DayDreamNote by星玉

創作ノート ショートストーリー 詩 幻想話 短歌 創作文など    

#93.蜜

2018年05月18日 | 星玉帳-Blue Letters-
【蜜】


飴色の壺を抱えたキツネとすれ違う。



「何が入っているのですか」と問うと



星樹の花からとった蜜だと言う。



「傷みの治療に使います。いかがですか」



と一匙分けてくれた。



蜜から香る花香はどこか懐かしく



傷にひどく染みた。



礼を言う間もなく



「奥で待っている者がいるので」と



キツネは森の奥へ奥へと軽やかに駆けていった。