「たたき上げの苦労人」が最高権力者となると、その権力を縦横に使ってみたくなるのか、とあきれてしまう菅義偉。
「パンケーキ懇談会」という踏み絵を内閣記者クラブ連中に踏ませ、世論の批判を浴びて次回の懇談会は中止となったが、今度は記者クラブの分断作戦にでたらしい。
官房長官時代に内閣人局を設置して霞が関官僚の人事権を握り、忖度官僚を大量生産したのだが、首相となるやいなや税金の補助を受けている学術会議の会員は特別公務員なのだから、人事権は「俺様のモノ」と勘違いしている菅義偉。
自民党内からも批判の声が上がっていた。
「自民・船田氏『明らかに解釈変更』 学術会議人事を批判」
自民党の船田元・元経済企画庁長官は5日配信のメールマガジン(メルマガ)で、「日本学術会議」が推薦した会員候補のうち6人を菅政権が任命しなかったことについて、「明らかに(法律の)解釈の『変更』だ」と批判した。事前に国会などにも説明が無かったとして「結果として闇討ちのような形になってしまったのは残念だ」とも記した。 船田氏はメルマガで、「1983年に(日本学術会議の)会員の公選制から任命制に変更した際は、私も衆議院文教委員として審議に携わった」と振り返り、「(政府は当時)『推薦者は拒否しない形だけの推薦制』『形式的な任命制』と口をそろえていた。この時の答弁が、直近まで有権解釈として政府が受け継いできたはずだ」と強調した。 また、任命されなかった6人の共通点として「組織犯罪処罰法や平和安全法制、特定秘密保護法など、国の重要政策に反対の意思表示を行った」と指摘。「任命拒否の背景が透けて見える」「『反対するとこういうことになる』と抑止効果を狙ったものとしか思えない」とつづった。 |
船田元極めてまとも。1983年の有権解釈を変更したことは明らか。しかも国会に知らせずコソ泥のように。加藤官房長官は解釈を変えてないと言っている。であれば今回のことは違法になるし変更したのであればコソ泥確定。どちらでも菅辞任!#日本学術会議への人事介入に抗議する https://t.co/zdX0k4dgV4
— 佐藤 章 (@bSM2TC2coIKWrlM) October 5, 2020
https://t.co/e5ADMiNbtw
— 海渡雄一 (@kidkaido) October 5, 2020
船田氏は1983年に日本学術会議の会員公選制から任命制に変更した際、政府は『推薦者は拒否しない形だけの推薦制』と口をそろえていた。この時の答弁が、直近まで有権解釈として政府が受け継いできたはずだと指摘。
政府解釈を勝手に変更するのが、安倍=菅政権の連続性だ。
そして居直る菅義偉。
「『学術会議会員は公務員』強調 首相、任命拒否認める」
「学術会議会員は公務員」と首相。
— 東京新聞労働組合 (@danketsu_rentai) October 5, 2020
「で? だから、なに?」と記者団は
問いたださねばならない。
公務員だと、なぜ6人を任命拒否なのか。
理由を示さなければ何の意味もなし。
「グループインタビュー」の茶番。https://t.co/laYCpTiVLX
昨日は「沈黙の首相」と批判したが、今度は一転して、内閣記者会常勤幹事社の読売、日本経済、北海道新聞の3社との「グループインタビュー」と称する記者会見もどきの非公開会見を行った。
<スガ首相、場所も秘密の「グループインタビュー」 幹事社以外は音声のみ> 020年10月5日 20:07 田中隆作ジャーナル 日本の権力中枢で怪奇現象に遭遇したフリ―ジャーナリストの畠山理仁氏。=5日夕、官邸前 撮影:田中龍作= パンケーキ懇談会の次回開催を諦めたスガ首相が新たな記者懐柔策を編み出した。その名も「グループインタビュー」。 幹事社1社につき1名のみとの質疑に応じるという珍妙なスタイルだ。きょう5日夕方、日本のどこかであった。時間はわずか28分。 フリーランス記者の畠山理仁氏が抽選に当たり、グループインタビューの音声だけ聞ける幸運に浴した。以下、畠山氏の証言にもとづく― スガ首相と思われる人物の音声を畠山氏が聞いた場所は首相官邸。 スガ首相と思われる人物が、幹事社と思われる人物たちとグループインタビューを持った場所は秘密だった。官邸広報室は「言えない」と答えたという。 ものまねの名手コロッケがスガ首相の声をマネ、劇団員たちが記者を演じれば済む。 質問は全部で15問。 北海道新聞の記者と名乗る人物が「学術会議人事」について質問した。 スガ首相と思われる人物は「法にもとづいて内閣法制局にも確認の上で判断した」と答えた。紋切型の答弁は官房長官時のスガ氏とよく似ている。 読売新聞を名乗る人物は「高支持率の手ごたえ」と「デジタル庁の開設」について質問した。 読売にヨイショ質問をさせる・・・なかなかの設定である。 スガ首相は充分にてなずけていて、パンケーキを一緒に頬張る内閣記者会とでさえ、記者会見を開きたくないようだ。 ホントにあったのかさえ分からない「グループインタビュー」。この手を使って任期いっぱい会見から逃げ回るつもりなのだろうか。 |
「なぜ普通の記者会見を開かないのですか」
— 畠山理仁/『黙殺』(集英社文庫)発売中 (@hatakezo) October 5, 2020
内閣記者会の記者(と思われる声の主)から、この質問が出なかったのは極めて残念だ。
内閣記者会が別室で行なうグループインタビューを「傍聴する権利」をあみだくじで当てた。会見室に首相の姿はなく、音声だけが流される異常事態。デジタル庁創設を謳いながら参加者を限定。時代に逆行。音声を完全公開。
