新・定年オジサンのつぶやき

残された日々をこの世の矛盾に対して勝手につぶやきます。
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その場しのぎの「みなし陽性」策は明らかな失政

2022年01月31日 11時48分58秒 | COVID-19(新型コロナウィルス)

「みなし陽性」という得体の知れない言葉が最近出回っている。
 
文字通りの解釈では、COVID-19の感染の兆候(発熱・咳・倦怠感等)があっても受診やPCR検査を省略して「陽性」とみなして自宅療法させるということらしく、対象者は高齢者や基礎疾患のある者を除いた若年層。
 
もちろんこれは感染者の急増に伴い医療逼迫を回避するために、都道府県の判断で導入するかどうかを決められるという代物。
 
したがって、都心部と比べれば感染者数が少ない県では、「『みなし陽性』当面取り入れない方針 福島県知事が方針」ということになる。
 
「東京に負けるな」とばかりに感染者数が増加している大阪府では、「大阪『みなし陽性』導入へ 保健所の負担軽減」ということになったが、こんな声が上がっていた。
 


 
まさに行政の不備を現場に押し付けてしまったということである。
 
立憲民主党の大串博志は自分のサイトで真っ当な政府批判をしていた。
 
いよいよ行きづまっての『みなし陽性』」  
 
「みなし陽性」という言葉がこの数日、よく報道されています。
これは24日に厚労省から発表された、新型コロナに関する新しい取り扱いのこと。
平たく言うと、感染の急拡大している地域においては、自分で検査をした結果をもってして、医師に正式に受診せずに「陽性者」との認定を受ける、とすることです。
そしてさらに、その認定を受けた上で、自主的に療養期間に入ると。「自主療養」と言われています。
これはもともと、沖縄、神奈川において、実際に感染が急拡大していることを受けて、「このような取り扱いしかできない」という大変厳しい現実があって、それを政府が追認したというものです。
つまり政府として積極的に「これが有効だ」ということで決めたわけではなくて、「もうこうするしかない」ということだったわけです。
神奈川では「自主療養」となった方々は、食べ物などを調達するのも自分でやるという仕組みになっています。さて、どうしたら良いのでしょうか。
岸田政権の対応は後手後手、場当たり的です。その結果、辻つまの合わない現実すら出てきています。

 
この場当たりの政策のため、自分で検査するにも「検査キット」不足が一気に生じている。
 

大阪で検査キット不足 PCR検査センターが休業

京都府内の無料検査、一時中止を示唆 キット不足で知事
 
 
抗原検査キット不足、熊本県内でも深刻 薬局・自販機『入荷未定』」   

当然ながら、こんな厳しい批判も出てくる。
 
社説(1/29):コロナ検査キット不足/見通しの甘さが混乱招いた」 
 

新型コロナウイルスに感染しているかどうかを調べる抗原検査キットが不足している事態を受け、政府は行政検査を担う医療機関などへ優先的に供給することを決めた。
 行政検査の逼迫(ひっぱく)を回避するためにはやむを得ないが、検査キットを巡る混乱は、需給に対する政府の見通しの甘さが招いたと言える。不足がどの程度解消されるのか、先行きは見通せない。
 検査キットを優先供給するのは、行政検査を行う医療機関や自治体のほか、若年層らが自主検査をして受診やPCR検査を省略する「みなし陽性」の判断用に配布する薬局など。濃厚接触者となったエッセンシャルワーカーの待機期間を短縮するための検査が続き、無症状の人に対して自治体が実施する無料検査はその下に位置付けた。
 一般の薬局で個人が買うのは「ここ数週間厳しくなることが予想される」(後藤茂之厚生労働相)という。
 医療現場における検査キットの不足は今月中旬以降、新変異株「オミクロン株」による感染急拡大で深刻化した。
 無料検査の拡充も輪を掛けた。政府は昨年12月、大阪府で初の市中感染が見つかったのを受け、市中感染が確認された都道府県やその隣県での無料検査を可能にした。今月改定された基本的対処方針では、行動制限の緩和策「ワクチン・検査パッケージ」を原則停止としたものの、参加者全員が検査すれば大人数の会食などを実施できるとした。
 政府は検査キットを製造する業界団体に対し、国が買い取りを保証し、1日に80万回分の増産も求めた。だが、検査キットの需要は世界的に伸びており、国内各社が増産しても、多くを輸入に頼ることから、品薄の早期解消は難しいとの見方もある。
 検査キットの不足が長引けば、「みなし陽性」の仕組みや、自治体の無料検査に影響が出かねない。
 無料検査では、無症状の感染者を一定数発見できたとされる。無症状の感染者が無料検査を受けられなければ、感染が拡大する恐れがある。
 一般の薬局やインターネットの通販サイトなどでは、国が承認した「医療用」ではなく、未承認の「研究用」の検査キットが販売され、購入者も増えている。厚労省は研究用を「性能等が確認されたものではない」として、感染の有無を調べる目的で使用するべきではないとの立場だ。一般の人は安易に使うことを避けるべきだろう。
 コロナ対策では、検査の拡充が再三指摘されてきた。岸田首相は感染の「第6波」に備えるため「最悪の事態を想定して先手で対応する」と強調したが、検査キットに関しては、遅くとも、オミクロン株の市中感染が確認された時点で確保や増産に向けて手を打てたはずだ。ワクチンの3回目接種の遅れと同様、後手に回った感は否めない

