長らく運休が続いている日高本線の鵡川・様似間の廃止について、JR北海道と沿線7町が合意したようです。朝日新聞社が、2020年9月29日10時付で「日高線の鵡川―様似間廃止で大筋合意 沿線7町とJR」(https://www.asahi.com/articles/ASN9X73HQN9XIIPE017.html)として報じています。
7町とは日高町、平取町、新冠町、新ひだか町、浦河町、様似町およびえりも町です(えりも町には鉄道路線がありません)。存廃問題が浮上してから、7町の首長が会議を繰り返してきました。9月28日に臨時の町長会議が新ひだか町で開かれ、JR北海道副社長なども出席して、沿線自治体とJR北海道が2021年4月1日の廃止ということで合意しました。勿論、廃止のみが合意されたのではなく、7町は18年間のバス運行費として20億円、地域振興費5億円をJR北海道から受け取ることも合意の対象でした。
さらに、護岸の復旧費用もJR北海道が原則として負担するということですが、具体的な内容はまだのようです。
なお、今回は大筋合意ということで、正式な合意は10月になされます。
ただ、沿線自治体の首長が会議を繰り返すという方法については、住民から批判もあるようです。会議が非公開であったということで、情報公開が不十分であったということでしょう。勿論、会議の非公開が直ちに情報公開の不十分さにつながる訳ではありません。私自身も沿線で深くこの問題を追いかけた訳ではないので、決定過程が不透明であったか否かは即断できませんが、住民の生活に関わる問題であるだけに、住民間の異なる意見をどのように反映させるか、または調整するかという課題は常に存在します。
また、廃線・バス化ということで、児童・生徒の通学の問題も出てきます。沿線には北海道立静内高校があり、登校時には混雑するようです。ダイヤ編成が重要で、バス路線の中には高校生の通学時間帯と合わないというものもあるようです。
実際のところ、路線バスにどの程度の利便性があるのかはわかりません。現在の代替バスについては時間がかかりすぎるという声もあるようですし、鉄道路線を廃止してバス化したらさらに利用客が減り、廃止に至って公共交通機関が消滅するという地域も少なくないようです。
さらに記すと、日高本線が苫小牧・鵡川間のみの路線として存続するとして、いつまで存続可能かという問題もあるでしょう。この区間もJR北海道単独では維持困難であるとされています。国や沿線自治体が支援するといっても、財政状況などによっては支援が打ち切られることもありえます。まずは留萌・増毛間が廃止され、残る深川・留萌間も廃止が議論される留萌本線と同じようなことになるかもしれません。