「描く」仕事の現場から

イラストレーター兼デザイナー兼ディレクターTETSUの独り言

MIXI規約改正で「???」著作者人格権他

2008年03月05日 | ■社会
私は、日頃の情報交換や、人から相談事をうけたり、
回答したりするのに、MIXIを活用している。
その多くが著作物を生業にするクリエイターだ。
100人以上のコミュニティも2つほど管理している。

MIXIがSNSとして、使い勝手が良かったのは、
紹介者同士の非公開空間として個人情報流出の
制限がゆるくかかり、「日記」という各自の
コンテンツや、アルバムという、ある程度だが
私的公開の可能な場がある事で、適度な交流が
図れる楽園でのフランクな情報交換が魅力的
だったからだ。

昨日、その状況が崩壊しかねない(いや、とっく
に、そんな場はないのだと再認識させられる)
事態が起こった。それが、「MIXI運営事務局からの
規約改正」のお知らせであった。

骨子は以下。(抜粋)
-----------------------------------------------
【第17条 日記等の情報に関する権利】
本サービスを利用して日記等の情報を投稿するユーザーは、
弊社に対し、当該日記等の情報が第三者の権利を侵害して
いないことを保証するものとします。万一、第三者との間で
何らかの紛争が発生した場合には、当該ユーザーの費用と
責任において問題を解決するとともに、弊社に何等の迷惑
又は損害を与えないものとします。
-----------------------------------------------
【第18条 日記等の情報の使用許諾等】
1
本サービスを利用してユーザーが日記等の情報を投稿する
場合には、ユーザーは弊社に対して、当該日記等の情報を
日本の国内外において無償かつ非独占的に使用する権利
(複製、上映、公衆送信、展示、頒布、翻訳、改変等を行う
こと)を許諾するものとします。
2
ユーザーは、弊社に対して著作者人格権を行使しないものと
します。
-----------------------------------------------
【第19条 免責事項】
1
弊社は、ユーザーの通信や活動に関与しません。万一ユーザー
間の紛争があった場合でも、当該ユーザー間で解決するものと
し、弊社はその責任を負いません。
2
弊社は、本サービスの内容の追加、変更、又は本サービスの
中断、終了によって生じたいかなる損害についても、一切責任
を負いません。アクセス過多、その他予期せぬ要因で表示速度
の低下や障害等が生じた場合も同様とします。
5
弊社は、次に掲げる場合には、当該日記等の情報の内容を閲覧
したり、保存したり、第三者に開示すること(以下、本項にお
いて「閲覧等」といいます)ができるものとします。弊社は、
それによって生じたいかなる損害についても、一切責任を負い
ません。
(1)
弊社が日記等の情報を投稿したユーザーの登録メールアドレス
に宛てて閲覧等の同意を求める電子メールを送信した場合であっ
て、次の各号に掲げるいずれかに該当するとき。
(ア)当該ユーザーが閲覧等に同意したとき。
(イ)弊社が閲覧等の同意を求める電子メールを送信してから2日
以内に、これを拒否する旨の当該ユーザーの電子メールでの回答
が弊社のメールサーバに到達しなかったとき。
6
弊社は、本利用規約又はその他の利用規約等に違反する行為
又はその恐れのある行為が行われたと信じるに足りる相当な
理由があると判断した場合には、当該行為を行ったユーザー
の強制退会処分、日記等の情報の全部もしくは一部の削除、
及び公開範囲の変更等を行う場合がありますが、それによって
生じたいかなる損害についても、一切責任を負いません。
-----------------------------------------------
【第21条 本利用規約及びその他の利用規約等の有効性】
1
本利用規約及びその他の利用規約等の規定の一部が法令に
基づいて無効と判断されても、本利用規約及びその他の
利用規約等のその他の規定は有効とします。
2
利用規約等の規定の一部があるユーザーとの関係で無効と
され、又は取り消された場合でも、利用規約等はその他の
ユーザーとの関係では有効とします。
-----------------------------------------------
第20条 弊社の削除権限
弊社は、次に掲げる場合には、日記等の情報の違法性・規約違反
の有無に関わらず、関連する日記等の情報について、その全部
もしくは一部の削除又は公開範囲の変更等の不利益な措置を行う
ことができるものとします。
(1)
人(実在の人物であるか否かを問わず、漫画・アニメ等のキャラ
クターを含みます)の裸体(着衣の全部又は一部を欠くものをいい
ます)を撮影・描写した日記等の情報が投稿された場合。
(2)
公的な機関又は専門家(国、地方公共団体、特定電気通信役務
提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の
ガイドラインに規定された信頼性確認団体、インターネット・ホット
ライン、弁護士等をいいます)から、日記等の情報について、違法、
公序良俗違反又は他人の権利を侵害する等の指摘・意見表明があった
場合。
(3)
権利者と称する者から、日記等の情報が自分の権利を侵害する旨の
申告があった場合。
-----------------------------------------------
附則
1、本利用規約は平成20年4月1日から施行します。
2、本利用規約の施行前にユーザーによって行われた行為
についても本利用規約が適用されます。
-----------------------------------------------
以上である。(重要部分抜粋)

