ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

初めての交通事故

2007年09月29日 01時11分49秒 | 車/交通事情
社用車として購入したばかりのホンダMRVで早速事故ってしまった、という話ではない。1月半前、まだホンダのシティをレンタカーで借りて運転していた頃のこと。これまで書かなかったのは、会社や家族を心配させないため、完全に処理が終わってからにしようと思ったからだ。

8月16日の昼過ぎ、バール・ドバイで取引先と打合を終え、シー・シェル・インというホテルのレストランで昼飯を食べて事務所に帰る途中、赤信号に気づくのが少し遅れたが、横断歩道の手前で停車した。その直後、車体になにかぶつかったような音がした。前方に停車したフォルクスワーゲンから、インド人の若者が降りて来て、どうしてくれると言う。停車燈をつけて、車を降りてみると、左のサイドミラーがふっとばされていて、車体にもこすった傷がある。赤信号で停車中の車にぶつけておいてどうしてくれるもないものだ。聞きもしないのに自ら18才と名乗るインド人青年は、困った、自分の車は保険に入っていない、おまえの車は入っているのかと、青い顔(のように見えた)をして言う。自賠責保険に入っていない車を運転をするのはそもそも違法のはずだが、この青年は保険が切れて更新をしていない父親の車を運転していたらしい。

とにかく、警察を呼ぶのが先決だ。助手席に載っていたインド人社員が携帯電話で警察を呼ぶ。警察に確認して、車を路肩に移動させる。10分もしないうちに、インド人とアラブ人のペアの警察官が到着する。インド人青年の車から母親と思しき女性が降りて、ぎゃあぎゃあとヒンズー語でわめく。インド人社員も負けずにヒンズー語で言い返すが、その内にどこからか野次馬のインド人も現れて、私が悪いといい始める。なにしろバール・ドバイと言えば、90%以上の住人がインド人と言われる地域だ。

年嵩のインド人警官は、ほどなくこの場の状況をうまく収めるにはどうしたらよいか理解したらしい。好意的な(favorable)レポートを書くからと言って、インド人社員をだまらせてしまった。若いアラブ人の警官は、けげんな顔をしているが、めんどくさいことはインド人警官に任せるつもりのようだ。

インド人警官は、パトカーの運転手席でなにやら事故調書のようなものに記入していたかと思うと、やがてピンク色のA4サイズの文書とA5サイズの白い紙を私に渡し、ピンクのはレンタカー会社に渡せ、白い紙の方にサインしろと言う。アラビア語で何が書いてあるかはわからないが、インド人警官は心配しなくていいからとにかくサインしろと言う。抗議しても無駄と思いサインする。インド人青年には緑色の文書が渡される。

保険会社からもらったハンドブックで、交通事故が起こった場合、日本と違いUAEでは過失割合という考え方がないことは知っていた。ピンクの文書をもらう方が100%責任を負い、緑色は責任を負わない。私は、この事故についての責任を負うことになってしまった。

白い紙の方は、駐車違反の反則切符と同じフォームで、実に、私は24時間以内に立て続けに2枚の反則切符を切られたことになる。駐車違反の方の罰金を払うつもりで行ったRTAで、アバーヤを着た女性職員に聞いたら、「まっすぐ運転しないため、事故を起こした」と書いてあるらしい。罰金も手数料込で110ディルハムだったので、納得はしないが、めんどくさくなってその場で払ってしまった。

上は事故直後に撮影した写真だ。道路の車線が消えてみえないが、車を降りて確認したところ、私の車が10センチ程度左の車線にはみ出して停車していたことは認める。だが、赤信号で停車中の車を後方から追い越した車が無過失というのはどうにも釈然としない。インド人青年(写真中央)も赤信号で停車すべきところそうしなかったことは認めていた。

UAEのアラブ人と交通事故になった場合は、どんなに相手が悪くても、こちらに責任ありとされるという話は聞いていた。今回はインド人相手に負けてしまったのが悔しい。

車両の損害については、一度保険会社から電話があったが、その後何もきいてこないから、全てレンタカーの保険でカバーされたのだろう。双方に怪我人はいないのが、不幸中の幸いだった。もし、インド人青年に過失ありと認められた場合、保険に入っていない彼は、賠償責任を負い切れなかっただろう。彼が保険に入っていなかったのが、警官の裁定の決め手になったと推測している。保険会社には申し訳ないが、事故の迅速な処理を図るためには最善な判断だったかもしれない。

以上が、ドバイで最初に経験した交通事故の顛末だ。これが最後であってほしいが、今回のように停車中にぶつけられることを避けるのは難しい。安全運転を心がけるのはもちろんだが、無事故を祈るしかないかと思う。


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