京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

「自由律の風」6を読んで

2024-08-20 07:57:10 | 俳句
「自由律の風」6を読んで
      金澤ひろあき
関東を中心に、自由律をオープンな形で現代に生かし、広めようという有志によって起こされた会とうかがっている。京都童心の会も団体参加させていただいている。
年一回、会誌を発行されている。
表紙の風神の絵は洒落ていて、開かれた会のイメージとして好感が持てる。日本で自由律の活動をしている会の紹介もあり、開かれた広報の感じがする。
会員の投句欄、SNS企画欄など、そして論考が3本。
「山頭火が詠んだ七七(14音)句」 石川聡
「自由律連句」           高松霞
「自由律川柳小史」         小池正博
高松氏の自由律連句の紹介は新鮮であった。筆者も連句愛好家であるが、好感が持てる紹介記事である。
小池氏の論考は、川柳界にも自由律が起こり、その後独自の展開をしていく過程が分かり易く提示されている。初めて読む人にも親切で、良い企画だと実感した。
山頭火における短律の出現、そしてその定型リズムとの関係を論じた石川氏の論考は、唐突な感じがした。
まず、なぜ大正末~昭和初めに短律が現れるのか、自由律の世界での表現の変遷との関係も述べられていない。また「七音」に関しては、「三・四」「四・三」の声調の問題で、斎藤茂吉らの論争があったこと等にも触れられていない。他の先人の論考もあるのだが、全く触れられていない。全体に説明不足の感が否めない。
何よりも七七リズムが、表現としてどのような価値を持つのかが述べられていない。
読者に分かりにくいものになっているのが残念である。
会員作品より 抄
余命知る姉は歯が無い口で笑い    小山榮康
凡てを捨てきった木々の明るさよ   黒瀬文子
立春大吉昨日の遺書をかきかえる   平岡久美子
花の雨ふたりふかく傘を差す     平林吉明
星のてざわり道草ポッケ       野谷真治
チョークの文字の温かさよ      大岳次郎
狂った夏も働き蜂でいる       ちばつゆこ
立ち上がる湯気に幸せとかく     竹内朋子
月はほっそり戦禍の人思う      富永順子