中華街ランチ探偵団「酔華」

中華料理店の密集する横浜中華街。最近はなかなかランチに行けないのだが、少しずつ更新していきます。

居留地188番の謎

2017年06月07日 | 中華街メモ

 山下町の番地は、基本的に居留地の地番を引き継いでいる。たとえば居留地1番は現在の山下町1番地という具合に。

 だから昔の○○番は現在でいうとどこなのか、そんなことを調べるのには重宝している。ところが、居留地時代に地番を変更しているとなると、問題はややこしくなる。

 そのいい例が188番である。ここは元々、169番だった。冒頭の写真(左)は慶応4年当時のもの。写真(中)は、それから間もなくの明治3年なのだが、なぜか169番の場所に188番が新たに付番されている。
 170番以降はそのままで、169番だけを188番に変更しているのだ。

 さらに、写真(右)の明治14年の地図を見ると、188番を基礎にしてそこから189、190…と連続する地番に切り替えている。
 なぜ188番が割り込んだのか。

 この169番(その後の188番)には何があったのか。水売りや瓦・煉瓦販売でよく知られているジェラールの店がここに建っていたのだ。
 しかも、この一帯はフランスが関係する土地であったことが、フランス人クリペの地図から分かる。
 これはどういうことなのか? 専門家による解明が待たれるところである。


 参考に……

 横浜市のHPにこんなことが出ている。

 ジェラールの水屋敷に関して

 横浜の市街地の井戸の水は塩分を含んでいて、飲用には適していませんでした。他方、丘陵地帯の麓には良質の湧水が多く、上水道が整備されるまでは、そうした湧水を汲んで市中を売り歩く「水屋」の姿も見られました。この点に着目したジェラールは、山手の麓に水源を確保し、パイプを敷設して、山下居留地や寄港船舶に供給しました。これを見た横浜の人々は、ジェラールの給水業のための施設のことを「水屋敷」と呼ぶようになりました。
 ジェラールは、まず明治元年(1868)中村宇池ノ谷戸(現在の中区打越)に水源を得て、船舶給水業に着手します。現在の「打越の湧水」がこの水源の名残です。明治3年までには山手77・78番(現在地)に新たな水源を確保しました。ここが「水屋敷」と呼ばれることになります。前者からは山下居留地 169番(のち188番に地番変更)の事務所まで、後者からは堀川までパイプを通して給水しました。前者は山下居留地、後者は寄港船舶を対象とするものと思われます。

Aジェラール
 フランス人ジェラールは元治元年(1864)に来日、169番(のち188番に地番変更)で船舶供給業を営んだ。明治元年、中村字池ノ谷戸 (現在の中区打越?) に水源を得て船舶給水業に着手。明治3年までには山手77・78番に新たな水源を確保、やがてここに西洋瓦・レンガ製造工場を建てる。最古の瓦銘にある「1873年」(明治6年)が創業年であろう。
ジェラールの名は明治23年ごろ、記録から消える。レンガ工場はその後も操業が続けられ、明治40年には設備を更新している。ジェラール給水株式会社 (大正11年設立、野田久三郎のち金子玉久の経営)は給水部門の後身であろう。
震災時、被災者への給水に貢献、のち横浜市が買収した。図の工場を見ると、1・2階の境目に自社製の瓦を張り付け、門の上には、飾りと侵入防止を兼ねた奇妙なかたちの瓦が置かれている。なお工場内のヒマラヤ杉は今も元町プール前の小公園に枝を広げ、近くには工場入りロレンガ塀の遺構があり、こんこんと清水が湧き出ている。

A・ジェラール年譜
天保8年(1837)フランス、ランス市にて、パン屋の父ジャン・ニコラ・ジョセフ・ジェラールと母テレーズ・ランベール・シェリュイの間に生まれる。
元治元年(1864)来日、169番 (のち188番に地番変更) で食肉など食料品の船舶供給業を営む。
明治元年(1868)中村宇池ノ谷戸 (現在中区打越) に水源を獲得、船舶給水業を始める。
  3年(1870)この年までに山手77・78番に水源を確保。
  6年(1873)この年までに、山手77・78番に西洋瓦・煉瓦製造工場を建てる。また、この頃、山下居留地188番(旧169番)にジェラール・ビルを建設(最初期の煉瓦造建築の一つ)。

 きれいに並んでいる地番の中に、なぜ188番を割り込ませたのか?
 その188の意味は?

 考えれば考えるほど謎は深まる……

 ちなみに、居留地188番というのは現在は山下町188番地で、この一画には「謝鵬酒楼」、「許厨房」、「財恩」、「CHILULU」、「万来行」、「鳳林」などがある。

 

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