ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

ドラゴン・マート

2007年12月02日 00時36分08秒 | 買う
出張者からよく受ける質問のひとつに「ドバイにはチャイナタウンがあるのか」というものがある。世界各地で中国人が多く居住する地区には、横浜中華街にあるような朱塗りの門をシンボルにした中華街があるのが普通だ。ニューヨークしかり、ワシントンDCしかり。だが、私の知る限りドバイにはそれらしいものはない。イブン・バトゥータ・モールのチャイナ・コートは外見はそれらしいが、入っている店は中国とは何の関係もない。

我々が思い描くチャイナ・タウンとは似ても似つかないが、中国の店舗が多数入居するのは「ドラゴン・マート」と呼ばれるショッピングセンターだ。ドバイからハッタ・オマーンに向かう途中のインターナショナル・シティ内にある。ハッタやオマーンに行く度にその横を通ってはいたが、3連休の真ん中の土曜日に初めて訪れる。

2004年12月に完成したこのショッピング・センターは、ドバイ政府と中国政府の共同プロジェクトと聞く。中に入ってみると、名前も聞いたことのない会社が長屋のように軒を連ねている。エスカレータで2階に上がってみると、入居している店はなくガランとしている。

駐車場は一杯だし、それなりにお客も入っているが、中国製品にありがちないかがわしさをどうしても感じてしまう。店の名前に、「正直者の」(Faithful)だの「道徳的な」(Moral)などという単語が登場すること自体うさんくささを認めているようなものだ。今年はじめに長女に買い与えたiPodシャッフルなどは1ギガが80ディルハム(約2400円)で売られている。模造品であることは明白だが、客の方もそんなことは百も承知で楽しんでいるようだ。

この際、話の種にロレックスでも買ったらよかったかもしれないが、この日は今ひとつポジティブな気分になれず、何も買う気になれなかった。ただ、こういう施設をドバイ政府を巻き込んで作ってしまうあたり、中国の底知れぬパワーを感じた。


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