小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

米国高齢者の各種ワクチン接種率に差

2017年07月07日 10時50分07秒 | アレルギー性鼻炎
 米国における高齢者への推奨ワクチンの接種状況の記事を紹介します。
 帯状疱疹と肺炎球菌ワクチンは高齢者特有のワクチンですが、小児期に接種して経年で免疫がなくなってしまう破傷風も推奨しているところが日本と異なります。

■ 米国高齢者の各種ワクチン接種率に差
2017年07月05日:メディカル・トリビューン
 米疾病対策センター(CDC)の国立健康統計センター(NCHS)は6月28日、高齢者のワクチン接種状況について、3分の2が帯状疱疹ワクチンを受けたことがなく、半数近くが過去10年間に破傷風ワクチンを受けていなかったとNCHS Data Brief No.281 June 2017で発表した。今回の結果をまとめたNCHSのTina Norrisらは「各種ワクチン接種率は、インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンは比較的高いが、差が大きい」と述べた。

◇ 人種民族や年齢、収入によっても接種率に差
 2015年において、米国の65歳以上の高齢者は4,700万人を超えている。高齢者はワクチン接種で予防可能な感染症の合併リスクが増加するため、米国予防接種諮問委員会(ACIP)はインフルエンザ、肺炎球菌2回接種、帯状疱疹1回接種および10年ごとの破傷風の追加免疫を推奨している。
 65歳以上の高齢者の過去12カ月以内のインフルエンザワクチン接種率は69%、肺炎球菌ワクチンの1回以上接種率は63.6%と高かった。これらのワクチン接種率は、65~74歳に比べて地域在住の85歳以上で高かった。しかし、過去10年以内の破傷風追加免疫、過去の帯状疱疹ワクチン接種率は、85歳以上の高齢者のほうが65~74歳よりも低かった。また、過去10年間の破傷風ワクチン接種率は女性よりも男性で高かった一方、帯状疱疹ワクチン接種率は男性よりも女性で高かった。
 人種民族の違いがワクチン接種への制度的・社会的障壁の原因になることが報告されている。今回の研究でも、非ヒスパニック系白人は、ヒスパニック系および非ヒスパニック系黒人に比べて過去12カ月のインフルエンザワクチン接種率が高かった。非ヒスパニック系白人は、ヒスパニック系、非ヒスパニック系黒人・アジア人に比べて過去10年間の破傷風ワクチン接種率、肺炎球菌や帯状疱疹ワクチン接種率が低かった。非ヒスパニック系黒人は、ヒスパニック成人に比べて破傷風や帯状疱疹ワクチン接種率が低かったが、肺炎球菌接種率は高かった。
 ワクチン接種率は世帯収入と正の相関を示した。65歳以上は経済状態が良いほど、インフルエンザ、肺炎球菌、破傷風および帯状疱疹ワクチン接種率が高かった。

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小児C型肝炎、99%以上が母子感染

2017年07月06日 15時35分26秒 | アレルギー性鼻炎
 B型肝炎ではなく、あまり目にしない小児のC型肝炎の話題です。
 B型肝炎はワクチンで予防可能ですが、C型肝炎のワクチンは存在しません。

■ 小児C型肝炎、99%以上が母子感染、肝硬変や肝がんは皆無-久留米大
2017年06月05日:QLifePro
◇ 1986~2015年に出生し、研究条件を満たした348例を検討
 久留米大学は6月1日、小児のC型肝炎ウイルス(HCV)感染に関する大規模な疫学研究を行い、日本における小児HCV感染の疫学的特徴を明らかにしたと発表した。この研究は、同大医学部小児科学講座の水落建輝助教を中心とする研究グループによるもの。研究成果は「Journal of Gastroenterology」オンライン版に5月31日付けで掲載されている。
 調査の対象は、2012~2016年に全国の小児施設で登録された抗HCV抗体陽性症例。1986~2015年出生、17歳未満で診断、Follow-up期間1年以上、HIVとHBVの併存感染なし、の条件を満たす348例を抽出した。1986~1995年、1996~2005年、2006~2015年と出生年ごとに3群に分け、診断時年齢、最終受診時診断、治療、感染経路、ゲノタイプなどを比較検討。また、肝生検が実施されていた147例に関しては、肝組織像を詳細に検討したという。

