ウヒヒ…習近平の国賓訪日に関して、孔大使が・・・ まだひっくり返せるぞ‼
https://youtu.be/XEGWxLXOAaM
【DHC】2020/1/22(水) 上念司×ケント・ギルバート×居島一平【虎ノ門ニュース】より
00:03:23 本編
00:16:27 米大統領の弾劾裁判 審議入り 史上3例目
00:27:40 イラン 保守強硬派が勢力伸長か 国会選挙まで1カ月/レバノンでデモ隊と治安部隊が衝突
00:44:20 極秘スクープ!孔大使が・・・
00:51:09 政府 外資の土地取得制限を検討
01:00:17 メキシコ国境 移民が当局と衝突 投石に催涙弾を使用
01:16:59 BTO
イラン 保守強硬派が勢力伸長か 国会選挙まで1カ月の内容の参考資料として
矢野義明 イスラエルによるイラン攻撃の可能性高まるのリンクです。
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イスラエルによるイラン攻撃の可能性高まる
00:44:20 極秘スクープ!孔大使が・・・
上念:この虎ノ門ニュースで、色んな人が言ってますけど、習近平の国賓訪日阻止、ねぇ、来たらイカンと。
居島:と、申しますか、大反対という
上念:大反対、盛り上がってますねぇ。国会議員もチョッとヤバイと思って、やめた方が良いんじゃないかみたいな事を言ってる人が大分増えてきたんですよ。
で、この運動が効いているか、効いてないか。
効いてます。メッチャ効いてます。その証拠にこの孔大使がねぇ、1階じゃないフロアーで。
ケントギルバート:1階じゃないのか。
上念:1階でもないです。3階でもないですよ。
ケントギルバート:あぁ、もっと上だ。
居島:1階と3階の間の…
上念:良く分からない…まぁ、色々ありますけどね。まぁ、メガニン(?)っていう様な階もあったりするんで。まぁ、必ずしもあの階とは言いませんけど。
あの1階じゃないフロアーでね、この孔大使がね、極秘にそのフロアーに行きまして。「イヤァ、あの運動、チョッと困っているんで、抑えてくんねぇか」と。昨日か一昨日、お願いしたらしいんですよ。
居島:そんな依頼を?
上念:イヤ、1階か2階で言ったんで、そこに居た人だと思うんですけどねぇ。アッ、ヤベェ…言っちゃった。1階じゃないです。絶対に1階じゃないですよ。1階じゃないフロアーでお願いをして、その場に居た…まぁ大物国会議員です。
かなりの大物国会議員。今回IR疑惑で逃げ切ったと言われている…あの人に…僕は誰とは名前言ってませんから。俺の事殺そうと思ってる人、俺、名前言ってないからな。俺を殺すなよ。俺は名前を言ってないぞ。場所を言っただけですからね。
ある建物の…どの建物が知りませんよ。まぁ、多分、1階でもなく、3階でもないフロアーで
居島:ある場所ですよねぇ。
上念:で、あれは困るからと。何とか抑えてくれと言ったらしいんです。こうやってね、極秘にそういう事を打診しに来るって事は、余程効いているんですよ。なので、国会議員の皆さんで、そのもう、ホントに良いのかって、もう聞いている人いますよね、何人か。
ああいう人たち、もっと応援しないとイケナイですし、それを言っていない地元の国会議員が居たら、「てめぇ、なんで言わないんだよぉ!」ってジャンジャン事務所に電話をして頂けると、又、あのフロアに来ると思うんですね。
居島:そういう陳情をね、重ねてもらえると
上念:陳情にに来るって事は、メッチャ効いていると。で、これ高橋洋一先生が言ってたんですけど4月に訪日するって言うんですけど、何日に来るか未だ分かんないんですよね。
天皇陛下のスケジュールってメッチャ忙しいんですよ。国賓で来るからには、陛下のスケジュールを開けなきゃならないんですけど、何日って言って頂かないと、チョッと。
ケントギルバート:忙しいって言って、断ればイイんだよ。
上念:ねぇ、何日か分かんないでしょ。
居島:桜の咲く頃っていうボンヤリした言い方しかされてませんよね。
上念:となるとね、未だ、これ、ひっくり返せる余地があるという事ですよ。ねぇ、ゼロじゃない。
しかもこの運動大分効いてて、「こんな奴来て良いのか」と。「歴史上の汚点になる」ってね。昨日も言ってましたよね、百田さん。
居島:仰ってましたね。
ケントギルバート:もしも来るとしたらね、その時に、大デモが起きたら、すっごい顰蹙ですよね。中国としてもね。
