ひろば 研究室別室

川崎から、徒然なるままに。 行政法、租税法、財政法、政治、経済、鉄道などを論じ、ジャズ、クラシック、街歩きを愛する。

再掲載:東急大井町線途中下車(5)等々力駅

2017年06月07日 00時00分00秒 | まち歩き

 〔今回は、「待合室」の第461回として、2012年1月22日から同月29日まで掲載したものです。写真撮影日である2011年11月20日当時の様子をお伝えしたく、文章に修正の手を加えておりません。従いまして、現在とはかなり状況が異なっていることに御注意ください。〕

 大井町線の途中下車シリーズは、便乗の形で二子玉川と旗の台を、独立の形で尾山台と九品仏を取り上げました。今回は第5弾として、東急では屈指の難読駅名の一つ、等々力(とどろき)駅を取り上げます。ここも急行通過駅です。

 等々力駅の駅名標は、1980年代頃から東急で使用されていた様式のままです。大井町線には、いくつか、旧仕様の駅名標を使い続けている駅があります。シンプルで見やすいこのタイプも、私は好きなのです。

 九品仏駅を取り上げた時に、私は次のように書きました。

 「九品仏駅の構造は、珍しいとまでは言えなくとも現在ではあまり見られないものとなっています。御覧のように、駅舎が踏切の間にあるのです。大井町線では等々力駅も同じような構造になっていますが、他にはありません。」

 御覧のように、等々力駅も九品仏駅と同じような構造となっています。しかも、九品仏駅の場合は踏切を自動車が通りますが、等々力駅の場合は完全に歩行者専用となっています。上の写真は、北口から駅舎を撮影したものですが、上り電車が接近すると手前の踏切の遮断機だけが下ります。下り電車が接近すると奥の踏切の遮断機だけが下ります。

 同じ駅舎を、今度は南口から撮影しました。等々力渓谷に向かうには、こちら側に出たほうが便利です。「とどろき」という地名の由来についてはいくつかの説がありますが、最も有力なのは、等々力渓谷の滝の音が轟くというところでしょうか。

 なお、等々力という地名は、多摩川をはさんで反対側の川崎市にもあります。中原区等々力です。現在、地図で見ると東京都世田谷区等々力と川崎市中原区等々力は、多摩川を抜きにしても全くつながっていませんが、かつては同じ等々力村に属していました。等々力サッカー場、等々力陸上競技場は川崎市中原区にあり、最寄り駅は東急東横線の新丸子駅、東急東横線とJR南武線・横須賀線の武蔵小杉駅、およびJR南武線の武蔵中原駅ですが、どの駅からも離れており、バス路線が通っています。

 駅から少し歩くと、自動車が通る道路の踏切があります。私が立っているところ(影だけが手前に写っています)は等々力渓谷のほうです。踏切の手前の左側に中華料理屋があり、さらに手前のほうに進むと成城石井があります(かつては小さな八百屋さんでした)。そこが小さな交差点となっていて、脇に入ると等々力渓谷にかかる橋があります。東京都の特別区の区域で、渓谷があるのはここだけです。

 等々力駅の駅舎を撮影してみました。手前の下り線と奥の上り線との間に挟まれた小さな駅舎であることがおわかりになると思います。等々力駅の所在地は世田谷区等々力3丁目1番1号となっています。

 今度は反対側を撮影してみました。右側手前に中華料理屋のメニュー書き看板が見えます。その奥が成城石井等々力店です。道路に横断歩道があり、そこが交差点となっていて、その交差点を右折すると等々力渓谷にかかる橋です。なお、この道路を真っ直ぐ進むと目黒通りで、環状8号線との等々力不動前交差点にも近いのですが、自動車では都立大学駅前方面にしか進めません。

踏切を渡り、駅の北側へ向かおうとしています。こちらが下り線のほうです。

 踏切の上から撮影してみました。上野毛駅の方向です。奥に見える木々は、等々力渓谷につながる谷沢川に沿って生育しています。大井町線は右に曲がってからこの川を越え、上野毛駅に向かいます。