 
無料検査を可能にした」ことにより、どんな事態になるのかという想像力に欠けているのが今の岸田文雄政権。
 
「スピード感」をもって「聞く力」を発揮したところで、行政のトップとしてはもう少し実施に向けての熟慮が必要ではなかったのではないか。
 
最後に、政府の専門家会議の連中が安易に考えていることに警鐘を鳴らしているある意味では「専門家」のブログを引用する。 
   
『オミクロンは重症化率が低い』に隠れた被害の実態
 
はじめに
オミクロン変異体(オミクロン型、Omicron variant)による新型コロナウイルス感染症は、従来のデルタ変異体などに比べて重症化しにくいことがすでに明らかにされています。私たちにとってはこれ自体は朗報ですが、ウイルスの伝播性の強さと免疫回避(ワクチン逃避)の性質は憂慮、警戒すべきことです。
ところがメディアなどで(専門家の間でさえも)、オミクロンの重症化率の低さや症状の軽さが強調されるあまり、被害の実態がわかりにくくなっているのではないかと思われます。オミクロンは風邪みたいなものと感じたり、デルタの時と比べて被害は大したことはないと多くの人が勘違いしているかもしれません。
オミクロン型流行による社会混乱はすでに顕著になっていますが、果たして、従来のデルタ型流行などと比べて被害の程度はどの程度なのか、まずは実態を直視する必要があります。
1. 重症者数
では実際に、被害の一つの指標になる重症者(ICU患者)の数を見てみましょう。例としてG7の7カ国とイスラエルの状況を示したのが図1です。昨年の夏から初秋にピークが見えるのがデルタ型流行における重症者数ですが、それと比べて現在のオミクロン型流行における重症者数は遜色ありません。米国、カナダ、フランス、イタリア、イスラエルの重症者数ピークは、むしろオミクロン型がデルタ型を上回っています。
 

 
 G7の7カ国およびイスラエルにおける新型コロナ感染症のICU患者数/人口100万人の推移(2021.06.03〜現在、Our World in Dataより).
 
日本はこれらの国のなかで人口比重症者数が小さいので目立ちませんが、今日(1月30日)時点での重症者数は734人であり、この増加のスピードはこれまでの第1〜4波をはるかに上回っています。おそらく第5波(デルタ型)流行並みの重症者数にはなるのではないでしょうか。なお、734人という現重症者数は東アジア、西太平洋諸国・地域のなかで、フィルピンに次いで第2位の数字です。
2. 死者数
次に最も深刻な被害である死亡について見てみましょう(図2)。驚くべきことに、米国、カナダ、英国、フランス、イタリア、イスラエルでは、新規死者数/日において今回のオミクロンがデルタを上回っていて、日々記録を更新しています。重症者数以上に死者数に被害の大きさが現れているのです。
 

 G7の7カ国およびイスラエルにおける新型コロナ感染症死者数/人口100万人の推移(2021.06.03〜現在、Our World in Dataより).

