エッセイ -日々雑感-

つれづれなるままにひくらしこころにうつりゆくよしなしことをそこはかとなくかきつくればあやしゅうこそものぐるほしけれ

 最近、ちょっと面白い本

2017年10月22日 | 雑感

 

2017年10月20日

 

                          


このところずっと天気が悪く、体調も十分でないから大文字山にもいかない、退屈だ。

先日新聞の書評欄で見た本が興味をひいたので、買ってきて読んだ。

 

「荒くれ漁師をたばねる力」、朝日新聞出版、本体1400円+税。

 

ごく若い女性が、自分自身のため、そしてある島の漁業の将来のために奮闘する物語だ。

 

彼女は英語関係の大学に入ったが原因不明の病気、それが原因ではないだろうが中退、萩市で結婚して、そして離婚、シングルマザーとどうしようもない状態になった。

そのとき、沖合の萩大島で直感的にここでなら生きていけるだろうと思う。

 

漁師の宴会の給仕の手伝いをしているときに、ある船団長にあった。

彼ら自身、漁業が今のままではどうしようもないと感じていたから、一応英語もパソコンも出来る彼女に政府の「総合化事業計画」なるものを丸投げした。

 それから彼女は奮闘した。最初、漁師たちは彼女のことをアルバイトを雇ったくらいに思っていたが、それどころでない力を持っていることがわかった。

 漁師ことばをすぐに習得、漁師とつかみ合いのけんかをする。漁協とのむつかしい交渉、それは収穫の一部を直接販売するということだ。(漁師は仕事が終わればすべて漁協へ丸投げする。それによって漁協は組織として仲買の利益を得る、そのために生活の糧を得る人は沢山いる。これは、その人達にとっては当然賛成できる話ではない)。

だれにも知られず、感謝されず、一人で、大阪の料亭、一軒ずつへ必死の売り込みなど。直販で買ってくれる料理屋が必要なのを漁師はわかっていない。

 

最初は漁師から歓迎されるが、すぐケンカ、反発、離反、そして理解から和解。そして、ふたたびケンカ、反発、離反、和解。その繰り返しだ。

船団の離反、船員の逃亡、その間組織への目配りをせねばならない。

 

政府の出した事業の認可の第一号となり、全国的に有名となる。まだまだそれでは萩市、大島を安定にできないからと他の事業に手を出す。

 

そういう努力のはてに今の段階では彼女は島の漁師を手下にした状態とわたしには読める。漁師さんには不満かもしれないが。

しかし、彼女にはさらに困難が待っているだろう。ケンカ、不和、離反、脱離、また理解、和解。

その連続が人間の性か。そして彼女は楽しみに、それを待っているのかな。

 

しかし、こんな優秀な人間しかやっていけない時代がくるとなればしんどいだろう。


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