上念:そうですよね。大恥かきますよ、習近平来たら。俺らは習近平のお面で出迎えますからね。全力で。全力で習近平のお面で出迎えて、で、「台湾の蔡英文総統、おめでとう」みたいな感じで、皆で言いまくって。
居島:マダムヤンみたいなね、こんな大きい奴被りたいです。大きい奴。
上念:あのぉ、自民党からもね、祝辞が出ましたよね、確か。その…台湾関係仲良いみたいなね。有志の人から、「当然おめでとうございます」みたいな出てますから。そんなね、2つのチャイナっていう原則でやってる奴らが与党占めてる国に、来ちゃって大丈夫なの、習近平様と。
心から、私、習近平様の事心配しているんですよ。小学生の様なピュアな心と頭脳を持ってらっしゃる習近平様ですから、
ケントギルバート:トランプに聞こえるんだよ、それ。トランプ大統領、いつでも習近平を褒めてるんじゃないですか。褒め殺しだけど。
上念:僕ね、心から、心から、そのピュアな心と頭脳をね、尊敬申し上げているので。外交の天才ですからね。
居島:気の毒でしたね、名前が誤訳されてShit Hokeなんて言われて
上念:そうですねぇ、クソの穴みたいなね。
居島:どうやったら、そんな間違いを
居島:誤訳ですからねぇ。
上念:Welcomeって言って。Welcome Shit Holeみたいな。
ケントギルバート:これ、問題!フェースブックで止められるよ。問題発言で。
上念:僕が言ったんじゃないですよ。フェースブックが誤訳したのが悪いんですよ。今の話も、別に…という話を聞きましたと。
居島:ハイ、そうです。
上念:誰に…誰に…孔大使が誰に会ったかって、一言も言ってませんよね。皆さんのイマジネーションで誰かをイメージして。それはそれは、日本は思想信条自由ですから。これでどんな憶測をして様が、勝手ですよ。
私はただ場所を、1階とか3階とかじゃないって言っただけの話ですから。勿論4階でも、5階でもないですよ。それは。
居島:あくまでも、受け取る側の判断ですからね。
上念:25階でもなければ、31階でもありません。
居島:もう、宜しいじゃないですか、もう。
上念:何処なんだかもう、全然分かんない。でも、わざわざ来るって、この意味を皆さんよく考えて下さい。ネッ。どれ位効いてんのかなぁって思ったら、意外に効いてる。
ケントギルバート:効いてますね。
居島:ボディブローどころではないかもしれないというね。
00:27:40 イラン 保守強硬派が勢力伸長か 国会選挙まで1カ月/レバノンでデモ隊と治安部隊が衝突 の中での上念さんのお勧めのサイトにある矢野義明氏の記事はこちら(冒頭のリンクが切れていた場合はこちらでお読み下さい。コピーです。
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イスラエルによるイラン攻撃の可能性高まる
米国とイランの対立激化のもたらすもの
2020.1.21(火)
矢野 義昭
アメリカ 中東・アフリカ 安全保障
イランのモスク
米国とイランの間の緊張状態が昨年末から急速に高まっている。
昨年の12月27日には、イランがイラク北部のイラク軍基地を攻撃して米国民間人1人が死亡し、米国軍兵士4人が負傷した。
12月29日には、米軍がイラクのシーア派武装組織の拠点を空爆し、5カ所で少なくとも25人が死亡した。
さらに、12月31日には、イランがイラクの首都バグダッドにある米国大使館を襲撃するという事件が発生している。
今年1月3日付の『ロイター通信日本版』は、「イラク国内では、米軍部隊が駐留する基地に対しイランの支援を受けた組織による攻撃が増加、その手段も高度化している。ある米軍高官は昨年12月11日、あらゆる当事者が統御不可能なエスカレーションへと追いやられている、と語った」と報じている。
米国は、そのエスカレーションの元凶となっている中心人物を、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」を率い、イランが国外で支援している中東各地のシーア派武装組織のテロや破壊活動の総指揮をとっていたカセム・ソレイマニ司令官とみていた。
ついに今年に入り1月3日に、米軍はイラクの首都バグダッドでソレイマニ司令官を殺害した。これに対する報復として、1月8日にイランが弾道ミサイル攻撃をイラク国内の2カ所の米軍基地に対して加えた。
同8日にウクライナ機が撃墜され乗客176人全員が死亡するという事件も起きている。今後の中東情勢がどこに向かうのだろうか?