◇ 2006~2015年には母子感染が99%以上に
 しかしその結果、診断時は3.1歳、最終受診時は10.9歳で、近年、診断年齢は有意に低下していることが明らかになった。最終受診時の臨床診断では、自然消失9%、キャリア34%、慢性肝炎4%、SVR40%、治療中5%、不明8%、肝硬変/肝がん0%で、治療は54%に実施されていた。感染経路は母子90%、水平1%、輸血5%、不明4%で、近年、母子感染の実数は増加していなかったが、感染経路全体に占める割合は増加し、2006~2015年は99%に達していたという。
 Genotypeは1型が42%、2型が57%、3型が1%と小児では2型が最多で、近年、1型が有意に減少し、2型が増加している傾向だった。147例に肝生検が行われ、初回実施時の年齢は8.9歳、感染経路は母子86%、輸血7%であった。肝組織の線維化は、F0が33%、F1が58%、F2が9%で、F3-4はなかった。
 これまで小児HCV感染に関する国内における大規模な疫学研究はなく、今回の研究成果は小児HCV感染の疫学的特徴を明らかにしたもの。近年の傾向は、より低年齢で診断され、母子感染が99%以上になり、Genotype 2型が最多になっていた。欧米では1~2%に認められる肝硬変は見られず、大部分の症例は肝組織で線維化がないか、軽度であったとしている。

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「おいしく治す食物アレルギー攻略法」(伊藤浩明監修)

2017年07月04日 06時53分27秒 | 食物アレルギー
おいしく治す食物アレルギー攻略法
監修:伊藤浩明
作成:あいち小児保健医療総合センターアレルギー科
発行:認定NPO法人アレルギー支援ネットワーク

<内容紹介>
本書は、伊藤浩明先生監修の下、あいち小児保健医療総合センター アレルギー科で実際に使用している資料をまとめた資料編と解説編に分かれています。
「資料編」は、保護者へ指導する際にコピーして使用できるパネルがまとめられ、「解説編」は、資料編のそれぞれの内容について、指導者が理解しておきたい内容が記述されています。「資料編」と「解説編」相互に、対応するページが示され、指導がスムーズにできるよう構成されています。
食物アレルギーの食事指導を行う管理栄養士の皆さまにご利用いただきたい一冊です。

この「攻略本」は、原則として各医療機関の医師の診断と指示の下に管理栄養士が食事指導を行うことを想定して作られています。食物アレルギーの基礎的な内容を網羅した解説ではありませんので、一般的な知識は成書や研修会などで学習した上でご利用ください。また、一般の方は必ず主治医の指導の下ご利用ください。




当院はアレルギー科を標榜しているので、よく食物アレルギー患者さんが相談に受診されます。
そこで避けられないのが除去解除の際の経口負荷試験とそれに伴う栄養指導です。

しかし、アナフィラキシーの既往のある重症患者さんを抱えるのは危険だし無責任とも考えられます。
アレルギー関連学会で議論になるのは決まって重症患者さんで、軽症患者さんに対するガイドラインもマニュアルも従来は存在しません。

そんな中、私は「開業医でどこまでできるか?」をずっと探り続けてきました。
近年になり、ようやく軽症者への対応も扱われるようになった感があります。

この本は、先日聴講した伊藤浩明先生のお話の中でも紹介され、私が探してきた「軽症者の診療」を扱った内容です。

・『攻略法』は、従来から「少しずつ食べてみる」指導をしてきたすべての軽症者が対象です。
・私たちは『攻略法』による食事指導と経口免疫療法の本質的な違いは、対象となる患者さんの違いと考えています。


ただ、やはりハードルがありました。
医師の他に「栄養士」ありき、なのです。
しかし現状は、総合病院でなければ栄養士はいません。

・『攻略法』は医師と栄養士がチームを組んで食事指導を行うことを想定しています。

当院の事情として、地域の基幹病院の小児科が閉鎖したことが大きく影を落としています。
いざというときの受け入れ先がないのです。
入院施設のある近隣の総合病院へ救急車で搬送しても30分以上かかってしまいます。

すると、はじめから十分な救急体制の取れる総合病院に患者さんを誘導した方がよい、とも考えられます。
やはり開業医では十分な診療は無理なのでしょうか・・・。

ちなみに、経口負荷試験を保険診療で行うには、以下の施設基準を満たし申請して許可される必要があります;

1.小児科を標榜している保険医療機関。
2.小児食物アレルギーの診断および治療の経験を10年以上有する小児科を担当する常勤の医師が1名以上配置されている。
3.急変時などの緊急事態に対応するための体制その他当該検査を行うための体制が整備されている。

