京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

2023年11月 京都童心の会 通信句会結果

2023-12-18 10:25:34 | 俳句
2023年11月 京都童心の会 通信句会結果

日記より 十一月四日 島田にて
   金澤ひろあき
 島田にて。朝9時に大井神社に行く。七五三のお参りの親子連れでいっぱい。
  七五三島田の髷の発祥地 ひろあき
 鈴木和枝さんと会えた。鈴木さん運転の車で田中陽さんのお宅へ。何年ぶりだろう。近く九十歳になられるという。元気に珠算教室をされている。
 人生の大半を「主流」という人間主義俳句、口語俳句に注がれた人。心の師である。
世界一の木造の橋、大井川に架かる蓬莱橋のたもとに田中陽さんの父、田中波月の句碑がある。大きな柳の下に石庭形式で立っている。大井川や牧之原台地を借景にしている。
  九十の師と柳の下の句碑囲む ひろあき
 田中波月の句は、「銃を担いでとおったかこの橋の板のぶ厚さ」。
 今年は学徒出陣八十年。もうそんな時代が来ないことを願う。しかし、世界では戦火が絶えない。
 句碑の裏側を読む田中陽さんの声が熱い。
  指でなぞり読んでいる句碑の歳月 ひろあき
  やまない戦の足音 秋天へ不戦の句碑
 島田博物館の庭にある、もう一つの波月句碑をたずねた後、島田商業高校の前にある料理店へ。鈴木さんとはここでお別れ。
 お忙しい中、ありがとうございました。
 田中陽さんに飲ませて頂き、俳句のことをうかがう。島田商業高校での、加藤太郎さんとの出会い。加藤さんの遺作の短冊の話。今、市民講座で俳句を広めていること。そして自分よりも後の人への思い。金子兜太が口語俳句に共感し、関わってくれたこと。
 話の中で、「ナマの声を俳句史にぶちこむ。俳句じゃないんだ。俳句史なんだ。」という声が、いつまでも心にのこる。
 ナマの声を普段の私達は抑えているのではないか。ありのままの人間の声を芸術にする。難しい道だが、それを引き受けるのが、自分の運命ではないか。
 田中陽さんとは、島田駅で別れた。
 お元気でいてほしいと思う。
  握手して志を継ぐ世界一の橋の町 ひろあき

皆さんの選です。
 選者 真・・野谷真治  白・・白松いちろう 康・・暉峻康瑞
    修・・遠藤修司  辰・・蔭山辰子  ひ・・金澤ひろあき
    硯・・中野硯池  巡・・青島巡紅  須・・三村須美子
    さ・・岡畠さな子 加・・野原加代子 真理・・岡畠真理子
※田中勝雄様より選を頂きましたので、紹介します。「勝」の句です。

