ドバイ駐在員ノート

一人の中年会社員が、アラブ首長国連邦ドバイで駐在事務所を立ち上げて行く過程で体験し、考えたことの記録。(写真はイメージ)

アッ・サラーム・アライクム

2006年12月29日 22時38分42秒 | 家族
ドバイ赴任と暮れの挨拶を兼ねて、荻窪にある叔父の家を訪ねる。叔父は、数年前まで大学で数学を教えており、国語辞典の編纂に携わるなど言語学者でもある。

叔父によると、ヨーロッパでは、今日我々が使っているアラビア数字の前は、ローマ数字が一般的に使用されていて、アラビア数字を数学で使用することに数学者が猛反対したということだ。アラビア数字を使うと計算が簡単で、数学者が職を失うというのがその理由らしい。また、幾何学で有名なユークリッドはギリシャ人だが、エジプトのアレキサンドリアに住んでいたし、アルゴリズムという言葉もそれを紹介したアラビアの数学者から来ているとのこと。アラビアと数学は因縁浅からぬ関係のようだ。

言語に関しては、ユダヤ人の言語であるヘブライ語とアラビア語は文法など近い関係にあり、ヘブル語を学ぶとアラビア語もある程度理解できるようになるそうだ。サラーム(平安)という言葉のように、ヘブライ語とアラビア語が同じものもある。同じイスラム教国でも、イランで用いられるペルシャ語は、文字はアラビア文字を使うのにも関わらず、ヘブライ語やアラビア語とは全く異なる、インド・ヨーロッパ語に属するというのが、面白い。

創世記など旧約聖書をユダヤ教とイスラム教が共有していることはすでに書いた。厳密には、何を啓典とみとめているかは少し異なるようだが。

ムスリムがどうしてひげを生やすかについても、ユダヤの習俗が起源だろうと言う。でも、私の知っているユダヤ人にひげを生やしている人はそう多くない。これは叔父の専門外だから、若干値引きして聞かなければならないと思う。

こうしてみるとイスラム教とユダヤ教はますます近い関係にあるように思えてきた。パレスチナを中心とするアラブ世界とイスラエルとで争いがなかなか終わらないのは、宗教以外の原因によるところが大きいのではないかと感じる。

アラビア語で「こんにちは」は「アッ・サラーム・アライクム」、直訳すると「あなたがたの上に平安あれ」となる。美しい言葉だと思う。イスラエルとパレスチナ、イラクに今一番必要な言葉かもしれない。







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