「私は精神的に3歳児のようなところがある。人間的に成熟することが最大の目標だわ」と語っていたのは昨年の全米オープン初制覇に続く四大大会2連勝の快挙を達成し、世界ランキング1位になったご存じ大坂なおみ。
その後、3歳児から4歳、5歳と日々成長し女子テニス界のトップに立ったわけである。
試合ごとに成長していくというスポーツでは、よく引き合いにだされるのが甲子園での高校野球や高校サッカー選手権などで、初陣のチームが勝ち進みチームとして試合ごに成長していくといことがしばしば起こる。
じつはサッカーのプロの世界でも試合ごとに成長する様を見せてくれたのが、昨夜、サッカーアジアカップの準決勝で見事な勝利を挙げた日本代表であろう。
相手のイランはアジアでは6年間、公式試合で負けなしでアジアではNO.1チームであり、今大会でも負けなしで予選リーグを全勝で1位通過し、決勝トーナメントでもその勢いは衰えず、無失点で準決勝に進んだ。
試合前日の記者会見でもイランの監督は日本代表など目にもくれないといった姿勢であった。
日本に勝ってほしいが数字的には得点力と守備力で大きく日本を上回っているイラン戦は苦戦は免れないという下馬評であった。
それが、今までの戦いぶりからは想像できないほどのガンバリを見せたのが昨夜の、日本時間では深夜帯の日本代表の戦いであった。
戦力が拮抗している団体球技の場合、個人的なミスをいかにチームとしてカバーできるかが勝敗を大きく左右するものである。
日本サッカー界のご意見番として常に辛口の厳しい批評をしているセルジオ越後が、「勝負を分けた“ミスを突いての”『先制点』…セルジオ越後氏『精神的な部分で大きなポイントだった』」という記事の中でこう解説していた。
「前半に自陣でのミスからアズムンにシュートを打たれたけど、権田がしっかり防いだ。逆に日本の先制点の場面はイラン守備陣のセルフジャッジで大迫がフリーになって決めた。両チームともにミスがあった中、日本が先制できたことは精神的な部分で大きなポイントになったと思う。もし前半のミスの場面で先制されていたら、全く逆の立場になっていたかもしれないね」
「原口と堂安の両サイドはファールこそ多かったけど、サイドバックとしっかり連係していた。イランはサイドから全然崩せていなかったし、放り込んでも中央の吉田と冨安が跳ね返し続けた。最終ラインはすごく安定していたし、陣形をコンパクトに保ってカウンターも繰り出せた。今大会はここまで引いて守る相手に苦戦していたけど、このイラン戦ではこれまでと逆のことができた」
「先制してから早い時間帯に追加点を取れたことも良かったね。イランは“対アジア勢39試合無敗”だった。ずっと負けていないチームが相手にリードを許す展開になると、普段慣れていない分、精神的にも苦しくなったと思う。あとは1対1、相手に立ち向かう、負けないという気持ちが溢れ出ていたし、後半に入っても運動量が落ちなかった。優勝候補ナンバーワンのチームに対して、すごくいい試合ができた。日本はイランを認めて戦えたところが良かったと思う」
珍しく褒め言葉であった。
実は、テニスの大坂なおみも全豪オープンの決勝で、第2セットを失った後、相手選手を認めて気持ちを入れ替えて戦えたと語っていたことを思い出した。
さて、昨日通常国会が召集され、安倍晋三首相が施政方針演説を行った。
在京各紙の社説を読み比べてみた。
■朝日新聞「施政方針演説 難題から目をそらすな」
◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇ 「平成の、その先の時代に向かって」という言葉を7度も繰り返したが、具体的なビジョンが示されるわけではなく、既存の政策の繰り返しや自画自賛が多かった。昨秋の臨時国会で述べた「国民の懸念にもしっかりと向き合う」という戒めも、どこかに行ってしまった。森友・加計問題の解明は一向に進んでいない。首相が率先して襟をたださぬ限り、長期政権のおごりやゆるみもまた改まらないことに、思いを致すべきだ。◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇
■毎日新聞「安倍首相の施政方針演説 自画自賛だけでは済まぬ」
◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇ この国会は平成と、次の新しい時代をつなぐ論戦の場となる。果たしてそれにふさわしい演説だっただろうか。残念ながら不十分だと言わざるを得ない。
内政・外交ともに、6年余にわたる政権運営を負の側面も含めて首相が謙虚に検証することなく、総仕上げができるはずがない。
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■讀賣新聞「施政方針演説 次代に備え着実に成果上げよ」
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夏に参院選を控え、安全運転に徹する姿勢が目立った。厳しい認識に基づく処方箋を示したとは言い難い。
厚生労働省による毎月勤労統計の不適切調査問題は、統計への信頼を揺るがす事態に発展している。首相は陳謝し、「再発防止に全力を尽くす」と述べた。厳格な姿勢で問題に対処すべきだ。
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■産経新聞「施政方針演説 「米中対決」正面から語れ」
◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇=◇ トランプ米政権が指摘するまでもなく、中国は自由で公正な貿易を阻害している。軍事力を誇示して東・南シナ海や宇宙・サイバー空間で覇権を追求している。
そうであるなら、米国などと協調して、さまざまな問題点を改めるよう中国に迫っていくのが日本のとるべき戦略ではないか。
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■東京新聞「通常国会召集 行政監視の力を見せよ」
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第二次安倍内閣以降、行政文書やデータの不祥事が相次ぐ。森友問題を巡る決裁文書改ざんや裁量労働制に関する不適切データの提示、自衛隊海外派遣部隊の日報に関するずさんな文書管理、障害者雇用の水増し、そして今回の統計不正だ。こうした不祥事の連続も国会が軽視され、政府提出法案を成立させる「下請け機関」と化したからではないのか。
国民代表として国政を調査し、行政を監視する。その意味を胸に深くとどめて、役割を果たすべきだ。民主主義を生かすも殺すも、議員一人一人の意識次第である。
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東京新聞1/29首相施政方針
— さとしん??shin sato??佐藤 伸?? (@shinsato0130) 2019年1月28日
「沖縄に寄り添う」消える
??安定な財源が必要なら、消費増税より、首相自信がお辞めになり、米国からの兵器購入と、諸外国へのバラマキを止めるのが手っ取り早いと思うが。 pic.twitter.com/8nfciuAb6U
各紙各様な社説であり、ことさらコメントするほどではないが、少なくとも安倍政権のこの6年間余りの「成長振り」は見当たらず評価もできないという共通認識のようであり、むしろ天皇から「国民の信託に応えることを切に希望します」と改めて言われるほどに劣化した国会であり、それを加速させたのが安倍政権であることは疑いようもない事実である、とオジサンは思う。