〈簡単に言うと→〉
・MIXI上に公開された日記、写真、動画などのコンテンツは
 MIXIが勝手に使用公開出来る(と、取れるよね?)
・権利もMIXIが持つ。許諾猶予は2日だけだよと。
 んでもってそれで、それらを公開している人が、
 その権利を持つ第三者とトラブルになったら、
 それを公開した人が責任を取れ。と。
・第三者と合意の取れた著作物しか載せるなと
 しかも、著作者人格権は行使するなと。
(それじゃあ、普通のブログとどう違う?
 クローズドのSNSの意味がまったくない。いや、
 普通のブログの方がオープン故にプライバシー
 ポリシーしっかりしてる気が?)
・公開したMIXI運営は責任とりませんと。
・勝手に歪められた内容を発表され、その訂正すら
 許されず、損害賠償などの責任だけ負わされる可能性

※著作者人格権不行使特約条項についてはこちらに
 詳しくあります。違法ではありませんが、  
 内容の詳細をケースワークで話していかないと
 ひどく誤解を生みやすい話。
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20041208#1102509516

・で、この規約は過去にも及ぶよと。
(過去に遡及する事後法については,こんな例で仰る方も
 いらっしゃいます。「たとえば、昨日犯罪にならなかった
 喫煙が、今日"タバコ吸ったら死刑"と法改正され、今まで
 タバコを吸った人全員を死刑にしていったら、法治国家と
 して成り立ちがたいですよね。」と。)
・さらに、21条にいたっては、訴訟起こされてMIXIに
 勝つ人がいても、その人以外には、この規約は有効のままだよと
 あるいは、法的に敗訴しても、MIXIのルール自体は引き続き有効と。
(すでに現行規約の動画規約については、この条項が盛り込まれている)

読み方が悪いのだろうか???

で、その後、MIXIの運営事務局が補足説明を出した。
↓以下
-----------------------------------------------
特にお問い合わせの多い【第18条 日記等の情報の使用許諾等】
に関しまして、誤解を避けるため、当社が想定している具体的な
使用について補足説明をさせていただきます。

上記の条項につきましては、ユーザーのみなさまが『mixi』の
サービス内で作成した日記、著作物等の情報について、従来どおり
ユーザー自身が権利を有することに変わりはありません。

また、ユーザーのみなさまが投稿した日記等の情報(公開している
自主作成の映像やイラスト、テキスト等)の使用に関しては、当社
の以下対応について同意いただくもので、当社が無断で使用すること
ではありません。