当院に当てはめると、1と2は満たしますが3は不十分と言わざるを得ません。アナフィラキシー・ショックを起こした場合は医師も複数を集めて人海戦術で診療にあたるのがふつうですが、私1人しかいませんので。
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(医学雑誌拾い読み)「小麦アレルゲン」

2017年07月03日 13時22分49秒 | 食物アレルギー
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 13-1、37-41、2015
松尾裕彰(広島大学医歯薬保健学)

■ 小麦アレルギーの病型は多彩で、病型ごとに主要アレルゲンが異なる
1.即時型小麦アレルギー:経口摂取
2.パン職人喘息:吸入
3.小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA):経口摂取、経消化管感作
★ 加水分解小麦タンパク質が原因のWDEIA:経口摂取、経皮感作、眼瞼浮腫が特徴
4.小麦接触じんま疹:接触

■ 小麦アレルギーの有病率は、成人1000人あたり2.1人

■ 小麦タンパク質の分類
小麦タンパク質
→ (15%)塩可溶性タンパク質:アルブミン/グロブリン
→ (85%)塩不溶性タンパク質 → (60%)グリアジン(α/β、γ、ω1,2、ω5)
                → (25%)グルテニン(高分子量HMW、低分子量LMW) 
小麦粉に水を加えて捏ねるとグリアジンとグルテニンが重合しグルテンが形成される

■ 小麦アレルギー病型別主要アレルゲン
1.即時型小麦アレルギー:塩可溶性および塩不溶性タンパク質
2.パン職人喘息:塩可溶性小麦アレルゲンのα-アミラーゼインヒビター、アグルチニン、ペルオキシダーゼ、脂質輸送タンパク質(LTP)
3.WDEIA:ω5-グリアジン、γ-グリアジン、高分子量グルテニン

吸入や経皮的にアレルゲンが侵入すると、水様性のタンパク質に感作されやすく、経口では水様性・不溶性両方のタンパク質に感作されると推測される。
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(医学雑誌拾い読み)「牛乳・乳製品の加工とアレルゲン性」

2017年07月03日 06時55分50秒 | アレルギー性鼻炎
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 13-1 42-46、2015
岩本洋(森永乳業株式会社)

■ 加熱処理
流通する牛乳の大半は超高温加熱処理(UHT、120-150℃で1-3秒間)法で処理されているが、この程度の加熱では牛乳タンパク質の消化性は向上するものの、アレルゲン性は低減しない。
殺菌を超える強度の加熱、例えば調理レベルの加熱では牛乳タンパク質の低アレルゲン化は可能。

■ 発酵
ヨーグルトでは乳酸菌の消化酵素によるタンパク質の分解はほとんど期待できないが、チーズの場合、レンネット(カゼインを凝固させるために添加されるタンパク質分解酵素)やスターター乳酸菌の産生する酵素のの影響もあり、長期熟成したものではある程度分解が進むものもある。

■ 牛乳の低アレルゲン化には工業的な加水分解処理が必要
前述の「加熱処理」「発酵」などが牛乳タンパク質のアレルゲン性に及ぼす影響は一般に限定的であり、牛乳アレルギー患者の摂取を前提とした低アレルゲン化では工業的な加水分解処理が必要である。
食品産業でたんぱく質分解物を調製する場合、酸による加水分解と消化酵素による加水分解の二つの方法があるが、牛乳タンパク質のアレルゲン性を低減する目的では酵素加水分解が用いられる。通常、牛乳から調整したカゼインや乳性タンパク質濃縮物を原料とし、これに食品添加物のプロテアーゼやペプチダーゼを作用させて調製している。
十分な低アレルゲン化を行うためには分解度を高める必要があるが、その一方で分解が進むにつれてペプチドの苦味やアミノ酸臭が生じて風味が悪化する。

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(医学雑誌拾い読み)「魚類アレルゲンの性状と低アレルゲン化」

2017年07月02日 13時46分34秒 | 食物アレルギー
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 13-1,2015
板垣康治(北海道文教大学人間科学部健康栄養学科)

■ 赤身魚と白身魚の違い
魚肉中に含まれる色素であるミオグロビンの含有量により赤身魚と白身魚に大別される。ちなみにサケ肉の色素はエサの甲殻類に含まれるアスタキサンチンに由来するものであり、実際にサケをアスタキサンチンを含まない配合飼料で完全養殖すると魚肉は白くなるので、サケは白身魚に分類される。

