昨日(2023年2月28日)に報じられていましたが、タイトルに示したように、JR北海道の根室本線の富良野駅〜新得駅の区間が2024年春に廃止され、バスに転換される可能性が高まりました。北海道新聞が「富良野ー新得、24年春バス転換か 鉄路廃止は3月中にも合意」(https://www.hokkaido-np.co.jp/article/808221)として昨日の5時付で報じていますが、会員でなければ全文を読むことができませんので、Yahoo! Japan News同日13時15分付で掲載された「富良野ー新得のバス転換来春か JR根室線 来月合意の可能性」(https://news.yahoo.co.jp/articles/02d84db90b6323448c6f4389c7b374808a648ff7)によることとします(タイトルは違っていますが同じ記事のようです)。
今回取り上げる根室本線富良野〜新得については、このブログでも「JR根室本線の富良野駅〜新得駅は廃止される方向へ」(2022年1月30日18時0分0秒付)などにおいて扱っています。JR北海道が言う単独維持困難線区の1つであり、東鹿越駅〜新得駅の区間が2016年8月に台風の被害に遭ったことで不通となっています。
沿線自治体は、既に鉄道路線の存続を断念しており、今月中に首長会議を開くことで調整しているようです。その内容は代替バス路線や転換費用で、調整に手間取っていたようです。2023年度中にバス転換という方向性が採られていたようですが、バスを新規に購入するとすれば納期の関係と習熟運転(新規路線の試運転など)の必要性から、2023年度中には難しいということになったようで、鉄道廃止後のバス路線についてもまだ調整が付いていない部分があるのではないでしょうか。上記Yahoo! Japan News掲載記事によると「廃線後のバス路線については、北海道拓殖バスと十勝バス、道北バスの3社が現在、旭川―帯広間で1日3往復している都市間バス『ノースライナー』の狩勝峠経由を増便し、現在は停車していない国道38号沿いの南富良野町の落合駅近くでも乗降する案や、ノースライナーが通らない国道237号沿いの同町金山地区と富良野市街地を結ぶバス路線の拡充などが検討されている」とのことですから、これから詰めるということなのでしょう。2023年度中の転換は無理と考えるのが妥当です。何しろ、富良野駅〜新得駅の区間は81.7キロメートルです。東京駅からの距離に置き換えて考えてみると、東海道本線であれば鴨宮駅までが80.8キロメートル、中央本線であれば鳥沢駅までが81.2キロメートル、東北本線であれば小山駅までが80.6キロメートル、総武本線であれば松尾駅までが82.5キロメートルですから、バス路線の調整に時間がかかってもおかしくありません。
以上のようなことから、鉄道路線の廃止は2024年4月(以降)となりそうです。そして、根室本線は滝川駅〜富良野駅と新得駅〜根室駅とに分断されることとなります。
廃止の理由は複数存在するでしょう。産業構造の変化による人口減少(芦別市などに炭鉱がありました)、モータリゼイションの深化、石勝線の開通による特急列車の経路の変化などです。旅客需要の動向によっては、バス転換後も問題は残るでしょう。鉄道路線の廃止によって公共交通機関の衰退が止まるとは考えないほうがよさそうです。
今年の4月1日に留萌本線の石狩沼田駅から留萌駅までの区間が廃止され、2026年4月1日には深川駅から石狩沼田駅までの区間も廃止されることにより、留萌本線は姿を消します。また、存続はすると言っても、根室本線の釧路駅から根室駅までの区間(通称は花咲線)も単独維持困難線区であり、今後の状況によっては路線の廃止、または途中駅の廃止などが進められることとなります。現在開かれている国会で「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律案」が内閣から提出されていますが、果たして、法律が改正されることによって公共交通機関の衰退に歯止めをかけることはできるでしょうか。それだけでなく、私も論文を書いたことがある交通政策基本法は役に立っているのでしょうか。
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