エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

所持品

2006年03月28日 | 雑記

まさか、こんな歳にして、こんなことに役立とうとは夢にも思いませんでしたが、私の場合、ここのコラムネタの多くは、学生時代の日記からとっています。
たぶん、中高生などという「青春時代」は誰でもそうだろうと思いますが、この日記、なにしろ「人様に読まれることを意識した」仕上げとなっておりまして、気恥ずかしいったらありゃしないんですが、すでに脚色なども施してあるために、ネタ帳としてたいへんに役にたちます。

ということで、ネタさがしに、日記を広げましたところ、ノート1枚のメモ書きがハラリと落ちました。

読みますと

1.九九のほん
2.フマキラー
3.土鍋
4.青雲
・・・・・・・

なんじゃこりゃ?

九九?土鍋? 青雲?って、あの線香か?

なんだかまったく思い出せないのですが、良からぬ香りがプンプンします。

さらにメモは続きます。

5.はにわ
6.掃除機のノズル
7.石けんの詰め合わせ
8. ◎ 納豆床

はにわ?
納豆床ってんなんだ? しかも◎ついてるし・・・。
キャンプの持ち物でなし(はにわ持って行かないし)、実に暗号めいていて、ますます魅かれました。

9.祭りのうちわ
10.恐怖新聞
11.印籠
12.ふんどう
13.稲
14. ○ 母子手帳

ここで終わりです。稲?印籠?

このなんの脈略もないものの数々。みなさんは、なんだかわかりましたでしょうか?

はっ

私。この「○ 母子手帳」で思い出しました。

こりゃ、おそらく、世界中のかたがわからないだろうと思います。

これ。



所持品検査です。

高校1年の頃、学校がやたら所持品検査をした時期がありました。
どこでもそうでしょうけれど、マンガ本やら、タバコやら、化粧品やら、
とにかく「良からぬ物」を持って来ているヤツを摘発する検査です。
この日には、本人のその日所持しているものを、机の上にすべてのせて、担任と生活指導の先生方がそれを順に検査する、という一大イベント。
もちろん、生徒には恐怖の一日でした。

校則では「勉強に関連するもの」以外は、持って来てはいけないことになっておりましたので、ちょっとでもそういう物が見つかると、根掘り葉掘り、ネチネチとやられるわけです。

当然、我々生徒はおもしろくありません。

そこで、この一大イベントを楽しもう、ということで発案されたのが「所持品検査コンクール」です。

やりかたは簡単。
ひとり100円の参加費用で、なるべく先生がおどろくような、かつ、校則にはひっかからないギリギリの物を、あらかじめ学校に持ち込んでおき、検査の日に机に並べます。
そして、その物品で、最もおもしろい物で、その上で、先生に取り上げられなかった物を並べた者が、優勝。
参加費用から1000円をゲットすることができます。
準優勝者がその残り。つまり、ここでは400円です。

当時、1000円はたいへんな価値がありましたから、みんな必死に、そういう物を探しました。

このメモは、その時の審査状況のものです。

優勝は「納豆床」になっておりますが、これがなにか?と言いますと、
なんとコイツは、学校にワラと大豆を持って来まして、ロッカーの中で大量の納豆を「発酵させた」ツワモノです。
当然優勝。

準優勝は「母子手帳」に決定でした。
いずれも「先生には取り上げられなかった」点が高く評価されました。
さすがに母子手帳、取り上げるわけにいきませんよね~。
それぞれ「持って来た理由」をたずねられるわけですが、「肌身離さず持っているんです」という言い訳が泣かせました。
大ウソですけど。
納豆は、それまで数週間もの間、教室に漂っていた悪臭の謎も解け、かつ、学校側に「弁当のおかず」として認めさせたことも、高評価につながりました。
「恐怖新聞」は、マンガ本ではありません。どこで入手したか、本物(っぽい)恐怖新聞そのものでした。が、これはつのだじろう先生のイラストがあますところなく入っていたため、残念ながら、没収されました。

この検査では、生活指導の先生が、だいぶうんざりしていたのを覚えています。

なにしろこのコンクール。2度しか開催できませんでした。
第二回は「没収されること」を目的に開いたのですが、あまりに「腐敗物」が多く、学校側がいやになってしまったのか、所持品検査そのものがなくなってしまったのです。
この腐敗物の数々は、これ以上にすさまじいので、また後日掲載しましょう。

現在、所持品検査で苦しまれている学生さんがいらっしゃったら、やってみてはいかがでしょう?
効果絶大です。

あ、私が持って行ったものですか?


大豆ですけど。なにか?
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