米国とイランの緊張状態
当面どうなるのか?
ソレイマニ司令官の殺害について1月3日、イラン政府は「厳しい復讐」を誓ったが、これに対しドナルド・トランプ米大統領は、「戦争を始めるためでなく、止めるため」だったと述べている。
またトランプ大統領は8日、イランのミサイル攻撃については、米国人やイラク人の人的被害はなく、わずかの損傷にとどまったとし、「イランは戦闘態勢から引く様子だ」と語っている。
米国は10日にイランに対する追加制裁を公表しているが、軍事報復については言及されていない。これらの対応には、イランとの新たな軍事衝突は避けたいとのトランプ大統領の意向が反映されている。
米国はいま、北朝鮮の核開発をめぐり北東アジアで緊張の火種を抱えている。
また、次期大統領選挙を控えて、トランプ大統領としては、中東でもイランとの新たな戦端を開き、19年間戦い続けてまだ解決の見通しの立たない中東での泥沼のテロとの戦いをさらに拡大することは避けたいと思われる。
選挙前に、新たな対外強硬政策を採り国民の結束を求めて、支持率を高めるという手法は、しばしば歴代の米大統領により用いられてきた。
確かに、トランプ大統領は軍備拡大には熱心である。2020年度の米国防予算の上限枠は史上最大規模の7380億ドルに達している。
しかし、同時にトランプ大統領は大統領選予備選挙の時代から「戦争は最後の手段」であると明言しており、新たな戦争の開始や拡大には慎重である。
2019年6月20日『ニューヨークタイムズ』紙は、「トランプ氏はこれまで、泥沼化したイラク戦争を「避けられた大失態」と批判し、米軍の海外活動を縮小する方針を示している。
イランとの戦争についても、望まないとの意向を繰り返し表明してきた」と報じている。
無人機攻撃によるテロリストの殺害は、バラク・オバマ政権に引き続き、トランプ政権でも重視されている。
今回のソレイマニ司令官の殺害も、アブバクル・バグダディの殺害に次ぐ、米国にとっての「世界一のテロリスト」の殺害だった。
1月3日付の『ロイター通信日本版』は、「ソレイマニ司令官は、イラク側協力者のトップであるアブ・マフディ・アル・ムハンディス氏をはじめとする民兵組織有力幹部に、イランが提供する先進的な兵器を使ってイラク駐留米軍への攻撃を強化するよう指示した」と報じている。
また、1月3日、米政府の要人が、ソレイマニ司令官が「米国の陸空海軍・海兵隊の将兵、外交官らに対する攻撃を計画していた」と語ったと報じている。
このようなソレイマニ司令官の、米軍の新たな損害を招きかねない挑発行為が、米軍の殺害作戦を誘発したと言える。
ソレイマニ司令官殺害に対し、イランと同一宗派のシーア派が主導権を握っている現イラク政権は反発した。
イラクのアブドルマハディ暫定首相は、ソレイマニ司令官とイラク側のムハンディス氏がともにイラク国内で殺害されたことから、「イラクの主権に対する言語道断の侵害だ」と非難した。
イラク国会は1月5日、外国軍部隊の駐留終了を求める決議を採択した。ただし、投票に参加したのはシーア派系の議員が主体だった。
トランプ米大統領は、イラク政府が駐留米軍の撤収を正式に求めてきた場合には「厳しい制裁を科す」と警告しているものの、その後イラク政府と米国の間の対立激化の様子は見られない。
これまでトランプ政権が新たに行った軍事作戦としては、2017年4月、シリアでの民間人に対する化学兵器攻撃への報復として、巡航ミサイルにより、化学兵器攻撃を加えたとするシリア空軍基地施設の破壊を行った程度に過ぎない。
この際にも、ロシア政府やアサド政権に事前通告を行い、目標としては人的被害を招かない施設のみを慎重に選定している。
同様の手法が、今回のイランによる、イラク内米軍基地に対する弾道ミサイル攻撃でも模倣された点は、興味深い。
イランとしては、米軍同様に、慎重に選定された目標を正確に即座に攻撃できると、力を誇示しつつも、他方で、慎重に米軍の人的被害を回避し、米側を挑発して軍事行動に踏み切らせないよう配慮している。
