大事小事―米島勉日記

日常起きる小さな出来事は,ひょっとして大きな出来事の前兆かも知れません。小さな出来事に目を配ることが大切と思います。

鳩山由紀夫の自爆テロ―当初からまとめるつもりがなかった普天間基地問題

2010年04月26日 22時46分00秒 | Weblog

 昨日の沖縄県民大会をもって,普天間基地移設問題は決定的に破局に至ったと見てもよいでしょう。来月5月末になろうがこの問題に糸口すら見出せず,鳩山由紀夫自身が公言しているように責任をとる,と云ってもどうにもならない,と云うのが期限の35日前の現時点でのおおかたの見方でしょう。
 しかし不可解なのは,腹案があるだとか,5月末にはきちんとした政府案を出して結着する,だとか云いながら,政府あるいは民主党内から打開案と目される案が提案されるたびに,鳩山由紀夫自身から,打開案を即座に否定するコメントが発せられることです。その姿は,むきになって,そんな案を出してくるんじゃない,と云っているかのようです。
 最新の案と見られるものは,自民党政権時代に米国側と合意に至ったいわゆる「現行案」を若干修正した案で,岡田外相らが提案したことになっていますが,これすらも鳩山由紀夫は即座に否定し,辺野古の海岸を埋め立てるのは,環境に対する冒涜である,とまで極言しています。
 これでは,米国,沖縄県民,連立与党の3元連立方程式(3次方程式ではありません,マスコミの誤用,念のため)を解けるはずもありません。
 いったい鳩山由紀夫が最初に政府案提案の期日として設定した3月末日を過ぎて唐突に「腹案をもっている」と云いだしてから,腹案なるものが具体的に示されたことはないではありませんか。そして結着の期限として繰り返し表明している5月末日までの残り35日に何も出てこない気配。結局はデッドラインは守られないのではありませんか。
 鳩山由紀夫は,自ら認めているように真実「愚かな総理」なのか,それとも全く別の結着を「腹案」として隠しているのか,に限りない疑問が湧き起こります。
 多分前者,つまり全くの愚かな総理であるのでしょうが,わずかに残るのは,もしかすると何かあるんじゃないか,という疑惑です。
 いままで大新聞すら提起していない疑惑とは次のようなものです。
 「鳩山由紀夫は,日本への米国空軍および海兵隊の駐留を否定するために,まず前政権と米国との合意が成立していたいわゆる「現行案」を否定する。次いで,沖縄県民の痛みはよく分かるから,沖縄県外への移設を軸とする,といかにも沖縄県外への移設案が実現可能なように見せかけた民主党政権としての代替案を提起する。これにより,沖縄県民に過大な期待を与え続ける。
 もちろん,代替案が実現可能であるとは,民主党議員ですら思っても見なかった。なぜなら,前政権が12年の歳月をかけてやっとまとめ上げた「現行案」を覆すような新提案がわずか数ヶ月で,しかも政治に,とりわけ防衛政策に暗い素人の民主党議員から出てくるとは誰しも考えていないからです。(事実,これまでの民主党政権の提案は,すべて空論でした。)
 それを,いかにも新提案がある,5月末日までに結着する,と云い続けたのは,これで米国を怒らせることができる,日米関係を悪化させて,相互信頼関係を失墜させることができる,結果として米国は沖縄からグアムなどに後退して日本を守らなくなることになるだろう。というのが鳩山由紀夫の描いていたシナリオなのではないでしょうか。
 なぜなら,政権交代前,かなり前からの鳩山由紀夫の持論は,日本にとって米国の常時駐留は不要である,有事にだけ出てくればよい,と云うことでした。
 その持論にのっとれば,普天間基地問題などはこじれればこじれるほどよいのです。米国側から見切りをつけてくれればなお結構。日本は結着に向けて首相以下「死にものぐるいで日夜」努力しているのに,米国側が離れていった,と責任転嫁できるからです。
 ですから,普天間基地移設問題に関する今日の混乱は鳩山由紀夫のシナリオ通りなのです。
 じゃ,5月末にどうするか。鳩山由紀夫にとって,「辞めればいいだけの話」なのです。そうでなくとも政権発足当初の支持率75%が,たった半年を経ただけで20%台まで落ち込んでおり,しかも不支持の理由が鳩山由紀夫本人の無能によるものとされているのですから,総理の地位にしがみつく気は毛頭ありません。なあに,辞めたって生活費はママが出してくれるのですから。つまり,自爆テロによって,かねてから夢想していた脱米国を実現しようとしたわけです。
 退陣した後で,「私は,当初からこのような結果になることを望んでいた」とでも胸を張って言明するつもりかも知れません。そして,「これこそが米国離れの究極であり,日本は日本人だけのものではない」などと幼稚な夢の実現を独り喜ぶのかも知れません。
 鳩山由紀夫は,おおかたの日本人にとって,大いに迷惑な人間,いや有害無益,危険な人間なのです。願わくば,鳩山由紀夫がただの馬鹿,愚かな総理であって欲しいものです。