毎年やるのだけれど、麹から甘酒を作った。冬になると、食べたくなり、そして、作る。そうそう、私は甘酒を「食べる」のが好きなのだ。飲む甘酒ならば、幾らでも売っているが、食べる甘酒なんてどこにも売っていない。それはそうだろう。普通の人は甘酒は飲むものと思っている。甘酒を食べるという人はあまり聞いたことがない。
子どもの頃、我が家ではお櫃一杯に甘酒を作っていた。それをこっそり隠れて、甘酒を食べてみたところ、意外と美味しいことに気が付いた。それからと言うもの、飲むよりも食べることの方が好きになってしまったのだ。特に、少し発酵が進みすぎて、酸味が出始め、舌にピリッとくるときの甘酒の味がなんとも言えず、甘いだけではなく、ピリッとした酸味がなんともたまらない。子どもの頃に、祖母が作るのを見ていて自然に作り方を覚えていた。ただ、電気炊飯器というものが出始め、保温の温度と発酵の適温がほぼ一致していることから、私は、炊飯器で作るようにしている。
作り方は、簡単。お粥を炊く。そして、麹が死なないような温度まで下げ、そして、麹を加えて少し掻き混ぜ、後は、炊飯器を保温にセットし、そのまま発酵させていくだけで出来上がる。時間が経過するに従って、甘みが増してくる。時々、掻き混ぜ、発酵の具合と甘みを確かめ、自分の好みになったら、後は、冷蔵庫で冷やし、発酵の進み具合を抑制する。非常に簡単ですよ。
ところで、妻に{甘酒で来たよ!飲む?」と聞いたところ、飲むと言うので、薄めて加熱して出した。妻曰く、「掻き混ぜすぎだよ!麹だけがツブが残っていて、ご飯の形は残っていない。アンバランスだよ!」などと講釈を始める。まあ、この講釈はもう何十年も続いているが、私は私の好みの味に甘酒を作っているのだから、仕方ない。何年作っても、私流の味にしかならないのだ。好みに合わなかったら、飲まなきゃ良いのだと内心思うだけだ。私も、相当頑固者なのかも知れない。