イラン指導部の対応には、硬軟両様のバランスをとった巧みな戦略判断に立ち、一応報復攻撃に出て国内外の強硬派をなだめつつも、米国への挑発を慎重に回避しようとする姿勢が窺われる。
イラン国営テレビが1月8日、「15発のミサイルを発射し、少なくとも80人の米国のテロリストが死亡した」と発表したのは、国内外の対米強硬派をなだめるための宣伝とみられる。
ウクライナ機の撃墜についても、事件3日後の10日にイラン政府は、誤って撃墜したことを認めている。
当初、イランのミサイルは命中していないと断言していたが、速やかに撃墜を認めたイラン側の姿勢から見ても、イランが事態の鎮静化を望んでいることが窺われる。
イランは、トランプ政権の核合意破棄に伴い再開された経済制裁により、国内経済がインフレが進むなど疲弊しており、指導部としても、いままた米国を挑発して本格的な戦いに入ることは望んでいないであろう。
またイランとしては、米大統領選挙を控えたトランプ政権は、本格的なイランとの戦争を望んでいないと読んでいるかもしれない。
あるいは米大統領選挙で民主党候補が勝利し、オバマ政権により締結された核合意に米国が復帰することに望みを託し、イランとしてはあえて米国を挑発せず、事態を静観するとの姿勢なのかもしれない。
以上のような米国とイラン双方の対応姿勢から見ると、事態は当面は沈静化に向かっていくと言えよう。
核合意の制限破棄を明言したイラン
しかし大きな問題が潜在している。それはイランがソレイマニ司令官殺害を受け、包括的共同作業計画(JCPOA)、いわゆる核合意に基づく、ウラン濃縮の上限にとらわれないと表明している点である。
2015年7月に発表されたJCPOAにおけるイランに対する主な核関連の制約としては、
①ウラン濃縮関連では、ウラン濃縮のための遠心分離機を5060基以下に限定すること
②ウラン濃縮の上限を3.67%にするとともに、保有する濃縮ウランを300キロに限定すること
③プルトニウム製造に関しては、アラク重水炉は兵器級プルトニウムを製造しないよう再設計・改修し、使用済核燃料は国外へ搬出すること
④研究開発を含め使用済核燃料の再処理は行わず、再処理施設も建設しないこと
などが含まれる。ジョン・ケリー米国務長官(当時)によれば、本合意により、イランのブレークアウトタイム(核兵器1個分の核燃料の製造にかかる期間)は、JCPOA以前の90日以下から、1年以上になる。
また、JCPOAはあくまで核問題にかかる合意であるため、国際テロ、ミサイル、人権問題などにかかる制裁は停止または解除されるものに含まれない。
これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は2015年10月の国連総会の一般討論演説において、イランの核合意は戦争の可能性を高めているとして激しく非難した。
また、米国においては、議会の過半数を占める共和党が合意に反対していたが、大統領の拒否権を覆す上下両院での3分の2以上の不承認支持には至らず、合意の不承認は回避された(『令和元年版防衛白書』184頁)。
トランプ米大統領は2018年5月、現在のイランとの合意では、完全に履行されたとしても短期間で核兵器を完成させる寸前までたどり着ける、また、弾道ミサイル開発への対応に失敗しているなどと指摘したうえで、米国は合意から離脱すると表明した。
トランプ政権は同年11月に、JCPOAの下で解除されていた制裁をすべて再開するとともに、米国はイランと新しくより包括的な合意(ディール)を行う用意があるとし、イランに対して交渉のテーブルに着くことなどを要求している。
一方、イランは米国による制裁の再開に反発し、2019年5月、JCPOAから離脱するつもりはないとしつつ、JCPOAの一部義務の停止を発表した。
これを受け、米国はイランに対し鉄鋼やアルミニウムなどの分野で新たな制裁を科した。