■ 魚類の主要アレルゲンはパルブアルブミンという水様性タンパク質である。
パルブアルブミンは耐熱性が高く、基本的に生の魚でも加熱調理したものでもアレルゲン性は変わらない。
魚種ごとにパルブアルブミンを指標としてアレルゲン性を調べると、軟骨魚類に属するヨシキリザメ、マスカベ(ヱイの一種)は極めてアレルゲン性が低いことが明らかになった。

■ パルブアルブミンの低アレルゲン化
伝統的な水産発酵食品である「へしこ」や「しょっつる」などは、微生物が産生するタンパク質分解酵素の作用により魚肉中のタンパク質が低分子化され、このときパルブアルブミンも同時に分解されてアレルゲン性が低下する。
缶詰やレトルト食品などのように魚肉を高圧下で高温処理することにより、通常の加熱では変化しないパルブアルブミンであっても、アレルゲン性が低下する。
★ 「へしこ」・・・糠(ぬか)漬け。サバなどが原料として使用される。福井県の名産品。
★ 「しょっつる」・・・魚醬油。ハタハタなどを減量とする。秋田県の名産品。

■ 「かまぼこ」と「かつお節」は魚アレルギー患者の90%が摂取可能
かまぼこは、魚のすり身を原料として製造される。すり身の製造工程の中で、血液や皮などを除去する目的で「水さらし」という操作が行われる。水さらしによって、水様性タンパク質であるパルブアルブミンも、その大部分が溶出する(実験では5回水さらしをするとほとんど検出されなくなった)。

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(医学雑誌拾い読み)「学校・保育所における問題点と対応」

2017年07月02日 12時41分18秒 | 食物アレルギー
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 13-1,2015
長谷川実穂、佐藤さくら(相模原病院臨床研究センター)

■ 乳幼児期に発症する食物アレルギーでは鶏卵・牛乳・小麦が多く、3歳までに50%、6歳までに90%が耐性化する。

■ 給食管理は安全性の確保が最優先される。
学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」(日本学校保健会/文部科学省、2008年)
保育所におけるアレルギー対応ガイドライン」「同Q&A」(厚生労働省、2011年)
では、保育所や学校生活での食物アレルギー対応は、原因食物の完全除去か、制限なく解除するか、どちらか二分化して対応するよう指針が示されている。

■ 保育所と学校の「生活管理指導表」の違い
保育所の書式では、学校の管理指導表の“診断根拠”に該当する欄が“除去根拠”という名称になり“④未摂取”の項目が追加されている。

■ エピペン所有者情報はあらかじめ地域の救急隊と共有されている。

<参考>
・「学校における食物アレルギー給食対応指針」(文部科学省、2015年)
・「アレルギー疾患対応資料(DVD)映像資料及び研修資料
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(医学雑誌拾い読み)「乳児期の食物アレルギー〜不足しがちな栄養素〜」

2017年07月02日 11時09分33秒 | 食物アレルギー
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 12-3:321-326, 2014
上野佳代子(国立病院機構大牟田病院栄養管理室)

■ 鶏卵アレルギー
・主要栄養素はタンパク質。
・代替食品として、肉類、魚類、大豆製品などのタンパク質源で補充すれば栄養面での問題は生じにくい。

■ 魚アレルギー
・主要栄養素はタンパク質とビタミンD、カルシウム。
・代替タンパク質として、肉類、鶏卵、大豆など。
・ビタミンDはキノコ類に多く含まれている(干しシイタケがお勧め)。鶏卵、乳製品にも含まれている。牛乳アレルギー用ミルクも可。
・大豆製品、野菜、果物はビタミンD含有量がゼロ。

■ 牛乳アレルギー
・主要栄養素はタンパク質とカルシウム。
・カルシウム補充用代替食品として、小魚、海藻類、青菜など。牛乳アレルギー用ミルクも可。乳児期以降ではカルシウムを強化した豆乳やウインナーなども利用可能。

★ 牛乳アレルギー用ミルクの問題点
・特有なアミノ酸臭があり、味覚が発達してから試みてもうまく行かないことがある。離乳食に使う場合は生後5-6ヶ月頃からはじめると継続しやすい。さらに、牛乳アレルギー用ミルクは加熱することで苦味が増すため、煮込まないようにする、火を止めてから加えるなどの工夫が必要である。
牛乳アレルギー用ミルク単独の長期使用によるビオチンやカルニチン欠乏日本小児アレルギー学会から注意喚起されている。ビオチン欠乏症状:皮膚炎/脱毛、体重増加不良。カルニチン欠乏症状:低血糖、嘔吐、肝機能異常。ビオチンを含む食材:レバーや卵黄に多い、他に米や一部の肉、緑黄色野菜。カルニチンを含む食材:ヤギ肉やヒツジ肉に多い、ほかに牛肉や牛乳、マグロやサケ、ブロッコリーやトマトなど。

