大事小事―米島勉日記

日常起きる小さな出来事は,ひょっとして大きな出来事の前兆かも知れません。小さな出来事に目を配ることが大切と思います。

鳩山お坊ちゃまが国民目線の政治だって―目白台から下りてこい

2009年05月28日 19時39分46秒 | Weblog

 小沢一郎が最後まで拒絶していた麻生総理との党首討論(正確に云えば最後には応諾しておいて代表辞任ですっぽかし)が,鳩山由紀夫代表になって昨日実現しました。
 その首尾については,麻生首相65点,鳩山代表80点と脳天気な採点(高瀬淳一・名古屋外大教授)をする人もいれば,首相80点,鳩山20点と採点する人(漫画家・弘兼憲史氏)もいました(→5月28日付け読売新聞)。
 昨日の党首討論で私が一番気になったのは,鳩山代表がさかんに「国民目線の政治をする」とか「友愛精神で政治をする」とか「官僚主導の政治ではなく,国民の政治をする」と繰り返していたことです。この際,友愛精神などと云う訳の分からない抽象的言語は無意味なので放っておきましょう。安倍元首相の「美しい日本」と同程度のものに過ぎません。
 ここで問題にしたいのは,「国民目線の政治」という文言です。
 いったい鳩山代表に「国民目線」を語る資格があるのでしょうか。
 よく知られているように,鳩山家は代々政治家で,曾祖父鳩山和夫は外務次官で衆議院議長,祖父鳩山一郎は云わずと知れた総理大臣,父鳩山威一郎は外務大臣,赫々たる経歴の持ち主ばかりです。
 ですから,昨今問題になっている世襲政治家の定義からすれば,鳩山由紀夫は実に4代目の世襲政治家となります。これだけ見ても,自民党の政治家よりも格段の世襲政治家ですが,これも措いておきましょう。付言すれば鳩山由紀夫は元自民党議員ですが。
 問題としたいのは,この鳩山家が政治家の中でも群を抜いた資産家だと云うことです。古いデータですが,2000年の資産公開では資産総額23億7,208万円,自民党の笹川尭に次いで第2位の資産家です。
 それも,鳩山由紀夫自身が築いたものではなく,4代前から築き上げた資産です。鳩山由紀夫自身は現在田園調布に住んでいるらしいのですが,東京都文京区音羽には鳩山家の歴代当主が居住した豪邸があり,かつては音羽御殿と呼ばれていましたが,現在は鳩山会館として一般公開されているようです。鳩山由紀夫もこれを利用して,今年も民主党議員などを招いて観桜会を開いたと報道されました。
 この鳩山会館を私も知っています。飯田橋方面から早稲田に近い江戸川橋まで来て,音羽の方に右折してすぐに左折すると急な坂があります。これを登っていくと左手に目白台アパート(現目白台ハウス)があり,右手に音羽御殿,この坂をさらに登ると椿山荘に至り,さらに田中角栄の目白御殿がありました。椿山荘も含めてこの高台から眺めると,右手は早稲田大学から埼玉方面,左手は飯田橋,さらには神田神保町などが下町として一望できました。
 こんな音羽御殿で育って下町を高台から一望していた鳩山由紀夫に,「国民目線の政治」などを論じる資格があるのでしょうか。本人の経歴からして,東京大学,スタンフォード大学院卒,スタンフォード大学Ph.D.,大学助教授経験。
 こんな苦労知らずの育ち方をして,巨額の資産を保有して,先年のリーマン・ブラザーズ破綻当時には個人の保有株式で27億円の損失(弟の鳩山邦夫も同額)を被ったのに顔色ひとつ変えずに平然としていたというこの人物が,「国民目線の政治」といっても「ふざけるな」と云いたくなります。
 本当に国民目線を主張するのであれば,目白台から下りて,高級住宅地として知られる田園調布の現住所からも出て,足立区にでも住んでみたらいいでしょう。足立区を持ち出すのは穏当ではないかも知れませんが,足立区民の多くの苦労を知らなければ,軽々に国民目線の政治などと云うものではありません。お坊ちゃま。