小児アレルギー科医の視線

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小児の新型コロナ後遺症(lpng-covid)は年齢により違う?

2024年08月29日 05時58分04秒 | 新型コロナ
という興味深い記事が目に留まり、読んでみました。

最近は long-cpvid ではなくPASC(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection)と呼ぶようになったのでしょうか?
新型コロナ後遺症は呼び方も定義も何回か変わってきています。
日本でも今は「新型コロナ罹患後症状」ですね。

この報告の中では「感染後少なくとも90日以上で4週以上持続する症状」を採用し、
小児(6~11歳)と思春期児(12~17歳)に分けて比較しています。

結論から申し上げると、
・小児では神経認知症状、疼痛、消化器症状が多い
・思春期児では嗅覚や味覚の変化や消失、疼痛、疲労に関連する症状が多い
とのことでした。

はて、「神経認知症状」ってなんだろう?

■ コロナ後遺症、6~11歳と12~17歳で症状は異なるか/JAMA
ケアネット:2024/08/29)より一部抜粋(下線は私が引きました);

 米国・NYU Grossman School of MedicineのRachel S. Gross氏らは、RECOVER Pediatric Observational Cohort Study(RECOVER-Pediatrics)において、小児(6~11歳)と思春期児(12~17歳)の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)感染後の罹患後症状(postacute sequelae of SARS-CoV-2 infection:PASC)を特徴付ける研究指標を開発し、これらの年齢層で症状パターンは類似しているものの区別できることを示した。・・・

▶ 6~11歳の約900例と12~17歳の約4,500例について解析
・・・対象は2022年3月~2023年12月に登録された6~17歳の、初感染日が明らかなSARS-CoV-2感染既往者(感染群)と、SARS-CoV-2ヌクレオカプシド抗体陰性が確認された非感染者(非感染群)であった。
 9つの症状領域にわたる89の遷延症状に関する包括的な症状調査を行った。
 主要アウトカムは、COVID-19パンデミック以降に発症または悪化した、調査完了時(感染後少なくとも90日以上)の4週以上持続する症状とした。4週以上続く症状を有していたが調査完了時に症状がなかった場合は、対象に含まなかった。
 小児898例(感染群751例、非感染群147例)および思春期児4,469例(感染群3,109例、非感染群1,360例)が解析対象集団となった。背景は、小児が平均年齢8.6歳、女性49%、・・・思春期児が14.8歳、・・・であった。初感染から症状調査までの期間の中央値は、小児で506日、思春期児で556日であった。

▶ 小児は神経認知症状、疼痛、消化器症状、思春期児は嗅覚/味覚障害、疼痛、疲労が多い
 小児では感染者の45%(338/751例)、非感染者の33%(48/147例)、思春期児ではそれぞれ39%(1,219/3,109例)、27%(372/1,369例)が、持続する症状を少なくとも1つ有していると報告した。
 性別、人種、民族で調整したモデルにおいて、小児と思春期児の両方で非感染者と比較して感染者で多くみられた症状(オッズ比の95%信頼区間下限が1を超えるもの)は14個あり、さらに小児のみでみられた症状は4個、思春期児のみでみられた症状は3個であった。これらの症状はほとんどすべての臓器系に影響を及ぼしていた。
 感染歴と最も関連の高い症状の組み合わせを特定し、小児と思春期児のPASC研究指標を作成した。いずれも、全体的に健康や生活の質の低下と相関していた。小児では神経認知症状、疼痛、消化器症状、思春期児では嗅覚や味覚の変化や消失、疼痛、疲労に関連する症状が多かった
 クラスタリング解析により、小児では4個、思春期児では3個のPASC症状表現型(クラスター)が同定された。両年齢群ともに症状の負荷が大きいクラスターが1個存在し(成人と同様)、疲労と疼痛の症状が優勢なクラスターも同定された。その他のクラスターは年齢群で異なり、小児では神経心理および睡眠への影響を有するクラスター、消化器症状が優勢なクラスターが、思春期児では、主に味覚と嗅覚の消失を有するクラスターが同定された。

<原著論文>
Gross RS, et al. JAMA. 2024 Aug 21. [Epub ahead of print]

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