<参考>
・「牛乳アレルゲン除去腸性粉乳によるビオチン欠乏症例の経験」(小児保健研究、2014)
・「特殊ミルク・経腸栄養剤使用時のビタミン・微量元素欠乏」(ラジオNIKKEI、2013)

■ 小麦アレルギー
・主要栄養素は炭水化物。
・代替食品はコメ。
・パン粉はパン用米粉、うどんやスパゲティはビーフンやフォー(ベトナム料理で使用される平打ちの米麺、煮ると柔らかくなるため離乳食としても利用しやすい)、雑穀麺で代替可能。
※ パン用の米粉には、食感をよくするために小麦タンパクのグルテンが添加されているものが多いため要注意。
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(医学雑誌拾い読み)「アレルギーマーチは湿疹から始まる」

2017年07月01日 16時51分40秒 | アトピー性皮膚炎
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 12-1:22-25,2014
松本健治(国立成育医療研究センター)

■ 経皮感作と経皮的減感作療法が両方成り立つ不思議

■ 好酸球増多に関連する乳児湿疹が、その後のアトピー性皮膚炎や喘鳴のリスクとなり、さらに湿疹が吸入抗原に対する感作のリスクにもなる。

■ 以前は「発症予防を目的とした(念のための)除去」が行われてきたが、無効であることが証明されている。
逆に摂取する方が傾向免疫寛容の弓道を介して食物アレルギーを発症しにくくする可能性が示唆されるようになった。

■ 「経湿疹感作・・・湿疹が食物感作のリスクである
ピーナッツアレルギーに関連するのは、フィラグリンの機能欠損ではなく、湿疹(アトピー性皮膚炎)の存在である。
食物アレルギーの発症は経口接種や健常部位での食物抗原曝露が促進するのではなく、湿疹部位での食物抗原曝露が重要な役割を演じている。


確かに「経皮感作」ではなく「経湿疹感作」の方が、誤解しにくいですね。
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(医学雑誌拾い読み)「アトピー性皮膚炎の自然歴と修飾因子」

2017年07月01日 16時37分24秒 | アトピー性皮膚炎
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会誌 12-1:31-35,2014
成田政美(国立成育医療センター)

■ アトピー性皮膚炎の自然歴(ドイツ、2004)
2歳までにアトピー性皮膚炎を発症した例のその後の経過
(complete remission)3歳までに寛解:43.2%
(Intermittent)間欠的に症状遷延:38.2%
(Persistent)7歳まで持続:18.7%

■ 現在の乳児湿疹の診療(以下の内容)は正しいのか?
・離乳食開始前の乳児湿疹患者にアレルギー検査
・感作が認められたら「これらの食物は母親の母乳から移行し、児に食物アレルギー症状としてのアトピー性皮膚炎を発症している」と説明
・授乳している母親の食物制限
・児の離乳食での食物制限

これこれ!
私も伊藤節子先生の本を読んでからこのように指導してきましたが、現時点でもこれでいいのか、学会報告を聞いていると不安になりますね。


■ アトピー性皮膚炎に対するプロアクティブ療法は食物抗原のみならず吸入抗原の感作も予防する
治療開始1年後にリアクティブ療法群ではダニ特異的IgE抗体、スギ特異的IgE抗体っが有意に上昇、プロアクティブ療法群では明らかな上昇が認められなかった(論文作成中)


アレルギー疾患予防の立場からは「乳児期の湿疹はとにかく治しておくのがいい」ということが繰り返し言われています。
しかし皮膚科専門医の間では必ずしも常識ではないらしいのが悩ましいところ。

当院では治療に難渋する(mildクラスのステロイド軟膏ではコントロールできない)アトピー性皮膚炎患者さんは皮膚科へ誘導しているのですが、その皮膚科の治療方針がバラバラで、オーソドックスにストロングクラスのステロイド軟膏で治療する皮膚科医がいる一方で、ステロイド軟膏は必要ないと保湿剤だけにしてしまう皮膚科医もいて、湿疹が悪化した患者さんは混乱してしまい、困ってます。

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