投稿された日記等の情報が、当社のサーバーに格納する際、データ
形式や容量が改変されること。 アクセス数が多い日記等の情報に
ついては、データを複製して複数のサーバーに格納すること。
日記等の情報が他のユーザーによって閲覧される場合、当社のサーバー
から国内外に存在するmixiユーザー(閲覧者)に向けて送信されること。

なお、ユーザーのみなさまの日記等の情報を書籍化することに関する
お問い合わせもございますが、こちらの点につきましても、従来どおり、
ユーザーのみなさまの事前の了承なく進めることはございません。

なお、利用規約につきましては、今後もご利用いただくお客様に
ご理解いただきやすい内容になるよう引き続き検討してまいります。
-----------------------------------------------
(原文まま)

うむ、勝手に使わないのはいいとしよう。
さすがにヤバいと思ったようで。
(株価が下がってるところだしね)

でも、この説明があっても、条文が変わらなければ、
結局いつか悪用しない保証はない訳で、
4月1日までにいかなる条文改正がなされるのか?

公開でなく、非公開でSNS内でやっている情報交換まで
介入出来る(しないと言ってるが)「規約文章」がある
だけで、いくらそれは絶対しないと言い訳しても、
「退会者」が増えることは自明の理。

実は過去、様々なブログが、この手の問題で
トラブっています。オープンなブログでさえそうなのに、
クローズドなSNSでこの条文では…。
今回は、過去の教訓を全く生かしていない。

■livedoor Blog
「MIXIの著作権に関わる利用規約改定にユーザーから不満の声が」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2004/11/15/5416.html
■ITmediaエンタープライズ
「ドリコムブログ、利用規約変更にユーザー反発を受けて釈明」
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/0606/13/news061.html


ここまで、非常にいいコミュニケーションの場として
利用させていただいていたので、今回の失態は残念。
さすがにここは迅速な対応が求められると思われます。
事の推移を見守りたい。

(基本用語注)
※SNS(ソーシャルネットワーキングサイト)
------------------------------------------
ソーシャルネットワーキングサイトとは、友人を
紹介し合ったり、サイト内で共通の目的を持つ人
と知り合ったりして、人間関係を広げていくこと
を目的とするインターネットサービスのこと。
SNSと略される。招待制をとっており、知り合い
や友人の招待がないと登録できない形態をとってい
る場合が多い(あるいは、このようにネット上で
限定されたコミュニティの場として使用されるもの
を限定してソーシャルネットワーキングサイトと
呼ぶ場合もある)。ブログサービスをコミュニケー
ションツールとして提供する場合もある。
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exbuzzwords~実務家のための専門知識・情報サイトより


いろいろなところで関連記事が書かれている。
http://smatsu.air-nifty.com/lbyd/2008/03/mixi_16b7.html

■CNET
「mixi、4月1日より利用規約を改定--日記などについて著作者人格権の行使を禁止」
http://japan.cnet.com/news/media/story/0,2000056023,20368643,00.htm
他社の各ブログの規約が書いてあります。
■Yahooニュース
「mixi日記、無断書籍化はしない」??規約改定の意図をミクシィが説明
http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/computer/mixi/?1204612948

■BroadBand Watch
「mixi、4月に規約改定。「日記等の著作物はユーザー自身が権利を有する」」
http://bb.watch.impress.co.jp/cda/news/21151.html
■nikkei BP net
「mixi、4月より利用規約を改定、「日記情報の使用権をミクシィに許諾」条項を追加」
http://www.nikkeibp.co.jp/news/it08q1/563531/
■Internet.watch
「mixi規約改定の意図説明「日記を無断使用することはない」
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/03/04/18668.html

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1 コメント

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Unknown (TETSU)
2008-03-05 13:10:43
著作物を管理している人間は
コミュニティに参加している人に、この条文を
どう説明すればいいのでしょうか?

SNSの本質から逸脱したようにも思います。

運営サイドの素早い対応を切に祈ります。
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