日本では、日々の死者数が30–40人であり、欧米と比べてかなり低く抑えられていますが、この死亡増加のペースはやはり従来の流行のペースを上回っています(下図図3)。死亡事例は感染ピークよりもかなり遅れて多く出てきます。このペースが続けば、ひょっとすると、デルタ型(第5波)のピークを上回るのではないかという気がします。


図3. 日本における新型コロナ感染症死者数/人口100万人の推移(2021.06.03〜現在、Our World in Dataより).
 
3. 感染数増大がもたらす脅威
オミクロン型感染症は軽症であるはずなのに、なぜ上記のような世界中でこれまでで最大と思える被害になるのか、それはとりもなおさず、オミクロンの伝播性の強さとワクチン逃避による感染者数の爆発的増加に帰因します。重症化率は低くとも、母数になる感染者の絶対数が著しく増えれば、絶対数としての被害事例は自ずから増えるということです。
米国での死亡者はワクチン未接種者に多いという報道もありますが、未接種者数はむしろデルタ以前の方が大きいはずで、死者数増加の理由にはなりません。
G7-7カ国とイスラエルの陽性事例の推移を見ると、感染絶対数の影響が一目瞭然です。図4のように、デルタ流行時とは比較にならないほど、いずれに国においても感染者が著しく増えていることがわかります。これが重症者と死者を増やしている主因です。
 

 G7の7カ国およびイスラエルにおける新規陽性者数/人口100万人の推移(2021.06.03〜現在、Our World in Dataより).
日本のテレビで、医療専門家がECMOの使用について現在数人の患者しかいないとしてオミクロン病の"軽さ"を強調していましたが、ECMO装着を望まない重症患者がいることや、実際の死亡ペースから考えると、ECMO使用が必ずしも被害の実態を現すものとは言えないでしょう。重症者でなくても容態が急変して死亡する事例や、気管挿管を望まない事例もあります(→経済推進と重症者数重視の影に隠れる死亡者の実態)。被害の実態として、死者数の推移をきちんと見る必要があります。
オミクロン感染者の著しい増加で自宅療養者は30万人近くになり、これまで最多だった第5波を越えています。濃厚接触者の数も著しい増加で、医療提供体勢や社会活動・インフラの維持にも重大な影響を及ぼしています。街のクリニックは患者であふれ、検査キットの枯渇で発熱外来を一時的に閉じる病院も増えています。そのことによって、ますます感染拡大に歯止めが効かなくなり、この先大きな被害となることが予測されます。
 


おわりに
欧州のいくつかの国では、為政者トップがエンデミック(パンデミックから風土病への移行)発言をしたり、規制解除をしたりしています。それを日本のメディアが取り上げることにより、オミクロン流行の"軽さ"が強調される結果になっている感があります。実情は異なり、これまでのパンデミックの流行の波のなかで、最大の被害になろうとしています。
為政者は国民・市民の支持獲得のために迎合した政策を出しやすいし、経済活動を止めるなという財界からの圧力は常にあるし、国民のコロナに対する慣れや飽和感も手伝って、情報が楽観的な方向に流れる嫌いがあります。しかし、パンデミックは決して終わっていませんし、これで終息するとかエンデミックになるという科学的根拠も現段階ではありません。
防疫、医療、経済のバランスを誤ると、今の日本のように社会が立ち行かなくなり、医療ひっ迫・検査資源の枯渇に陥り(病院にさえ不足)、検査なしの診断、濃厚接触の措置の変更、トレーシングの縮小などのその場しのぎの策に追われることになります。これは防疫という観点からはまったくの逆の効果になり、さらなる感染拡大を許してしまうということになるでしょう。これまで何度と繰り返してますが、明らかに失政です。

 
「重症化率」とか「死亡率」はその分母が大きければパーセントは小さく見えるが、絶対数は増えるという基本的なことを考慮していなければ、またもや「後手後手」の失政と批判されても当然であろう、とオジサンは思う。
  
   

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