大工風の道

仮設住宅ってわけでもないけれど、
ま、しばらくここで様子みようっと。

2006年04月02日 | 記憶
春の雨のなか、庭の片隅に穴を掘っていた。
実は昨日の午後、十数年も一緒に暮らした猫Kがひっそりと息をひきとった。
数日前から食事もままならず、めっきり弱っていた。

子どものころから、実家にも何かと猫が居たので、こうしていくつも穴を掘ってきた。
いずれも迷い込んできたり、拾ってきたり、その猫がウチで産んだ子であったり、そのたびに悲しくてやりきれない…ってのを繰り返してきた。

猫とはいえ、あまりに長く居ると、少しは人間の言葉や生活を理解していたように思う。
建具なんか普通に開けるし。

しかし所詮「畜生」であって、人間ではない。

彼らには彼らの世界があって、人間と共生しているに過ぎないのかな?と思うこともある。
彼らの世界において、周りが悲しんで手厚く葬っても、それがいいのかどうかはわからない。
かといって、これが悲しくないわけはない。

残された、これまた血縁のない二匹の迷い猫らも、そんなことを全然気にも留めずに、食事をねだり、ストーブの前で気持ちよさそうに身づくろいをしている。
人間である自分が、そんな姿をみると、かえって悲しくなる。

Kの隣には、10年近く前に死んだ、Kの友のSが同じように埋まっている。
2匹ともほぼ同じ時期に生まれたのだから、そう思うと随分と長生きしたもんだ。
すぐ横には1週間ほどだけウチにきて、名前もつけないうちに死んでしまった子猫。


単純に「友人」であり「家族」であったKをなくした悲しみと、何かわからない、どんよりとしたこのせつなさ。
答えがでないまま土を埋め戻しながら、Kの思い出とともに、子どものころ、一緒にくらした猫たちのことを、思い返していた。






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