昨日(2016年10月25日)の9時2分付で、朝日新聞社が「 JR、3線区廃止検討 バス転換など視野に」として報じていました(http://digital.asahi.com/articles/CMTW1610260100001.html)。今日付で、乗りものニュースのサイトにも「『北の国から』『鉄道員』の舞台、過去のものに? JR北海道、3線区廃止の場合」という記事が掲載されています(http://trafficnews.jp/post/59151/)。
7月30日14時34分27秒付の「いよいよJR北海道の鉄道路線の大整理(?)が始まるか」において取り上げたように、JR北海道は鉄道事業の抜本的見直しを正式に表明しています。同社の場合、1980年代であれば第一次特定地方交通線に指定されたであろうというほどに輸送密度が低い路線が多く、とくに500人未満の路線として、留萌本線の全線(深川〜留萌〜増毛)、宗谷本線の名寄〜稚内、釧網本線の全線(網走〜東釧路)、根室本線の滝川〜富良野〜新得および釧路〜根室(花咲線と言われる区間)、日高本線の全線(苫小牧〜様似)、札沼線の北海道医療大学〜新十津川および石勝線の新夕張〜夕張(夕張支線)があげられています。私は、同記事において「500人未満の路線は廃止が前提とされるでしょう」と記しました。既に留萌本線の留萌〜増毛の廃止は決定事項でしたし、札沼線の北海道医療大学〜新十津川も運転本数が非常に少なく、留萌本線と輸送密度の低さを争うような状態であるとともに、浦臼〜新十津川に至っては今年のダイヤ改正で1日1往復となっており、公共交通機関としての存在意義を疑われかねない状態になっています。石勝線にあった楓駅(現在は信号場)を思い起こせば、廃止は時間の問題であると考えてよいでしょう。
さて、10月、今回の主題です。やはりというべきか、上掲朝日新聞社報道では、札沼線の北海道医療大学〜新十津川、根室本線の富良野〜新得および留萌本線の深川〜留萌について、JR北海道がバス転換などを検討している旨が報じられています。ちなみに、石勝線の新夕張〜夕張(夕張支線)については、8月に一定の条件が付された上での廃止を夕張市が提案し、これを受けてJR北海道も正式に申し入れをしたとのことですから、事実上は廃止が決定されたこととなります(あとは時期の問題でしょう)。
留萌本線は、既に廃止が決まっている留萌〜増毛を含めて全線の状況が芳しくなく、札沼線の末端区間は前述の通りです。根室本線については、石勝線の開通とともに滝川〜新得が実質的に幹線からローカル支線に転落したようなもので、やはり状況は悪いようです。釧路〜根室も輸送密度が低いのですが、こちらを廃止すると根室地方および釧路地方の交通体系に影響が出るでしょう。利用客が少ないからといって直ちに廃止する方向には向かえないはずです。ただ、輸送密度が2000人未満の路線についても、JR北海道は自ら単独で維持できないとしており、今後の動向が気になるところです。おそらく、少なくとも利用客の少ない駅の廃止は進められることでしょう(これまでにも行われてきましたが、いっそう進められるということです)。
JR法を参照しなければならないかもしれませんが、上下分離方式なども検討されるかもしれません。ただ、財政力の弱い地方自治体が負担に耐えられるかという疑問は残ります(そもそも、上下分離方式を採用すると固定資産税による収入が途絶えることとなります)。1980年代であれば第三セクター化することが真っ先に考えられたところですが、その後の実態を見れば選択肢から外れるのが自然なところです。輸送密度が2000人未満の路線としては宗谷本線(但し、名寄〜稚内は500人未満)、釧網本線などがあり、長大な路線、貨物輸送に欠かせない路線があるため、簡単に廃止とは行きません。とくに北海道の場合、冬の輸送を念頭に置かなければならないのです。
今年、北海道は台風に見舞われて大きな被害を受けました。JR北海道の路線も同様です。元々、三島会社の一つとして経営基盤が脆弱だとされていただけに、 台風による被害は同社の経営を直撃したと考えられ、営業路線網の見直しは加速されるのではないかとも予想されます。
これについて、JR北海道はまだ正式に意見を表明していませんが、日高本線も輸送密度が非常に低いことから、廃止の方向を採るものと考えられます。
そうであれば、苫小牧〜鵡川のみが残るということになるのでしょう。