DayDreamNote by星玉

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flake16.彼

2018年11月07日 | 星玉帳-Star Flakes-
【彼】


霧の星で出会った彼は毎日のように墓のそばに座り本を開いていた。


が、ある深い霧の晩を境にその姿はぷっつりと消えた。


墓のそばには本が残されていた。


表紙は破れインクはかすれていたが微かに異国の文字が読み取れた。



霧の中

彼の墓と異国の文字と丸まるように本を読む彼の姿を抱き直す。


今も何度も。




flake16『彼』