京都童心の会

ほっこりあそぼ 京都洛西の俳句の会
代表 金澤 ひろあき
俳句 冠句 自由律 詩 エッセイなど同好の人たちと交流

「蒼天」NO、159の読後感

2020-04-15 08:32:35 | 俳句
「蒼天」NO、159の読後感
        金澤 ひろあき
 アイルランドのジョイスが書いた小説は、至る所掛詞になっていて、一つの文がいくつもの意味やイメージを浮き出させています。
 木村昭佳さんの短詩も、ジョイス的な世界を醸し出しています。
○ふっと美たある弦びびる夜ぽっぺん  木村昭佳
 「ふっと、美」と「吹っ飛び」、「美たある」と「ビタール」、「びびる夜」と「びびるよ」、「ぽっぺん」と「ポッペン」など、切り方や当てる文字を変えると、様々な「ことば」が潜んでいます。一見でたらめに見える音の列が、様々な意味をつきつけてくるのです。
 岡田尚さんの「夏でも足が冷たい」というのも、私自身がしだいに実感しつつあります。若くなっていく事実をありのままに。それに共感します。
○春を待つ湧き上がる雲の赤ちゃん    野谷真治
 雲が生まれる場面に出くわしたことがあります。山の中の神社でした。ものすごい水蒸気が、意志を持つもののように、ぐんぐん上がって行きました。この句を読んで、あの生命力のようなものを思い出したのです。
○ぐーんぐーん空が凧をひっぱる僕もひっぱる 来空
 来空さんの10代の短詩。表現手段を得た少年の、世界を書き記していく喜び・手応えのようなものを感じるのです。