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pride and vainglory -澪標のpostmortem(ブリッジ用語です)-

初歩の文書分析と論理学モドキ(メモ)

遮眼革・シャドーロール❷How many possibles/impossibles

2022-08-29 06:55:22 | Postmortem
 日本語世界ではあまり一般的ではありませんが、英語世界では”impossible(不可能)”と言う単語を幾つかのカテゴリに下位区分して取り扱う事がよくあります。所謂クリティカルシンキングと呼ばれるものが招請される状況で、提示された意見の含意と実現性を考察するためのツールとして使用されます。
 アドホックな用語ですので、サブカテゴリの数も区分の仕方も一定ではありません。その都度定義づけが必要なものですが、参考までに教科書的用例を一例をご紹介しておきます。香港大学Critical Thinking Webより。
 さて今回は以下のサブカテゴリ分けを致します。

 ①哲学的不可能:言明自体が矛盾していたり、含意が多義的(明定不能)である場合。
   EX. 六角の四辺形、君の瞳に映るこの花の色は僕の瞳に映るこの花の色とは違う。
 ②科学的不能:科学的知見・定説に照らして不能(将来における訂正の可能性あり)
   EX. 光速を超える物体、タイムマシン
 ③技術的不能:科学的には可能なだが、現在の技術では試作不能
   EX.核融合炉
 ④製造上不能:試作は可能だが、商用機は製作不能
   EX.ラムジェット旅客機
 ⑤プロセス的不能:コストに見合った製作不能:量産費用、社会的費用、部品調達etc
   EX.高速増殖炉
 ⑥システム的不能:周辺環境整備を含めての継続的機能実現不能
   EX. 過去の例:コンコルド

 人文科学・社会科学系の方は往々にして③までをクリアすると一気に⑥までをクリアしたものとして扱いがちです。

 精密照準できなければ超音速ミサイル(「第三次世界大戦はもう始まっている」)は第二次大戦型長距離榴弾砲の近代化型に過ぎませんし、一定期間(多分一世代以上)生産レベルを維持できない脱成長コミュニズム(人新世の「資本論」)は新型ラッダイト運動に過ぎません。

 カテゴリーの意識的/無意識下の混同とその間の自由自在の八艘飛び。様式美ではありますが桃源の夢想です。
   
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