エスティマ日和

『ぼくたちと駐在さんの700日戦争』2章まで収録の、エッセイ集です。独立しました。

俺たちは風(続々編)

2006年03月10日 | 連載
続編は、異様なアクセス数の高さ。いかにこの疑問に対する世間様の感心が高いのかがよーくわかりました(ちがうよーな気もする)。ここから入られたかたは、なんの「社会的関心」かわからないと思いますので、『俺たちは風(前編)』より、お読みください。

ここまでお読みの方には、おおよそ判ったことと思われますが、我々の真の目的は、自転車が速度測定にひっかかるかどうか?だけではございません。言うまでもなく、原付バイクで捕まった仲間の「あだうち」のために「国家権力に一矢報いる」というものです。
したがいまして、第5走者まででおおよその結果が判っていても、もとよりここでやめるようなものではなかったのです。

速度測定をしているおまわりさん達にしても、定期的に全速力の自転車が走ってくるのは、さすがに不自然。
おおよそ、彼らも我々の「悪意」に気づいたことでしょう。
逆に、我々の後ろを走って来た車たちは、我々とほぼ同等の速度で走っているにもかかわらず、捕まることはありませんでしたから、ある意味、人助けもしていたわけで、世の中、なにが良くてなにが悪いのかよくわからんものです。

しかし、なんらかの形であれ、捕まってしまうと、どういう罰則が待っているかわかりませんから、我々は作戦の変更を余儀なくされました。

「よし。一度の人数を増やそう」

集団になれば、おまわりさんが捕まえにくくなります。
そこで我々は、第6走者から、一度に8人を送り出すことにしました。
ここに私も参加いたしておりました。

そして8人が一斉に縦列スタート!
さすがに8人は壮観!自転車とは言え、迫力がちがいまんがな。

それまでは、気づかれぬように静かに走っていた我々でしたが、すでに開き直っておりますので、もうみんな叫びながらの疾走です。
「ぬぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」
これは、なにか美しくさえありましたねぇ。
バニシングポイント、とでも言いましょうか。太陽につっこむ最終回の鉄腕アトムとでも言いましょうか。

しかし、我々は肝心なことを忘れておりました。
こちらが作戦を協議できた、ということは、相手も「作戦を協議できる」ということです。

バニシングポイントに近づいた時、おまわりさん達がわらわらと出て参りまして、4名がよけきれずに止められ、3名が突破。
そして。ママチャリで最後尾だった私は、余裕で止められてしまいました・・・。

しかし。この事態に陥りながら、我々はまだヘラヘラしておりました。
なんと言っても、減点される免許がないんですから。

おまわりさんの一人がたずねました。

「お前ら、なにをそんなに急いでいる?」
「いや。家でいろいろと待ってるもんですから・・・」
「ほぉ。なにが?」
「いや・・・犬とか・・・そうそう。アイスクリーム。出しっ放しなんで」。
「そうですそうです。それと煮物の火かけっぱなしで・・・」。

  主婦か?お前は。
  こういう小技のギャグが通じる相手か考えてもらいたい・・・。

おまわりさんは、ニコリともせず
「とにかくこっちに来い」。

こういう正式な交通検問所を見るのは初めてでした。そのことに、すでにキョロキョロしていた我々ですが
まぁ、運動会の本部みたいなもんでしたね。

「まぁ、すわれ」。
「なんですか?僕たち、自転車で競争してただけですけど」。

初めてまともな「打ち合わせ通り」の言い訳をしたのは私です。
私は、友人たちの度を超した(ある意味普段通りの)能天気さが、ちょっと気になり出しておりました。

「座れ!」

この時、飼い犬の気持ちが初めてわかりましたね。

そしてこれが生まれて初めての「尋問」でした。

   まだまだ続く!驚愕の結論はCMのあと

予告(抜粋)----------------------

「お前ら、○○高校の生徒だよなぁ」。

「いいえ。僕たち、早稲田大学のボート部の者です。今、春の合宿中っす」。

「ほほぉ」。

 だから空気読めよ・・・・。
 どっから出たんだ?早稲田大学・・・・。

予告終り------------------------

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