弱い文明

「弱い文明」HPと連動するブログです。 by レイランダー

NHK、繰り出される魔の手 そのほか

2011年07月30日 | 原発 3.11 フクシマ
 アウトテイク集のエクストラ。大げさなタイトルをつけてしまったが、以下の内容とともに、自分としてはごく日常的な認識のことを言っているつもり。



ツイッター情報より

 NHKが東電ほか電力会社の社債を大量に保有しているという、週刊金曜日のスクープが伝えられ始めている。株ではなく社債ということだが、いずれにしろNHKお得意の「不偏不党」「公正・中立な報道」の大きな障害であるには違いない。

 ただ、そういうものを持っていなくてさえ、NHKには国家の広報機関といっていい側面がもともと濃厚にある。北朝鮮労働党のテレビとの違いは──予算規模が大幅に違うから、取材力とか作れる番組の技術的な質が違うのは言うまでもないが、それらを別にすれば──口調がソフトかそうでないかとか、女子アナの胸元が開いているかどうか、くらいしかないのではないか、と日頃思っていた。一方で、事実上の「国営放送」なのに民間会社の顔をして愛嬌をふりまいたり聴取料をせびったり、という立ち居地は、民間会社のくせに事実上の「国営会社」であるように国民を恫喝する電力会社の立ち居地と、日本ならではの親方日の丸・主体不明構造という意味で通底するとも感じる。
 なわけだから、一連の原発報道の基本的な調子を見ても、勝手にさらせ、としか思わなかったのだが・・・ひでえ話だよなあ、とは今さらながらに思う。3.11以降、世界は変わった、変わらなければならないという声はあちこちで聞くけれど、変わらなければいけない筆頭は何よりメディアだ、という個人的な思いは、(これでもまだ)行き場がなく・鬱屈し続けているところがあり。

 問題のあるメディアはNHKに限らず、民法各社や新聞・雑誌にしても同じなのはもちろんだ。けれど、一般の国民の、特に年配の人ほどそうだが、NHKの公正さに寄せる信頼は、他のメディアに対するそれを圧していると思う。とすれば、他のメディアに対する以上に批判の火力を上げるのも、理に適っているはずだ(はずだし、自分の中の感情の燃え盛り具合とも一致する)。


■繰り出される魔の手、fuck you so long

 毎日夕方のニュースなどで、「今日の各地の放射線量」を報じるNHK。福島の一部でやや高く、北茨城でもちょっと高いが、どこも「通常の範囲内です」という一言を忘れず付け加えるNHK。毎日毎日毎日毎日。
 何をもって「通常の範囲内」とするのかの説明はない。現実には、関東地方について言えば、各地で軒並み通常(事故前のレベル)の2倍以上の数値を4ヶ月以上に渡って記録し続けている(多いところではそれ以上)。それが事実だ。だが「2倍」という言葉は決して登場しない。
 食品汚染が全国に広がっている問題を伝える場合も同じ。「放射性セシウムがどこそこから見つかった」「それをどこそこの子供たちが食べた」、この報告のあとに、漏れなく「体の不調などを訴える被害は今のところ出ていません」と付け加えるNHK。
 当たり前だ。低線量被曝の被害はすぐに出てくるものではない──という、今や常識である(べき、はずの)知識を、いまだ持つに至らない少なからぬ国民がこれを聞けば、「じゃあひとまず安心か」「やっぱり騒ぐほどのことじゃないのか」と思うだろう。そもそも放射能は病原菌や毒物とは性質が大きく違う、ということを一生懸命伝えるのが報道の「仕事」であろう(この場合は「倫理」でもあろう)に、NHKの報道部というところは確実にそれを怠っている。どころか、むしろ誤った「安心」認識をもたらすような語句を付け加えている。これを普通「ミスリード」と呼ぶ。

 Eテレなどで、時に優秀なドキュメンタリーを放映することもあるNHK。だからといって、日々のニュース報道は部署が違う(*)、どちらかといえばそちらこそ本丸に近い、ということを忘れてはならない。
 もっと簡単に言おう。
「でも○月○日のNHKドキュメンタリーは良かったよ」
知らん。だからどうした。それが結局は毎日のニュース報道の愚劣さ、田舎芝居のアリバイ作りとして機能している現実を、頭の一方では醒めて認識するべき。

*そもそもドキュメンタリー制作は下請け会社に発注している場合も多い。


■早川義夫「NHKに捧げる歌」

 早川義夫は日本ロック草創期の伝説のバンド、ジャックスの中心人物。背筋がぞくっとするような、一度聞いたら忘れられない声の持ち主。異才中の異才。
 「NHKに捧げる歌」はジャックス解散後に出したソロ・アルバム「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」(1969)に収められている一曲。詞は柏倉秀美。
 白黒テレビがまだあった頃の古い曲だが、基本的な構図は変わっていないので、いま聞いても違和感がなかったりして。「おはなはん」「龍馬」「旅路」はいずれも当時のNHK大河ドラマ。

 ああ この広き国 日ノ本に
 名高きものは 富士の山
 加えて 名高き えぬ・えいち・けい
 多くの者に絵を送り
 月々 戸口にあらわれて
 とりたて歩くは 絵の代金

 誰が言ったか 押し売りと
 されど払わにゃなるまいと
 渋々 さしだす その代金
 おはなはんなら ありがたし
 龍馬来たれば ありがたし
 旅路あるのも ありがたし

 色つき絵には高く取り
 白黒絵には安く取る
 されど もぐりの客めらは
 金を払わず絵をながめ
 お上はバイトを使いつつ
 悪者をさぐり続けるなりけれ。

 http://www.youtube.com/watch?v=4DnTjgzRXJ0



■国の原発対応に満身の怒り – 児玉龍彦

 「そのほか」というかたちで紹介するのが失礼なくらい、大事な情報でしょう、これは。

2011年7月27日 (水) 衆議院厚生労働委員会 「放射線の健康への影響」参考人説明より
児玉龍彦(参考人 東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)
「現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射性物質が少しあるものを前提にしています。このときは、総量はあまり問題ではなくて、個々の濃度が問題になります。[…]我々が放射線障害を診るときには、総量を見ます。それでは、東京電力と政府は──いったい今回の福島原発の総量がどれくらいであるか、はっきりした報告はまったくされておりません!」

衆議院TVの録画より
http://www.youtube.com/watch?v?=O9sTLQSZfwo
ダイレクトリンクがはじかれる方は
http://ceron.jp/url/www.youtube.com/watch?v=O9sTLQSZfwo
児玉氏の質疑応答部分のみをまとめた動画は
http://www.youtube.com/embed/LunV27H3oW8

テキストに起こしてくれた方のリンクはこちら。
http://kiikochan.blog136.fc2.com/blog-entry-626.html

 二度、三度と観たほうがいいと思った。専門用語による解説を解読しようとすることに無理に労を注ぐ必要はないけれど、児玉氏の厳しい現状認識と、「だから(最低限)こうすべき」という部分、つまりは発言の一番熱を帯びている部分だけはしっかりと受け止めるべき。
 まだまだこうした、現場で奮闘している本物の医者、学者の人からの声は足りない。


■素人の乱、真夏のデモ
8月6日(土)に決定。東電前から銀座へ。
 http://86nonukes.tumblr.com/

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