明日へのヒント by シキシマ博士

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介護を終え…、そして今

2012年07月09日 11時50分19秒 | 介護の記
速いもので、父と母の介護を終えてからまもなく9か月になります。
我ながら意外なことですが、さして落ち込むこともなく良好な毎日を過ごせています。
もっとはっきり言ってしまうと、充実しています。

その理由の一つは、私が在宅で仕事できる環境に居たおかげで、比較的思い通りに介護をやり尽くせたということだと思います。
もちろん不十分と思うことは多々ありますが、私の持つ能力はほぼ出し切れたという意味で、あまり心残りが無いんです。
父や母に言わせれば不満があるだろうけど、無い袖は振れないのと同じで、私にこれ以上を求められても困るというものです。

そしてもう一つの理由。
かつて、母が倒れたのと同時期に私のパズル作家の道が始まったように、今回もこのタイミングを待っていたように、私の前で新たな幕が開いたことです。

昨年の10月、母の他界から6日目のことでした。
その日、私はかねてから予定していたボランティア活動に参加したのですが、そこで地元の「在宅介護者友の会」の会長と知り合い、入会を誘われたのです。
身内の介護をしている人の、息抜きや助け合いのための会とのこと。
不思議なのですが、私自身が実際に在宅介護をしている時には一度も接触の無かった会です。
それがこのタイミングで関わりを持つことになるとは?
「経験を活かして協力して欲しい」と言われ、ただ思い出にひたって日々を過ごすより良いと思い、協力員として入会することにしたのです。
それが〝こと〟の始まりでした。

入ってみると会員は私より年配のおば様たちが殆ど。
最初はどうなることかと思いましたが、介護の真っ最中の人や介護経験がある人が中心なので、皆、思慮があって、私もすぐに馴染むことができました。
介護施設の見学会をしたり、ミニ旅行をしたり、年始には年賀状の代わりに絵手紙を送ったり、体験談を話し合ったり…
そういうことの企画や準備・案内状の作成などが、私のように介護を終えて少し余裕のある会員の役割になります。
本当は、介護を終えたあと暫くはのんびりしたいと思っていた私ですが、気がつくとけっこう忙しい毎日になっています。
でも、こういう忙しさは精神衛生上良いんじゃないかとも思います。
私の介護経験が誰かの役に立つとしたら、それがたぶん、父と母がこの世に生きた証しにもなる。
そしてそれを役立てていくことが、これからの私の役割だと考えていいんだろうと思うのです。

そんなわけで、もっと寂しさに打ちひしがれるかと覚悟していましたが、意外と大丈夫でした。
まぁ、今の状況に慣れて落ち着くまでの数か月は、気が抜けたりだらしなくなったりしないようにと、無駄に気負ってましたけどね。

先月から、父と母が入居していた介護施設に、月1回ボランティアに行くことにしました。
最も大変な時期を、この施設の人たちに助けてもらったからこそ、今の自分があります。
そのことは忘れちゃいけない。
だから、少しでも恩返ししたいと思うのです。

これまでの諸々の経験がうまい具合に組み合わさって、今の自分がどうあるべきかを示唆してくれている気がします。
そして、その決断と行動をするのは私だけれども、そこには父や母が私に残した影響が強く反映されているとも思っています。
二人は、こんな私をどう見ているでしょうか。


今振り返ると、たしかに過酷な経験ではありましたが、その全ては絶妙のタイミングで起こっていた気がします。
神は乗り越えられない試練は与えないと言います。
ギリギリ乗り越えられるさじ加減の試練を、神はを与えているのでしょう。
そしてそれを乗り越えていく過程で、人は強くなったり成長したりできるのだと思います。
そういったことを私が身をもって示すことで、誰かの励みになればと思っています。

現在、介護の真っ最中の人たちにも、どうか素敵な明日がありますように。


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