また、同月、米国は自国の部隊や利益などに対するイランの脅威に対応するためとして、空母打撃群及び爆撃機部隊などを米中央軍に派遣するなど、両国の間では緊張が高まっていた。
その最中の2019年5月12日にオマーン湾に面したフジャイラ沿岸で4隻の民間船舶が攻撃されるという事件が発生した。米国はイランまたはその代理勢力が実施したと指摘する一方、イランはこれを否定している。
2019年6月13日にホルムズ海峡で日本とノルウェーの運航するタンカー2隻に対して何者かが攻撃するという事件が発生した。この日は、安倍晋三首相がイランの最高指導者アリー・ハメネイ師と会談をしていた当日だった。
同6月20日、米国の無人偵察機がホルムズ海峡上空でイランの地対空ミサイルに撃墜される事案も発生した。
米国は、同機が国際空域で撃墜された旨主張する一方、イランは同機が領空侵犯したために撃墜したと主張している(同上書、184~185頁)。
この無人機撃墜に関しトランプ米大統領は、2019年6月21日朝、ツイッターで、米軍が前日夜にイランへの軍事攻撃の準備を進めていたが、開始10分前に中止させたと発表している。
その理由について、軍事攻撃により150人が犠牲になると聞かされたためとし、「無人機に対する報復としては相応ではない」と述べている。
2019年9月にはサウジアラビアの石油施設がドローンなどの集中攻撃を受け、10月にはイランのタンカーが紅海で攻撃されて爆発炎上するなどの事案が相次いで起こった。
他方2019年には、イランが支援するイエメンのフーシ派によるサウジ国内へのミサイルなどによる攻撃も頻発している。
そのような緊張状態が続く中、冒頭に述べたような一連の事案が昨年末から起こり、終に1月3日のソレイマニ司令官殺害に至った。
このような一連の緊張状態を招く最初のきっかけとなったのは、これまでの経緯から見て、2018年5月のトランプ大統領によるイランとのJCPOA、いわゆる核合意の廃棄にあったと言える。
EU、ドイツ、フランス、英国、ロシア、中国は核合意の存続を目指してきた。また、国際原子力機関(IAEA)からの報告によれば、イランは核合意の条件を順守していた。
核合意離脱後に米国が新たな制裁を発動した後も、イランは核合意の順守を続けるとともに、その存続に向けて各国の指導者らと交渉を続けた。
だが米国の核合意からの離脱から1年経った昨年5月以降は、段階的に合意条件を破ってきた。
イランが、核合意の制限を全面的に順守しないと決めたのは、ソレイマニ司令官が米軍に殺害されたためである(『ニューズウィーク日本版』2020年1月6日)。
イランの英字紙『テヘラン・タイムズ』は1月5日、イラン政府の発表として「今後イランはウラン濃縮および核燃料の備蓄、そして核の研究開発のレベルに対するいかなる制限にも縛られない」と伝えた。
イランのジャバド・ザリフ外相も、核合意の下での制限を今後順守しないという同国の決定をツイートしている。
加速が予想されるイラン核開発
もしイランが核合意の制限に縛られないとすれば、核合意の効果として「イランのブレークアウトタイム(核兵器1個分の核燃料の製造にかかる期間)は、JCPOA以前の90日以下から、1年以上になる」ことが期待できなくなる。
すなわち、イランのブレークアウトタイムは再び「90日以下」に戻ることになる。
そうなれば、イスラエルにとり国家の存続に関わる危機が訪れることになり、イランが核爆弾1個分の核燃料の製造を完了する前に、先制空爆その他の方法により、イランから核開発能力を奪おうとする誘因が高まるであろう。
トランプ大統領も、1月8日のイランのミサイル攻撃後の声明の中で、イランには「核兵器は持たせない」と明言している。
また2019年6月に米NBCテレビの番組の中でも、イランと目指す合意とは「イランに核兵器を持たせないことだ」と発言。
イランを5月に訪問した安倍晋三首相を通じ、同国最高指導者のハメネイ師に「核は持たせない。ただ、他については交渉で取引できる」と伝えたことを明らかにしている(『産経新聞ニュース』2019年7月6日)。
