学勉強会とか。
名前で検索しても直接出てこない仕様の過疎ブログですが、意外と見られているという事実…。

こちらで告知した表題の研究会、16名もの方にご参加いただき、盛会のうちに終了しました。

社会学、人類学、歴史学、教育学等々様々な分野をまたにかけた研究者が「子ども」くくりで集まりました。
対象も、校庭、安全パトロール、乳幼児医療、養子縁組、障害、マイノリティ、ストリートチルドレンなど、多岐に及びます。

今までばらばらにやってきたメンバーが一堂に介し、テーマの豊饒性や意外なる共通点などを発見できただけでも、大変意味があったと思います。

「子ども/大人」「依存/自立」「生物/文化」等の二項対立を反省した視座の必要性。
「子ども」の一枚岩でなさの自覚の必要性。
対象ごとの記述方法の模索の必要性。
「子どものため」というスローガンの問題や、パターナリズムと権利(指導と尊重)等の言説の振り子の問題。
小さい人が大きくなるという圧倒的な事実の水準をどう枠組みに位置付けるかといった問題。
制度や場、技術などの条件(モノの水準)をどう食い込んでいくかという問題。
マイノリティの子ども、障害児など、子どもの中のマイノリティ問題。
「子ども」を研究者が発見している可能性等、研究視角や立ち位置に関わる問題。

等々、今までばらばらに悩んでいた問題が共有されました。
(視点を1つに定めるつもりはありません。「The 子ども社会学」のような主張は百害あって一利なしですが、今まで対話がなかったところにある程度ゆるい枠づけをして始めることには意味があるかと思っています。)

引き続き、今年度中、3か月に1回くらい個別報告や文献購読をやっていくことになりました。MLも始動しましたので、ご興味のある方はご一報ください。

【連絡先】苗字あっとsoc.meijigakuin.ac.jpです。