エッセイ -日々雑感-

つれづれなるままにひくらしこころにうつりゆくよしなしことをそこはかとなくかきつくればあやしゅうこそものぐるほしけれ

 サンマ苦いかしょっぱいか

2015年10月06日 | 雑感

2015年9月30日

 

佐藤春夫の秋刀魚の歌、

“さんま、さんま、さんま苦いかしょっぱいか・・・・”。

 

私はサンマが好きだ。

小学校のころからずっと好きだった。

“すきな食べ物はサンマ”と私は学級文集に書いて、母に「恥ずかしい」と云われた。なんで恥ずかしいのかわからなかった。たしかに“ビフテキ”とか“寿司”と書いた友達もいたが、家ではビフテキなどめったに食べなかった。

あのころの秋の秋刀魚は本当においしかった。

 

いまサンマは季節感がなくなって、昔ほどおいしいとは思わないが、時々食べる。

             

新鮮なサンマを買ってきていい塩を振って、しばらくおいてから丁寧に焼く。大根をすって、スダチを添える。

私はワタがとりわけ好きだ。

そして、食べたあとは、尾おかしらつき骨のみのサンマが残る。

 私の父親も、きれいに魚を食べた。

 

ところで、このごろは首を落としたサンマが売られているが、これはいただけないというより気持ちが悪い。サンマは頭があってこそサンマだ。

                   

表現は悪いが、頭のないサンマは、切腹後・打ち首された侍のようで、とてもそのワタを食べる気はしない。

 

60年以上前小学校に来た教育映画で、ピカソが、カレイを頭を残してきれいに食べて、それを魚拓にとっておどけていた顔を思い出す。

マグロなどは切り身で仕方がないが、魚には頭があったほうがいい。