トランプ政権が、イランに核兵器を持たせないという絶対条件を譲らず、イランが今回の核合意の制限破棄声明を貫けば、いずれイスラエルと米国による、イランの核開発能力を破壊するための、何らかの先制的阻止行動あるいは軍事行動がとられることは必至であろう。
またその時期は、イランが1個分の核分裂物質を保有する可能性のある3カ月以内ということになる。イスラエルとしては努めて早期に阻止行動をとりたいであろう。
その場合にイスラエルがとりうる行動の選択肢としては、行動の烈度の順に以下のような選択肢がありうる。
①サイバー攻撃による、核関連施設の破壊、イランの革命防衛隊、弾道ミサイル基地などの核作戦に関する指揮通信・統制システムの制圧など
(2010年に発見されたスタックス・ネットによるイランの核施設への高度のサイバー攻撃には、イスラエルが関与していたとみられている。いまもイスラエルはサイバー攻撃を行える高度の能力があるとみられる)
②無人機、特殊部隊の破壊工作などによる要人の殺害、特に核関連部隊の指揮官、核物理学者など枢要な人物の殺害
(かつてイランの核物理学者が暗殺されたことがあり、今回のソレイマニ司令官の殺害もこの型の暗殺作戦とみられる。イランの場合、中心になって高度の指揮能力や核開発能力を発揮できる人材は少ないため、打撃が大きい)
③多数の無人機、あるいは無人機と有人機を併用した精密空爆による核関連施設、指揮通信組織などの中枢施設の破壊
(イスラエルは、1981年にイラクのオシラクに建設中のプルトニウム生産用とみられる原子炉を、2007年にはシリアの建設途上の原子炉を、ともに精密空爆により破壊した実績がある。近年は無人機を多用し、レーダ網をかいくぐり奇襲する空爆作戦が多用される傾向にある)
④特殊部隊および正規軍を限定使用した、ペルシア湾内の離島など小規模の拠点に対する限定地上攻撃
(このような攻撃ではイランの核能力は奪えず、他方でイラン側の本格的報復攻撃を誘発するリスクがあり、効果的作戦とは言えない)
⑤空爆では破壊できないイラン本土内の地下の核施設、指揮統制・通信中枢、ミサイル基地などの破壊を目的とする、限定地上攻撃
(効果は⑥より大きいが、イラン側の迅速な反撃が予想され、イスラエル軍の対処能力に限界がある。地上戦支援のために、ペルシア湾や近海からの米海軍艦艇による巡航ミサイル攻撃、米空母艦載機による空爆も必要になるとみられる)
⑥ペルシア湾の機雷戦、潜水艦戦などによる海上封鎖
(この場合は米海軍の支援が不可欠になるとみられる。また、米同盟諸国の同湾内からの原油などの積み出しも制約される)
⑦本格的な地上戦を伴う攻撃
(この場合は数十万人以上の人的戦力が必要で、米軍だけではなく多国籍軍による攻撃も必要になる)
以上の選択肢のうち、①、②、③まではこれまでイスラエルが行った実績もあり、今もより高度の能力がイスラエルにはあるとみられ、実行される可能性は高い。
ただし、100カ所以上はあるともみられているイラン側の核関連施設の多くは地下にあり、それらの数、位置、規模などの細部は不明であろう。
そのため、効果は限定的なものにとどまり、イランの核能力を完全に奪うことはできないであろう。
イランはイラクの米軍施設に対する報復攻撃で見せたように、十発以上の改良型スカッド級の弾道ミサイルを同時に比較的正確に発射し目標に命中させる能力を持っている。サウジの石油施設攻撃では、無人機の多数運用能力もあることを示している。
秘匿が容易な移動式弾道ミサイルや無人機を先制攻撃で一挙に破壊することはできない。これらのイラン側の残存報復能力をみれば、イスラエルや湾岸に展開する米軍に対する何らかの報復なしに、一方的にイランが制圧される可能性は低い。
また報復に際しては、シリアのアサド軍が多用した化学兵器が使用される可能性もある。核兵器の可能性は低いが、隠蔽された軍用原子炉で密かに核分裂物質を生産し、核実験なしでそれらが弾頭に搭載される可能性も、時間とともに無視できなくなる。