○野谷真治
1 蝙蝠傘の晩秋抱える  硯 ひ
2 立冬めまい涙のかたち 白 康
3 死ぬ時わかるのか落葉 加 白 ひ 康 「勝」須 修
4 樹木とめどなく空蝉の行列 白
5 没後十一年畑中純展力瘤 巡
○遠藤修司
6 百日紅私ちょっくら休むけどあんたきばりやすべらんと
7 先輩が私のユニホームを見て一声450(よごれ)だってさ
8 汚れて返って来た物そうじがイヤだけれどもメシの種 ひ 須
9 ありがとうはキンキの言葉かおおきに 辰
10 〝悲惨な事はスグ止めよ〟どの口が言うプーさん〝熊が笑ってる人が泣いている〟  辰 康
11 句作りは六感フル稼働めぐりめぐってヒントでピンと 須
12 句作りはひぼう中傷絶対要らん
13 句作りは生きた証の言霊探し 白 巡 康
14 大した事ない魚の話や聞く耳持たぬか生命の話だ国民を見下すな! 巡 康
15 コスモスのきみ笑顔重ねる四半世忌
16 やらんかな気合いの度数上げるため黒いクツひもギュッとしめる ひ 須
○岡畠真理子
17 石段上りほっとひといき木陰の涼風 加 白 「勝」
18 ススキたなびく城址青い空 「勝」須
19 庭園一望城主の気分わかるかも 硯 康
20 初秋の陽射しどんぐりの木陰でひと休み 硯 真 加 白 須
21 赤とんぼに誘われ歩く城の道 加 「勝」修
22 すごいなぁゴロゴロお供に城址巡り 修
23 ぜんざいとお抹茶アイス迷う季節 真 辰 「勝」須
24 通りすがりの金木犀に母想う (特 白)硯 辰 加 白 ひ 康
25 金木犀を手土産に叔母の思い出  修
26 靴下ろしそろそろ歩く踵に絆創膏 真 辰 須 修
○暉峻康瑞
27 人間は国盗り鶴は落穂を拾いをり (特 ひ)真理
28 男に愚痴なしリンリンと罪悪深重 白
29 死んで神さまと云われるより生きて馬鹿の方が尊いよ 須 修
30 ペレストロイカを背負った鶴もきてますか 辰
31 信長忌思う存分やってみる 硯 ひ 巡 須
○青島巡紅
32 電線にたわわに実る雀かな (特 辰)真 真理 「勝」
33 空を噛む蛇の口背に蛙跳ぶ
34 傘の飛ぶ雲外蒼天走り出せ
35 懐かしい幽霊と飲む酒美味し 硯 真 辰 白 ひ 康
36 鵜の群れに白鷺混ざり空隠す
37 寝る前の木星はまだ東の空 真理
38 行く人よ殉教の碑の雨紅葉 須 修
39 屋根のないアメンボーの家空高し 真 加 修
40 熱燗と女将の色気に蛸になる 硯 ひ 「勝」
41 枯芙蓉朝夕の顔思い出す 辰 須
42 倒れ込む渡した襷遠ざかる 「勝」修
43 枝払い敵も味方もありはせぬ ひ 康 「勝」
○野原加代子
44 銀杏を拾い幼子と炒りて食べ ひ 巡
45 秋深し洛西道や美しき
46 秋日和歩きし心晴れやかに 真理
47 金木犀庭に咲きして香りけり
48 秋の山色とりどりに変わりして 辰 真理
49 鰯雲故郷に似て思い馳せ  真理 ひ
50 冬瓜や家族頬張り美味かろし 真理
51 秋の山電車から見る故郷や  康
52 舞鶴や駅に着きしておでん食べ 真
53 秋の海故郷景色澄み渡り 辰 須
○金澤ひろあき
54 日向ぼっこ僕の時間の伸び縮み (特 硯)(特 真)真理 白 康 「勝」修
55 秋風のくすぐっている石のへそ
56 気づかぬうちにたまる人生の負債落ち葉で隠す 加 康 須
57 紅葉の中の切り絵の空騒ぐ 真
58 おもしろがられやがて消えゆくねこじゃらし (特 巡)硯 加 「勝」
59 弟の無実信じ九十の姉の出廷 巡
60 友の生きられなかった分を生きる晩秋の散歩道 (特 「勝」)白 須 修
61 着飾って落ち葉踊っているのです 真
62 人生の時計の針も晩秋へ  加 康
63 僕を知る人がまた減る秋の暮   真 巡 修
64 寄り添って石に化そうとする落ち葉
65 休日ごとに刈田広がる陽の恵み 加 須
66 現世より早い紅葉の写真集   康
67 水澄んで空澄んで彼岸に架かる橋 「勝」
68 渡り鳥少し離れてはぐれ鳥   硯
○蔭山辰子
69 文化の日よいお天気で夏終わり
70 コスモスに手を振るおさな児ジャンケンポン 真 白 ひ 須 修
71 やっと来た月と金星秋更けて (特 真理)
72 野仏の隣にかかし風に揺れ 硯 巡
73 ノーベムバーまだ夏残り衿に汗 ひ
74 もみじ舞いつばめの一つ家旅立ちて 真理 「勝」
75 穂のみのり新米おいしく卵かけ  真 加
76 頼もしく若い球児の外野ヒット
77 両軍とも日本シリーズ最後まで 真理
78 十八年三十八年来年は?
○三村須美子
79 初鴨や離れて泳ぐ別の鴨  真 巡
80 地べた這う菊にぎにぎし空の青 白
81 分け入って服に草の実烏瓜 硯 辰 真理
82 愛犬の最後の遠吠え十三夜 (特 加)硯 真 ひ 巡 「勝」修
83 亡犬を抱いて最後に屋敷内
84 ひとり居や逝きてひと月後の月 真
85 逝きし犬柚子の根元や柚子の黄色 (特 ひ)
86 線香や供物に群がる蟻の群れ 巡
87 三連休秋ゆく人の大鞄 硯 辰 真理
88 天高しクーレンの建てる三階建て 硯
89 立冬とや上着を脱いで半袖に 辰 加 真理 巡 修
90 手を振って紅葉の寺へと送り出す 加
○中野硯池
91 有馬朗人の特選貰う文化の日
92 百歳に手の届く歳文化の日 (特 ひ)(特 須)(特 修)白 巡 
93 デーの昼炊き込みご飯茸の香 真理
94 お香の香コスモスの香も般若寺  (特 康)辰 巡 康 須
95 窓越しのコスモス揺れるデーの昼 加
96 京舞子に付けてもらいし赤い羽根 白 ひ
97 昼までに売切れ栗の強弁当
98 あれあれと言ふ片陰の甲子園 辰
99 秋空やセンスが光る吟行会  巡 康
100 町の名を変へ穭道湖岸まで ひ