備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『イリアス』

2010-09-21 21:22:12 | 国内ストプレ
(パンフ続き)ヘクトルを倒すが、パトロクロスの亡霊に悩まされるアキレウス。一方、殺された息子・ヘクトルの遺骸の返還を求め、連合軍の元に向かうプリアモス王。膝を折るプリアモス王に対し、帰還後、葬儀を行う10日間は攻めないと誓う、アキレウス。『イリアス』の話はここで終わるが、と前置きし、トロイの木馬の話をし、幕。

内野。第一声から既に潰れた声。前半のひたすら敵の情勢を待つ゛静゛の演技はちょっと『風林火山』の勘兵衛チックな演技。それゆえにいきなり、蜷川チックに激情の篭った絶叫が入るとビックリ。観ていて思うのは、やはり、゛動゛の演技の方が似合う。

池内。こちらも潰れた声。前回の『ヘンリー六世』に比べると情熱的で、このキャラが合う。
高橋。声優のイメージが大分強く、こういう舞台では結構有利。ただ、残念ながら小柄のため、地味。策士家の役なので、これはこれで良いのか?

馬渕。結構な数の舞台を観ているが、毎回印象が薄く、今回も新妻さんに喰われ、印象が薄い。可もなく不可もなく。

新妻。生歌担当な役。かなり贅沢な使い方。もちろん、プリアモス王とのシーンではセリフもあるが、やはり歌っている印象が強い。曲自体は『M・A』を彷彿。演出家が同じなので、自分が意識して観てしまうのか?

チョウソンハ。飛び道具な役。『ウィートーマス』でも観ているハズだが、ここまで暑苦しい役とは。つか劇団に居たというのが、納得な演技。

木場。この位置でこの役なので、諦めていたが、ここまでチョイ役とは。前回の『ファウスト~』よりは出番もあるが、後半の平氏に全て持っていかれた感あり。

平。今まで、日本の時代モノ(『その男』)赤毛モノ(『ドレッサー』正確には違うかも知れないが)と観てきたが、それほど残らなかった。が、今作の二幕、それも後半の一時間の喜怒哀楽の演技が凄まじい。基本、あの段階では、哀の部分が強いハズなのに、アキレウスの言葉に反応する様子から、喜・楽の表情が見えてくる。隣で主役がセリフを話しているのに、つい、それに反応する表情を追ってしまう。そして蜷川版『リア王』を観なかったことを後悔。あの手の不幸を背負った役がハマりそうなので。とりあえず、年末のシェイクスピア作品は押さえたが、昨年観た吉田鋼太郎@アントニーとは違ったタイプの嫉妬に狂うアントニーになりそう。


詩を読むような群読な作品。ちょっと、『子午線の祭』を思い出した。二幕にはアキレウスとヘクトルの殺陣もあり、侍役を良くやっている内野氏の殺陣は普通に綺麗。そこ以外はほとんど詩を読むようなカンジなので、中日を過ぎていると役者の声が皆、潰れている。(ベテラン二人以外)
SEが生演奏なので、ナニゲに豪華。ヴァイオリンから奏でられる弦の音色が物悲しく、弦楽器一本でここまで表現出来てしまうのか、と。ただ、蜷川シェイクスピアで良く用いれられるモチーフと似ている処も。

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