したがって、④から⑦の選択肢を採ることによるリスクは大きく、イスラエルがこれらの選択肢を実行する可能性は高くない。
特に、米軍の本格的な長期の支援が必要になる⑥と、多国籍軍の大規模な地上兵力が必要となり、大量の死傷者が予想される⑦の攻撃には、トランプ政権は同意しないであろう。
また英独仏は1月4日、対イラン国連制裁の再開に道を開く「紛争解決手続き」を発動したとの共同声明を発表しているが、核合意継続を望んでおり派兵には同意しないであろう。ペルシア湾岸諸国も紛争のエスカレートや長期化は望んでいないとみられる。
また⑥や⑦の場合は、中露はイランへの武器援助、経済支援などを行う可能性があり、紛争が長期化し、場合により軍事紛争がエスカレートする危険性もある。
⑥、⑦など最悪のシナリオは米国、イランも望んでいるとはみられず、実現の可能性は低い。
しかし、イスラエルなどの限定的な攻撃に対するイラン側の対応によっては、ペルシア湾での機雷敷設といった事態はありうる。その場合は、石油価格が急騰し、ペルシア湾の石油輸出ルートが長期にわたり安全に使用できなくなるであろう。
全般的には、イスラエル側のイランの核化阻止のために採りうる行動の選択肢の効果には限界があり、イランの核能力を一時的に制限しあるいは遅延はできても、完全阻止は困難であろう。
唯一可能性があるのは、イランのイスラム共和制が民主化運動により倒されることである。
ウクライナ機誤爆をめぐる体制批判がいまイラン国内で起きているが、その動きがどこまで広がるのか、体制側がいつかの時点で革命防衛隊などによる武力弾圧に踏み切るのか、あるいは譲歩するのか、体制変革まで進むのかが注目される。
わが国の採るべき対応
今年1月10日、海上自衛隊の中東派遣命令が発出された。
日本の輸入原油の9割近くが中東からの来ており、原発の稼働が遅れている現状では、わが国のエネルギーの8割以上を原油に依存せざるを得ない。日本の生存と繁栄にとり、中東原油の輸入ルートの安全確保と中東地域の安定は死活的要請である。
そのために海上自衛隊を派遣した今回の政府の対応は当然のことと言えよう。また、独自派遣にとどめ、その任務を調査研究と限定したのも、やむを得ない選択とみられる。
イランとも友好関係を維持してきたわが国の立場と、地域の安定化を必要とする、わが国の安全保障上の要請を考慮すれば、有志連合には加わらないとの選択は正しい。
他方で米国の信頼を得るために、収集した情報を米側に提供するという対応も、妥当な措置と思われる。
ただし、今後数カ月以内に、イスラエルがイランの核化阻止のために、軍事行動を含む何らかの阻止行動を採る可能性は高まっている。
その際に日本のタンカーが巻き込まれ、あるいは海上自衛隊が行動する海域に紛争の影響が波及する可能性もある。
その場合の対応行動としては、情報の収集にとどまらず、日本のタンカーの保護、警護も必要になるであろう。場合により敵性国とみられて海上自衛隊艦艇も攻撃の対象になるおそれもないとは言えない。
おそらく紛争は、地理的にも時間的にも烈度の面でも限定的なものにとどまる可能性が高いとみられるが、いかなる状況変化にも対応しうる柔軟性と即応性が求められる。
その場合は、過度に現場指揮官の裁量権を拘束するのではなく、指揮官に必要な権限を委譲して自主裁量の余地を与え、危機に即時に的確に対応し、危機を拡大させることなく早期に収束に向かわせることが、危機対応上は重要になると思われる。
それと同時に、政府としては、入手しえた最新の情報に基づき、大局に立った冷静な政治的戦略的判断を下し、必要な場合は、任務と権限を変更するなど、新たな行動命令を、機を失することなく発令することが必要になるであろう。
長期のエネルギー安全保障の観点からみれば、過度に中東原油にわが国のエネルギーを依存している現在の態勢を改めねばならない。
その代替エネルギーを、不安定で自然災害の多発する新エネルギーに期待することには限界がある。