 今度は上り線です。大井町線はカーブの多い路線ですが、等々力駅と次の尾山台駅は直線で、上り線は真っ直ぐ進みます。奥に見えるのは目黒通りの高架橋です。都内の道路で、私が最もよく利用してきた道路の一つでもあります。また、等々力不動前交差点から目黒通りを進むと、東北新社の建物が見えます。本社ではないのですが、放送センターがあり、衛星放送を手がけているとのことです。

 東京都の特別区で最も人口が多い世田谷区(この区だけでも政令指定都市になれるほどです)は、面積も広く、また、歴史的な経緯もあり、いくつかの地区に分かれています。そのうちの一つが玉川地区で、等々力は玉川地区の行政の中心地でもあります。駅の北側に世田谷区役所等々力出張所、玉川総合支所、玉川区民会館があります。また、先ほどの踏切の道路を真っ直ぐ北へ進むと玉川警察署、玉川消防署、そして玉川郵便局があります。

 目の前の道路はバス通りです。主に東急バスが通りますが、都営バスも通ります。そして、東京駅南口まで走るバス(東急と都営の共管)も出ます。一度乗ってみたいと思っているのですが、かなり長い路線であるだけに、退屈になるかもしれません。

 手前は玉川総合支所で、等々力出張所もこの中にあります。奥は玉川区民会館です。また、玉川地域には用賀出張所、および用賀出張所二子玉川分室があります。なお、玉川地区を構成するのは、等々力の他、駒沢(3丁目から5丁目まで)、駒沢公園、新町、桜新町、深沢、用賀、上用賀、玉川台、瀬田、玉川、上野毛、野毛、中町、玉堤、尾山台、奥沢、玉川田園調布、東玉川です。

 

 駅に戻りました。等々力渓谷の様子を取り上げたかったのですが、それはまた別の機会といたしましょう。

 この駅の自動改札機の設置場所には特徴があります。手前は乗車だけ、奥が降車だけとなっています。位置がずれているのです。ピンク色の機械はICカード(PASMOおよびSUICA)専用、青色の機械はICカードも切符も使えます。鉄道趣味の本でもほとんど触れられていませんが、東急は首都圏の私鉄の中でもかなり早いうちから自動改札機を設置してきており、切符もかなり早い時期から磁気券でした。

 ホームの端から尾山台駅のほうを眺めます。尾山台駅のホームが見えます。営業キロで、等々力駅から尾山台駅までは500メートルに過ぎません。実際にはもっと近いかもしれないのです。

 そもそも、大井町線の駅間距離は短いところばかりです。以下、営業キロで示しますが、最も長いのが上野毛駅から二子玉川駅の1.2キロメートルで、その次が緑が丘駅から自由が丘駅までの1キロメートルです。あとは1キロメートル未満であり、500メートルという区間は、他に荏原町駅から旗の台駅まで、および大岡山駅から緑が丘駅まで、この二つです。

 等々力駅の1番線、下りの案内表示機です。上に表示されているのが先発、下に表示されているのが次発です。

 種別の欄を御覧下さい。同じ「各停」でありながら、色が違います。実は、大井町線の各駅停車には二種類があり、表示の色で区別されています。

 青地に白字の表示の各駅停車は、田園都市線の二子新地および高津に停車する各駅停車で、B各停とか青各停と言われます。車内放送では田園都市線に乗り入れるという趣旨が言われることもあります。平日および休日の11時台~15時台を中心に走ります。また、上りは早朝に田園都市線の鷺沼駅から発車する数本が、下りは夜に田園都市線の鷺沼駅まで走る数本があります。

 他方、白地に緑字・緑枠の各駅停車は、田園都市線の二子新地および高津に停車しない各駅停車で、G各停とか緑各停と言われます。ほとんどの各停はこのタイプです(こちらには鷺沼始発または鷺沼行がありません)。本当は全ての各停が二子新地および高津に停車するのが望ましいと思うのですが、何とかならないのでしょうか。


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