京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2024年1月 京都童心の会 通信句会 前半

2024-03-01 12:50:21 | 俳句
2024年1月 京都童心の会 通信句会結果
【選評】前半
○金澤ひろあき選
特選 天 41 蜜蝋の火に誘われて日記買う  青島巡紅
 蜜蝋のほのかな光。香り。違う世界に誘ってくれます。それが新しい年に向けての日記購入を誘ったのです。
 昨日までとは違う何かが始まり、記して行く予感なのかもしれませんね。
地 57 幼子のいちご苗植え春を待つ 三村須美子
 たくさんの実をつけてほしいな。子供と一緒に見守っている親の視線・心情も感じます。
人 1 手袋置く花びらの右手 野谷真治
 冬の日のヒトコマ。この右手は誰の手?「花びら」と形容するのですから、幼子でしょうか。若い人かな。若いって、いいな。
他、印象に残る句。
7 湯豆腐や家族を囲む湯けむりや 野原加代子
 「だんらん」という言葉が似合う光景。切れ字「や」は一つにした方が、感動の中心がわかりやすくなると感じます。
18 おもちゃを渡した御礼「電池が無いって」それを言わないで今の私電池切れ
 遠藤修司
 ちょっと自嘲の淋しい笑い。私も増えましたよ。
49 天上に餅つく音や老人寮 中野硯池
 老人寮にも年末、そしてお正月。天上にまで響く音で、明るさを伝えます。
70 おとし玉あげる方から貰う側 蔭山辰子
 年をとって、子や孫から貰う側に。「子供にかえる」とは、よく言ったものです。
○野原加代子特選
51 吸引器そばにもち食う爺と婆 中野硯池
 餅つきの場面がリアルで面白くてたまりません。思わず読む側の頬が緩みました。爺と婆は懐かしい餅つきであり、そして食べるのも必死なのですが、それを見守る孫の歳ぐらいの職員さんは餅で爺と婆が喉詰めしては困るので吸引器を用意されていますが、それをリアルに描写され俳句にされているのも爺、婆にならないと分からないものですね。
○野谷真治特選
19 アサイチ自転車ギーコギーコ生きてくメロディー 遠藤修司
 「ギーコギーコ生きてく」、日々の実感がある。「アサイチのメロディー」を感じながら、生きて行きたいと思う。
○三村須美子特選
32 冬の木の紅さすことはひそやかに    金澤ひろあき
 冬至を過ぎ、年が明けると寒いながらも空は澄み、陽光は草木を包み込むように注ぎます。庭木をよく観察すると紅葉の枝は赤みを増し、南天、菊の照り葉、梅などわずかながらほんのりと色づいています。椿も葉隠に少し色を見せています。そしてゆっくり、ゆっくり足踏みしながら春に向け動き出しています。紅さすこととは寒さでやけた葉っぱや新芽の動き、枝の状況、花などいろいろな場面の切り取りができ想像が膨らみ楽しいです。
○岡畠真理子特選
9 水鳥や川の流れを見つめして  野原加代子
 エサとなる魚を探しているのでしょうか。凛とした寒さの中での静寂を感じる句です。
○蔭山辰子特選
26 蓬来に見立てるおせち寿の朱文字 金澤ひろあき
 おとそ、おせち。一家が揃え、楽しく迎えた令和6年元旦。午後の変化の恐ろしさに、自然相手の運命を身にしみました。一日も早く日常が返りますように祈ります。
15 柚子風呂に孫と入りし冬の夜 野原加代子
 年の暮れ、新年を迎える忙しさも、何事なしの平和が続くからでしょう。