表題の作品はドイツ映画。扱っているのは世界のウラン鉱山(イエローケーキとは精製されたウラン核燃料のこと)。日本は地下資源がないので分かりにくいが、ウラン鉱山もまた採掘した鉱物や泥や粉塵が放射能を周辺にばら蒔いていると言う当たり前の事実を伝えるドキュメンタリー。
大きく3ヶ所の鉱山現場が取り上げられる。最初は東ドイツ南部、アフリカのナミビア、そしてカナダ。東ドイツ(ソ連側)とカナダ(アメリカ側)はそれぞれ冷戦時代の核軍拡競争とも深く関わっている。一方ナミビアはまるで日本の原発で潤った地方の過疎地そのもの。鉱山が地元に莫大な利益をもたらすと住民を説得し、反対運動を潰して行く。現地の人々は未開で素朴な暮らしをしているが、それでもウラン鉱山は危険なものだと知っていた。むしろ東ドイツの方が共産主義政権下で情報統制され、炭鉱夫たちは何も知らずに働いていた。
巨大な採掘のゴミが広大な敷地(未開の地の平原にどこまでも広がる)に高く山積みされている映像は廃墟でありながら、グランドキャニオンのような美しさも見せる。自然の脅威と言うのはそういうものだ(「100,000年後の安全」は未来派futurismoのような人工的な美しさが印象的だったが、この作品はむしろモノクロフィルム映像を交えてノスタルジックに描いている)。しかし、ナミビアの掘削現場はかつて国立公園の一部だったが、今後二度と国立公園には戻れないだろうと言う。
私たちは今のところ、原発事故による放射能拡散を問題にして(核燃料廃棄物処理の話題も時々出るが)議論しているが、ここで更に「ウラン掘削の現場の人々に対する健康責任」と言う問題も考えるべきだ。日本だけの問題ではないことを考えれば、運動は世界と連帯して更に強くなるのではないか。
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