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「描く」仕事の現場から

イラストレーター兼デザイナー兼ディレクターTETSUの独り言

(イラストレーターも)シゴトノ基本(ソノ3)

2005年03月11日 | シゴトの基本
さて、「報告」の特訓が続く中、
私には同時に課せられていたもう一つの
基本があった。

「連絡」である。

「報告」と「連絡」は切っても切り離せない。
カップリングされておこることが多い。

私は、元来無精者で「連絡」したり、
人とコミュニケーションしたりというものに対して
独善的でひとりよがりな人間だ。

人の都合を考えて動かないのは
今も昔も、私を悩ませる欠点の一つだ。

「連絡」することで
はじめてコミュニケーションは始まる。

「連絡」≒「報告」といった方がいいのだが、
二つ、重要なポイントをここに書いておきたい。
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まず、一つ目は
「都合の悪い、あるいはまずい情報、分からないこと、
 失敗したことなど「負」の情報こそが最も早く伝え
 なければならない情報」
であるということである。

「リスク」と「経過時間」は比例するからだ。

「仕事」というものが大きくなってくると、
一人の処理能力を超えてくる。

それは、意外にすぐにやってくるのだ。

そして、これは、後述する「チーム化する効用」の
コラムでも詳述するが、一人では解決できない問題
もひっきりなしに起こるのが「現場」というものである。

そのときに、
自身以外の別の人がその事態を解決する「キーマン」であることは
多いのである。(決して、努力をしなくていいということではない。)

「報告」は「解決」にいたる最速のプロセスである。

現代は情報化社会である。
言い方を変えると「情報が多すぎる社会」である。
持っている情報がみな違うのだ。

むしろ、共有情報を探す方が難しい。

その中で、問題解決に向けて成すべきなのは、
大きなチームの中での「解決」のための最速の行動
なのである。

普段から、自分のいる大きなチーム(会社の枠を超え、
大きな人間関係の中で)を意識して情報の「報告」
「連絡」を活用する必要がある。

ただ、とはいえ広告業界は「機密保持」の案件が多い業界である。
日頃から、相談できるブレーンを持つことがとても大切になる。
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さて、二つ目

「結論」から報告するくせをつけるということだ。

よく、何がいいたいのか分からない人がいる。
あと、分かるまでに凄く時間のかかる人もいる。

まず、いろいろ話さずにひと呼吸おいてから、
必ず、「結論からいうと、~」
という言葉を出すよう心掛けるといいかもしれない。

これは、誤解を防ぐことにも多大な効果がある。
あと、報告の時間が短縮できる。

そして、自分の頭の中を整理できる。

これが、次のステップ(「書面化の効用」/後述)
になると、箇条書きなどにする時にとても役に立つ。
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適切な「報告」は「利益」と同義語である。
逆に「報告」がないことや「脚色された報告」は
「不利益」を運んでくることがある。





電通「鬼十則」

2005年03月11日 | シゴトの基本
知らない人の方が少ないかも知れない。
ここには、業界以外の人もくるので一応
有名な話は載せておこう。

「広告の鬼」と呼ばれた電通の中興の祖、吉田秀雄の
「鬼十則」である。

一、仕事は自ら「創る」べきで与えられるべきではない。
二、仕事とは先手先手と「働き掛け」て行くことで、受け身であるものではない。
三、「大きな仕事」と取り組め。小さな仕事は己を小さくする。
四、「難しい仕事」を狙え。そして之を成し遂げる所に進歩がある。
五、取り組んだら「放すな」殺されても放すな。目的完遂までは。
六、周囲を「引き摺り廻せ」
  引き摺るのと引き摺られるのでは長い間に天地の開きが出来る。
七、「計画」を持て。長期の計画を持って居れば、
  忍耐と工夫とそして正しい努力と希望が生まれる。
八、「自信」を持て。自信がないから君の仕事には迫力も粘りもそして 
  厚みすらがない。
九、頭は常に「全廻転」八方に気を配って一分の隙もあってはならぬ
  サービスとはそのようなものだ。
十、「摩擦を怖れるな」摩擦は進歩の母。積極の肥料だ。
  でないと君は卑屈未練になる。

(以上。電通鬼十則より。)

よく、インターのお土産やさんとかにある
湯飲みとかにぐるりと書いてあったりするんだけど、
ほんとは、いろいろ味わい深い言葉です。

解説書として下記なんかはお勧め。
「広告の鬼・吉田秀雄からのメッセージ/電通鬼十則」植田正也著/日新報道¥1,500


(イラストレータも)シゴトノ基本(ソノ2)

2005年03月08日 | シゴトの基本
「まずは報告が出来るようになること」

彼は、僕に徹底的に私的感情を抜いて
先方の状況、所作、言質を報告させた。

当時、独立したことで、カタログなどを
依頼してくれるようになっている小さな
コンピューター会社と付き合いがあった。

そこでは、少ない予算で営業ツールを
考えなければならない。
通常の企業レベルの予算はなかなか、
新米の私には信頼して出してもらえることは
なかった。

最初は、1色の12ページ程のマンガで
ソフトとシステムを紹介したツールを作った。

独立したばかりの僕には、料金うんぬんよりも
仕事が出ることの方が嬉しいという
そんな感覚の頃だ。
数万あれば、何でも納得してやってしまいそうな
そんな感じだった。