— 畠山理仁/『黙殺』(集英社文庫)発売中 (@hatakezo) October 5, 2020
菅義偉首相グループインタビュー(2020年10月5日録音) https://t.co/MdWZicHTap
さらに、リテラはこんな風にまとめていた。
菅首相が「日本学術会議」問題で理由を説明せず! しかも記者会見でなく3社だけの「グループインタビュー」形式で追及封じ込め 憲法に保障された「学問の自由」を踏みにじり、違法が指摘されている「日本学術会議」任命拒否問題で、本日はじめて菅義偉首相が内閣記者会の「グループインタビュー」に応じ、「それぞれの時代の制度のなかで法律に基づいて任命をおこなっている」「学問の自由とはまったく関係ない」と主張。一方、6人を任命拒否した理由については「個別の人事に関することについてはコメントを控えたい」などと言い、説明を拒絶した。 たしかに、こんな無茶苦茶な人事介入、理由を説明することなどできないだろう。 しかし、すでに指摘されているように、国会での過去の答弁などからしても、法解釈としては総理大臣が任命を拒否することはできず、菅首相がやってのけたことは違法行為だ。にもかかわらず「法律に基づいている」と言い張ったのである。 まあ、ここまでは、官房長官時代に「問題はない」「指摘は当たらない」と突っぱねてきたのとまったく同じだが、今回、菅首相はこんなことまで口にした。 「事実上、現在の会員が自分の後任を指名することも可能な仕組みとなっている。こうしたことを考えて、推薦された方をそのまま任命してきた前例を踏襲してよいのか、考えてきた」 つまり、自ら掲げる「悪しき前例主義の打破」の一貫だと主張したわけだが、首相の独断で憲法と法律を犯すことが許されるなどあるわけがない。ようするに、菅首相は「法治国家」という大前提さえ崩すことを自己正当化してみせたのである。 総理大臣になってその強権独裁がパワーアップしているかのような発言の数々だが、菅首相のこうした発言のみならず、きょうはもうひとつ、大きな問題が浮上した。菅首相がおこなった、この「グループインタビュー」なるものの存在だ。 ■グループインタビューなのにテレビは菅首相のコメントだけを放送、記者会見に偽装 まず、これだけ大きな問題となっているのだから、本来なら会見を開いて国民に向けて説明をおこなうのは当然の話。百歩譲ったとしても、官邸でのぶら下がり取材でしっかり質問時間を確保し、そこで説明するべきであることは言うまでもない。 しかし、きょう菅首相が発言をおこなったのは「記者会見」ではなく、内閣記者会常勤幹事社である読売、日本経済、北海道新聞の3社との「グループインタビュー」でのこと。「会見」ではないため、NHKで生中継されることも、YouTubeなどで生配信されることもなし。その「グループインタビュー」の時間は30分にも満たない短いものだった。 そして、「グループインタビュー」終了後に、ようやく収録された映像が“解禁”されたのだが、その模様は異常そのものだった。まず、会場の前方中央に設けられたテーブル前に菅首相が着座し、菅首相を囲むようにコの字型に配置されたテーブルに3人の記者が。そして、後方に並べられた椅子に座り、黙って「インタビュー」を見つめる多くの記者たち……。 |
昨日は多くの情報番組で御用ジャーナリストやコメンテーターと称する弁護士連中が、菅義偉を擁護する発言の中で、明らかな論点外しが見られた。
今日のお昼のワイドショーでも、「学術会議とは」から話を始めて、そこに政府与党寄りのコメンテーターを揃えたものだから、「まあ、(これまで光が当たらなかった)学術会議の問題を改めて議論するきっかけにすればいいんですよ」とまんまと論点ずらして丸め込まれてたな。 https://t.co/qgCzLuFs82
— ちひろ (@chrknd_8818) October 5, 2020
日本学術会議に内在する問題を何度も繰り返し唱えることで議論をそらし、日本学術会議に対する菅首相の違法なマウンティングから国民の目をそらすことが彼らの狙い。
— Motoaki (@Moto_Dong) October 5, 2020
これを容認する政治家はすでに政治家ではなく、国民の権利・利益をないがしろにし自らの利益に走る「政治屋」です。 https://t.co/V659KaS2MQ
日本学術会議に問題があるからと今回の首相の任命拒否を擁護するのは、「問題ある企業や個人を罰するためなら法など無視して良い」レベルで、この国が法治国家であるという前提をブン投げていると思う(ブン投げたいのかも知れんのが恐ろしい) https://t.co/mKEBnBqWfS
— animebrass (@animebrass) October 5, 2020
たしかに「前例主義の打破」と唱えれば聞こえがよく、霞が関官僚はその塊なのだが、それは「悪しき前例主義」であり、明確な根拠なしに、すべての「前例」が悪いわけではないのは当然である。
菅義偉によれば、政府にとって不都合な前例主義が「悪しき前例主義」となっているようである。
今回問題視しなければならないのは、国会に諮ることもなく、突然の法解釈の変更(法の無視?)によって、任命が拒否されたことではないだだろうか。
そもそも首相就任以来、国会も開かず、過去の政府による国会答弁を変更するのであるならば、国会を開き堂々と議論すればいいし、ましてや日本学術会議の任命に問題があるという議論が起こったのなら、国会に諮って制度を変更すべきであり、それができなければその間の国会閉会中審査に菅義偉が出席し、きちんと野党議員の前で説明すべきであろう、とオジサンは思う。