備忘録

舞台の感想を書いています。(ネタばれ有り)Twitterはdacho115。

『おどくみ』

2011-07-10 11:05:25 | 国内ストプレ
(パンフ続き)
弁当を届けた後、インド帰りの二郎の体調が思わしくない。もしかすると、伝染病かも知れないと慌てる畑中一家。検査の結果、単なる食中りで、惣菜屋の業務停止は免れたが、妻・美枝は溜まっていた鬱憤を夫にまくし立てる。しかし、『愚弟の替わりは無いが、妻の替わりは有る』という言葉にショックを受ける美枝。
舞台は五年後、剛が店の掃除をするなか、石綿がやってくる。家の改装前に、剛の誕生祝いにやってきたのだった。その二人の会話から、あの日、一週間美枝が戻らなかったことが分かる。そして、今も店は相変わらず、美枝が切り盛りするものの、夫の幸広は前に比べれば、店に立つようになっていた。一方、弟の二郎も母親の介護をし、家の雰囲気は変わっていた。
そして、時は平成に。最後、天皇は死ぬまで天皇という会話から、美枝と幸広どちらが先に看取るかという会話で幕。


高橋。相変わらず、凛としたキップの良い役。ま、大抵、そういう役の宛て書きをされることが多いが。見た目は着物の似合う清楚な日本女優なのに、その期待を裏切る役設定。劇中、タバコを吸うシーンがあるが、それも違和感なし。
小野。こちらは映像で良くある事なかれ主義な旦那役。しかし、最後には妻を突き放す衝撃的な一言を。舞台が久しぶりなためか、若干、聞き取りにくいシーンも。最後の五年後のシーンのみ、セルフレームの眼鏡をかける。月日が経った事を表現?

浅利。映像での演技は若干、わざとらしいが舞台では気にならず。そういえば、元ガブローシュ俳優なので、舞台の方がはえるのか?ちょっと、濱田岳と被るが、こちらの方が朴訥。
黒川。映像系の女優かと思ったら、舞台演技が普通に上手い。ただ、役柄上、感情表現が"怒"だけな役なので、何とも言えないが。
下村。安定した役者陣が揃っているだけに、何故、登用?かなりの棒読み路線のため、逆に役作り?
谷川。仕草から漫画家の蛭子氏を彷彿。かなり、うっとうしい役なのに、それを感じさせない雰囲気が。
根岸。俗に言う、宮地雅子タイプな女優。脇に居るときの存在感がとてつもなくある。


昭和後期のホームドラマ。なのに、毒のある笑いと皇室をここまでネタに出来るものかと。その作品全体に流れる微妙な陰な雰囲気から、それほど青木脚本に惹かれるものが無し。
この脚本家の他作品を観たいと思わない根拠は言葉にすると難しいが、中途半端に皇室批判的な"左"よりな雰囲気が合わない。また、"松下塾"とか出さなくとも良いのでは?
この辺の中途半端な社会派な芝居を小劇場とはいえ、新国立劇場クラスの値段設定で上演しなくとも。
このメンツなら、もう少し違うテーマで観たかった。特に小野氏に至っては久々の舞台出演、それも翻訳モノ、再演モノでない新作だったのに。

半年前にキャストが発表され、今年の期待作として、昨年の観劇まとめの最後でも触れ、この手の芝居では、良席目当てに珍しく発売日に購入しただけあり、ちょっと肩すかし感有り。


暗転時に、電線に止まる鳩の映像有り。普通に壁に投影したり、居間に置いてあるテレビに写したり。また、常に餌を欲しがる鳥ということで、金をせびりにくる弟・二郎と被らせたり、平和の象徴としても、登場。
一度、暗転時に白い鳩を何羽も投影して、重ねていき明るくする演出があったが、大変綺麗。

音楽でU2の曲を一曲だけ使用。剛の破壊衝動後にラジオから"With or Without You"が流れるのだが、その流れが印象的。

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