小児アレルギー科医の視線

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データ非公表の“中国製”新型コロナワクチン

2021年08月08日 15時16分16秒 | 予防接種
 新型コロナワクチンの中で中国製・ロシア製は信用できない、と西側諸国は考えています。
 なぜって、臨床データが公表されていないから。
 もし、データを提出しても報道の自由がない国の情報を信じろという方が無理です。

 しかし、WHOは中国製ワクチンを認可し、中国は“ワクチン外交”を展開してきました。
 が、しばらく前から破綻が見え始めています。

 私がそう感じ始めたのは南米のチリ。
 ワクチン接種が進んでいるのに新型コロナ流行拡大が止まらない、
 という情報を耳にして不思議に思っていたところ、
 使用しているワクチンは中国製、と聞いて合点がいきました。

 そんな中国製ワクチンを扱った記事を紹介します;

 悪評だらけの中国製ワクチン “水ワクチン”と揶揄され「免疫の長城」構築にも失敗
デイリー新潮:2021/8/2)より抜粋;

インドネシア
シノバック製ワクチン接種後に新型コロナウイルスに感染した医療関係者数は350人以上に上ったことなどから、「シノバック製ワクチンは『水ワクチン』だ」とする論調が高まり、医療従事者に対して米モデルナ製ワクチンの追加接種を行うようになっている。

タイ
シノバック製ワクチン接種を完了した医療従事者600人以上が新型コロナウイルスに感染したことから、政府は米ファイザー製ワクチンの追加接種を決定した。

シンガポール
7月上旬「シノバック製ワクチンを接種回数から除外した」と発表した。シンガポールではワクチン接種者は集会に参加する際の検査を免除されているが、シノバック製ワクチン接種者に対しては検査を再度義務づける決定を行っている。

以上、東南アジア諸国は軒並み中国依存のワクチン政策を見直す動きを示し出しています。
この記事ではワクチンの有効性についても言及しています;

 世界保健機関(WHO)は「一般的な冷蔵庫で保管できる」メリットに着目してシノバック製ワクチンの緊急使用の許可を出したが、シノバック製ワクチンの感染防止の有効性は50%程度とWHOが定めた最低水準にとどまっている(米ファイザー製などのワクチンの有効性は90%以上)。 
 その有効性の低さはシノバック製ワクチンが「不活化ワクチン」であることに起因する。熱やアンモニアなどで不活化した(殺した)ウイルスを体内に投与して抗体をつくるというものであり、インフルエンザワクチンなどで使われている伝統的な手法である。しかしインフルエンザウイルスに比べて増殖の速度が遅いコロナウイルス用のワクチンをこのやり方でつくろうとすると体内で抗体ができにくいことがSARS用のワクチン開発の経験からわかっていた。 
 香港大学が7月に発表した調査結果によれば、米ファイザー製ワクチンを接種した人の抗体レベルはシノバック製に比べて著しく高いことはわかったという。米ファイザー製ワクチンを2回接種した際の中和抗体値の平均が269であるのに対し、シノバック製ワクチンの中和抗体値は27である。1回接種した際の中和抗体値を比較すると、ファイザー製が49であるのに対し、シノバック製は7である。シノバック製の2回接種後の中和抗体値(27)がファイザー製1回分(49)よりも少ない事実には驚きを禁じ得ない。  ファイザー製ワクチンの有効性は数年間続くことがわかっているが、タイの学術機関の研究によれば、シノバックワクチン接種後、40日毎に中和抗体値が50%ずつ低下することがわかったという。  
 「中和抗体のレベルが極端に低い上に持続期間が極端に短い」というのが事実であれば、「水ワクチン」と言われても仕方がないのかもしれない。

「シノバックス社製ワクチン2回接種より、ファイザー社ワクチン1回接種の方が中和抗体値が高い」(!?)というデータがすべてを物語っています。
ただ、「不活化ワクチンは効果が低い」との記述が気になります。現在日本で開発中のワクチンの一つはこの「不活化ワクチン」なので。


中国シノバック製コロナワクチン、有効性への懸念さらに高まる

前記事以外で中国製ワクチンを採用、接種している国々の現状;

コスタリカ
2021年6月16日、有効性に不安があるとして、検討していたシノバック製ワクチンの購入を見送ることを明らかにした。

ウルグアイ
シノバック製ワクチンの有効性について6月8日、臨床試験ではなく実臨床から得られる「リアルワールドデータ」を初めて公表。「ICUへの入院と死亡を防ぐ効果は90%を超え、発症予防効果は61%だった」と発表している。
ウルグアイは、少なくとも1回の接種を受けた人の割合が米国(53%)よりも高い61.4%で、これは世界的にも高い水準だ。だが、感染による人口10万人あたりの死者数は、世界で最も多い国のひとつとなっている。

中国自身のスタンスは・・・

シノファームのワクチンについて査読付きジャーナル「JAMAネットワーク」に発表された論文によると、「持病がある人、女性、高齢者に対する有効性は確認できなかった」という。
また、シノバックのワクチンについては、デルタ株に対する有効性を確認するための十分なデータが公開されていない。
中国疾病対策予防センター(CCDC)のガオ・フー(Gao Fu、高福)主任は今年4月に出席した会議で、自国製ワクチンの「有効率が高くない」ことを認め、「問題解決の方法を模索している」ことを明らかにした。
だが、中国政府はその直後、この発言の内容を否定。SNS上から関連のコメントを削除するとともに、同主任を公に非難。高は共産党系の「環球時報」紙で、自身の発言に関する報道を「完全な誤解」だと語った

チラリと本音を漏らした主任は、もう日の目を見ることはないでしょうね。かわいそうに。
武漢のウイルス研究所職員でも同じようなことがありましたが、中国はなんとか火消しに成功しました(まだくすぶっていますけど)。

中国製ワクチンに疑義…チリ、3回目接種はアストラ製で 
2021/08/07 読売新聞)より抜粋;

チリ
 政府は5日、中国製薬大手「科興控股生物技術」(シノバック・バイオテック)製の新型コロナワクチンを接種した55歳以上の市民に対し、11日から英アストラゼネカ製を使って3回目の接種を行うと発表した。
 チリでは人口約1900万人の約65%が接種を完了したが、そのうち約75%がシノバック製だった。
 シノバック製は有効性に疑義があると指摘されており、感染力が強いインド由来の変異ウイルス「デルタ株」の感染拡大を防ぐには、別の種類の追加接種が必要と判断した模様だ。

ウルグアイ
 シノバック製で2回の接種を終えた国民に対し、米ファイザー製を追加接種する方針を示している。

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