だが、同席した営業の友人は次々に、
仕事を作ることを要求し
そして、こちらのできることを売り込んでゆく。
チキンな私では扱ったことのない料金が飛び交う。
(何せこのころは20~30万なんて金額は
びびって要求できなかったころだ。)

チラシ、総合カタログ、カタログ、
営業カード/etc.
どれも数十万以上のの予算が居並ぶ。

彼は、僕の感情のはいった報告を注意深く排除し、
先方のアクションを僕から見極めようとした。

僕が少しづつ、自分の枠を捨てて
脚色を加えず、自己判断をしなくなった頃
から、だんだん彼の要求は高くなってくる。

「より正確に、相手が何をしたか報告せよ。」

これだけのことが出来るようになるのに、
1年以上の月日を要した。

逆の言い方をすると、
これさえ出来ないようでは
その人はビジネスの現場に
出せないということでもある。

このクライアントとは、その後、
百万単位の仕事をやったのち、
打ち合わせなどですべてを書面化していた
にもかかわらず、思い込みで
ツールの効果にクレームをつけてきた
その会社と示談という形で司法の場を借りて
交渉して和解し縁が切れる
という顛末があるのだが、
法的なことを想定した動きを前提に
していた私達は、大きな損失なく
この事案を切り抜けた。

やったことがない仕事を覚えようというのに、
すぐ自分の常識で「余分な言葉」が出て、
使わなくてもいいところに気を使い、
クライアントばかりをフォローし、
かと思えば、先方がやってほしいことに
対してのタイムリーなアイデアは出てこない。

とはいえ、この体験はとても大きな経験だった。
この仕事で稼ぐには、
「営業力」は必須だ。
が、同時に、「相手を稼がせてなんぼ」なのだ。
そのためのアイデアが豊富でなければ
ビジネスとしてのクリエイティブは成立しない。
常にトラブルと紙一重になる。

この時は、たまたま友人の営業処理能力を
学ぶ場になったが、自分に不足している部分を
痛感する場になった。

友人達の厳しい教導のおかげで
僕は自分の判断の殻をいくつか破ることを
意外な短時間の内にクリアすることになる。

3年程、この特訓は続くのだが、
その後にいろいろな会社を回った時に
自分が以前と違う耳になっていることに気付く。

自分を排除して報告する。
あるいは、正確にそのシチュエーションを
誰かに伝えようとし続けることで、

実は「耳」が聞き分ける情報が
まるで変わっていたのだ。

(つづく)





(イラストレータも)シゴトノ基本(ソノ1)

2005年03月07日 | シゴトの基本
事務所を立ち上げて間もないとある日、
友人のAが僕にこう言った。

「仕事の基本ってなんだかわかるか?」

説明が不足している。
読んでいる人はさっぱりわからないだろう。

補足しよう。

僕は30才になったとき、事務所を立ち上げた。
当然、みなし法人だ。デザイン/グラフィックの仕事
全般を扱うということにしてある。

当時僕の住んでいた場所が、
いろんなデザインプロダクションに
僕をデザイン修行兼バイトとして送り込んでくれていた
大学時代の友人の地元だったので、
僕の事務所開設にあたり、ちゃんと自立出来るまで、
後見人のような形でサポートしてくれていた。
彼はもうひとり、彼の友人でソフト販売会社
の営業課長を勤めている同期のAを営業面での
サポート役として、僕の相談役につけてくれたのだった。
(友人には恵まれている。)

で、事務所を始めて間もない頃、
Aが僕に聞いたのが上の質問だったのである。

話を戻す。

僕は問い返した。
「僕の業界でもそれは同じ答えなのかい?」

Aは怪訝そうな顔をして応えた。
「業界とか関係ないよ。」
「すべての仕事と名の付くものはこれが基本」

「ふ~ん‥、何だろう」と僕。

僕: 「相手の事をよく考えて発注をこなすことかな?」
友人:「違うな」
僕: 「ンじゃ誠意。」
友人:「そりゃそうだけど、それでもない。」
僕: 「絵が上手けりゃいいってもんじゃないしなあ‥」
僕: 「まいった。わからない。」

友人:「ホウレンソウだよ。」

僕:「そういや、最初に勤めた会社の研修で聞いたことはあるな。」

そう。「ホウレンソウ」つまり、報告・連絡・相談である。
彼は、そう言ったあと、
僕にこう続けた。

「これから、お前は僕に対して必ず仕事で起こったことを報告すること。」
「報告は自分の考えを入れちゃダメ。」
「自分の感情も入れちゃダメ。」
「最初はあったことをすべて覚えている限り報告すること!」
「相手がそのときどういった感じかつぶさに観察して報告すること」

こうして、基本の身についていない僕に対しての
彼の特訓が始まった。

(つづく)