姉からCDとお菓子、自然薯が送られてきた。自然薯は義兄が自分で栽培したものだと手紙に書かれていた。自然薯を見ると、かなり大きく立派なものだった。良く道の駅などで売られている自然薯は、5000円とか6000円とかいう値段が付けられ、太く長いものだが、型枠に嵌めて作っているわけではないらしく、少し変形しているが、かなり大きなものだった。
私が自然薯に最初にお目にかかったのは、勤め始めたころだったから、まだ、20代のころだ。細く、ねじれたような形をしていた。何でも、石や岩や木の根っ子などを避けて育つのでまっすぐには伸びないという話だった。それだけに掘り出すのは非常に大変だったようだ。早速、摩り下ろしてみると、粘度が凄く強く、丁度ウサギの糞みたいになって、固まってしまう。色もすぐに酸化して真っ黒くなってしまう。出汁で溶いて食べる。最初に自然薯に出会ったときの驚きって大変なものだった。
ところが、自然薯も、みんなに好んで食べられるようになり、栽培されるようになると、自然のものとは大きく異なり、形も、大きさも、大分違ったものになった。トロロ芋、ヤマト芋、自然薯の順に粘度が強くなっていくらしい。粘度も、栽培したものは、ヤマト芋よりも少し強いという程度なんだろう。まあ、自然薯は自然に山に育つときは、荒地で、養分があまりなく痩せた固い土に育つため、一年経っても、二年経っても、あまり太らない。だからこそ、粘度も強くなるのだろう。栽培した自然薯は、養分もたくさんあり、柔らかい土で育つので、育ちも早く、その分、粘度は弱く、扱いやすいものになったようだ。同じものでも、やはり育つ環境によってこうも違ってくるものか、本当に驚きだ。