CYCLINGFAN!!

自転車をこよなく愛し、自分の脚と熱いハートで幾つになっても、可能な限り、どこまでも走り続けます~♪

マイヨ・ロホの行方(3)

2024-08-23 15:08:40 | ブエルタ・ア・エスパーニャ
 第4ステージの頂上ゴールでマイヨ・ロホを手に入れたログリッジですが、今年のブエルタは相当暑いようで優勝候補のひとりアダム・イエーツが遅れてしまっています。続く唯一の平坦ステージはワウトがゴール前スプリントで21歳パヴェル・ビットネル(DSMフィルメニッヒ・ポストNL)に敗れるという波乱もありました。

 「影でフィニッシュラインの位置を勘違いしてしまった」というワウトですが。油断はなかったのかと思ってしまいます。DSMの下部チーム出身のビットネルは2023年プロデビューした21歳。ブエルタの前哨戦であるブエルタ・ア・ブルゴス(UCI2.Pro)の初日にプロ初勝利を飾り、大会最終日でも勝利を挙げていたものの、あくまでも下部カテゴリーでのことで、ワウト自身もまさか自分が得意のロングスプリントで負けるとは想像すらしていなかったのでしょう。

 ワウトにとってはステージ勝利をひとつ失うことになりましたが、目標とするマイヨ・プントス(ポイント賞)のライバルはカーデン・グローブスなので、彼に先着すれば問題はないのですが...これも暑さのなせる業だったのかもしれません。
 そして大波乱は続きます。第6ステージでは大逃げが決まり、ベン・オコーナー(デカトロンAG2Rラモンティアル)がマイヨ・ロホのログリッジ等に6分半以上の大差を付けて逃げ切ってしまったのです。近年のグランツールでこれ程の大差での逃げ切りは珍しく、特に総合争いの選手たちが5分近い差を付けられて逆転を許すのは初めて見たかもしれません。

 前日のビットネルとは違いベン・オコーナーはデカトロンのエースで、総合首位のログリッジから1分半しか離されていなかったのです。それをレッド・ブルもUAEもヴィスマも大きなタイム差を与えてしまったのです。猛暑の中でエースを守ることを優先したのかもしれませんが、結果、予想以上の大差がついてしまいました。絶対的なエース不在の大会なので致し方のないことかもしれません。
 今年からスポーツメーカー大手のデカトロンをメインスポンサーにしたAG2Rは絶好調で、前半戦のワールドランキングは5位でした。レッドブルがメインスポンサーになる前のボーラ・ハンスグローエより上なので、この5分近いタイム差は総合優勝争いに大きく影響してくると思っています。
 マイヨ・ロホを獲得したからといってデカトロンに集団をコントロールする力があるとは思えませんから、依然として集団コントロールはUAEやヴィスマやレッドブルが担うことになるはずです。
 第4ステージでログリッジから1分半ほど遅れていたベン・オコーナーなので、これからも勾配のキツイ山頂ゴールで遅れることも考えられますが、ブエルタは登りの距離が短いので、1つのステージでの逆転は無理でしょう。有力チームの今後の戦い方が変わって来るのは間違いないでしょう。
 今回のスタートリストを見るとツールでエースを担ったフェリックス・ガルや今年初出場となったジロの山岳ステージで初勝利を飾ったクライマーのヴァランタン・パレパントルという名が並んでいて、山岳でのアシストも揃っているので、ライバル勢にとっては、やっかいな選手にマイヨ・ロホを与えてしまったのかもしれません。大本命が不在のブエルタなら何が起こっても不思議はないのでしょう。
 



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苦を楽しむ(3)

2024-08-23 09:17:37 | 自転車と健康
 ただ、何事においても初めから出来る訳ではありません。どんな人でも少なからず失敗や挫折を経験しているはずです。挫折したままで終わるか、その挫折を乗り越えられるかで、その人の人生は大きく変わることになります。本人の力ではどうにもならないことでも、仲間やチームの助けがあれば乗り越えられることも少なくないでしょう。

 この世の中には出来ないことを責める人もいますが、出来ないことを責めても意味がありません。自分は出来るのに何でできないんだというのは理不尽でしかないのです。近年パワハラが問題になっていますが、その背景には自分は出来たのにという感情があると思っています。そして出来ないことが悪だと思い込んでしまうのです。これは価値観の押し売りでしかありません。
 大切なことは何故出来ないのかを一緒に考えてみることです。能力が無いと切り捨ててしまうことは簡単ですが、それが自分の子供や部下ならどうでしょう。これは人に対する愛情の問題なのかもしれません。能力の差ややる気の無さをどうしようもないことと捉えるか、それをその人の個性と捉えるかで対応が違ってきます。

 能力は人それぞれで、例えば運動が得意な人もいれば苦手な人がいます。もの覚えの良い人もいれば、良くない人もいます。それがその人の個性なのですから、出来ないことを無理強いしても苦しいだけで成果は期待薄です。
 ではどうすれば良いのでしょう。それは先に挙げた達成感をもってもらうこと、つまり出来ることからひとつずつ積み上げて行くことです。例えば中学の数学を苦手にしている生徒には、小学校の少数や分数からやり直したり、簡単な計算問題を繰り返し解かせることで苦手意識を無くしていく等です。
 仕事に関しても適材適所が原則で、不向きな仕事を無理強いしないことが仕事の効率を上げる上で最も大切なことです。大企業にはそれなりの人材が揃っているはずなのに、この国ではそれが適切に活かされていないことが少なくありません。結果、本当に能力がある人が海外に出てしまうこともあるようです。
 経済大国、技術大国であるはずの日本の企業の労働生産性は決して高くはないのです。2022年の日本の時間当たり労働生産性は、52.3 ドルでOECD 加盟 38 カ国中 30 位、一人当たり労働生産性は、85,329 ドル。OECD 加盟 38 カ国中 31 位という結果なのです。これは日本人の労働時間の長さが影響しています。長時間働くことが美徳という考え方が根強く、私も現役時代には苦労させられていました。

 私は若い頃から効率重視で、無駄なことは大嫌いでしたから上司からは疎まれていたと思います。休みも仕事の内と考え、有休もしっかりと消化していたので尚更でした。結果、職場を転々と変えることになりましたが、自分に後悔はありません。
 出来ないことは誰が何と言おうと出来ないですし、好きな事なら自ら買ってでもするのが人なのではないでしょうか。出来ないことで悩んでいる時間があるのなら、出来ることを探しましょう。出来る事なら頑張れるし、好きな事なら尚更頑張れるのですから。
 出来ないことを我慢してやるのは苦痛でしかありませんし、精神修行には良いのかもしれませんが、辛いと思うことは長続きしないのが一般的です。出来ないことはハードルを下げてみる。それでも出来なければ、他の選択肢を探す。大抵のことは選択と創意工夫で何とかなるものです。だからこそ選択肢を広げる広い視野が必要になるのです。
 



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