1割以下に低下しているわが国のエネルギー自給率を高めるためにも、準国産エネルギーである原発の早期再稼働を進めねばならない。
原発の再稼働は地球温暖化防止のためにも必要である。その決断がいま求められている。
https://youtu.be/XEGWxLXOAaM
【DHC】2020/1/22(水) 上念司×ケント・ギルバート×居島一平【虎ノ門ニュース】より
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00:44:20 極秘スクープ!孔大使が・・・
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上念:この虎ノ門ニュースで、色んな人が言ってますけど、習近平の国賓訪日阻止、ねぇ、来たらイカンと。
居島:と、申しますか、大反対という
上念:大反対、盛り上がってますねぇ。国会議員もチョッとヤバイと思って、やめた方が良いんじゃないかみたいな事を言ってる人が大分増えてきたんですよ。
で、この運動が効いているか、効いてないか。
効いてます。メッチャ効いてます。その証拠にこの孔大使がねぇ、1階じゃないフロアーで。
ケントギルバート:1階じゃないのか。
上念:1階でもないです。3階でもないですよ。
ケントギルバート:あぁ、もっと上だ。
居島:1階と3階の間の…
上念:良く分からない…まぁ、色々ありますけどね。まぁ、メガニン(?)っていう様な階もあったりするんで。まぁ、必ずしもあの階とは言いませんけど。
あの1階じゃないフロアーでね、この孔大使がね、極秘にそのフロアーに行きまして。「イヤァ、あの運動、チョッと困っているんで、抑えてくんねぇか」と。昨日か一昨日、お願いしたらしいんですよ。
居島:そんな依頼を?
上念:イヤ、1階か2階で言ったんで、そこに居た人だと思うんですけどねぇ。アッ、ヤベェ…言っちゃった。1階じゃないです。絶対に1階じゃないですよ。1階じゃないフロアーでお願いをして、その場に居た…まぁ大物国会議員です。
かなりの大物国会議員。今回IR疑惑で逃げ切ったと言われている…あの人に…僕は誰とは名前言ってませんから。俺の事殺そうと思ってる人、俺、名前言ってないからな。俺を殺すなよ。俺は名前を言ってないぞ。場所を言っただけですからね。
ある建物の…どの建物が知りませんよ。まぁ、多分、1階でもなく、3階でもないフロアーで
居島:ある場所ですよねぇ。
上念:で、あれは困るからと。何とか抑えてくれと言ったらしいんです。こうやってね、極秘にそういう事を打診しに来るって事は、余程効いているんですよ。なので、国会議員の皆さんで、そのもう、ホントに良いのかって、もう聞いている人いますよね、何人か。
ああいう人たち、もっと応援しないとイケナイですし、それを言っていない地元の国会議員が居たら、「てめぇ、なんで言わないんだよぉ!」ってジャンジャン事務所に電話をして頂けると、又、あのフロアに来ると思うんですね。
居島:そういう陳情をね、重ねてもらえると
上念:陳情にに来るって事は、メッチャ効いていると。で、これ高橋洋一先生が言ってたんですけど4月に訪日するって言うんですけど、何日に来るか未だ分かんないんですよね。
天皇陛下のスケジュールってメッチャ忙しいんですよ。国賓で来るからには、陛下のスケジュールを開けなきゃならないんですけど、何日って言って頂かないと、チョッと。
ケントギルバート:忙しいって言って、断ればイイんだよ。
上念:ねぇ、何日か分かんないでしょ。
居島:桜の咲く頃っていうボンヤリした言い方しかされてませんよね。
上念:となるとね、未だ、これ、ひっくり返せる余地があるという事ですよ。ねぇ、ゼロじゃない。
しかもこの運動大分効いてて、「こんな奴来て良いのか」と。「歴史上の汚点になる」ってね。昨日も言ってましたよね、百田さん。
居島:仰ってましたね。
ケントギルバート:もしも来るとしたらね、その時に、大デモが起きたら、すっごい顰蹙ですよね。中国としてもね。
上念:そうですよね。大恥かきますよ、習近平来たら。俺らは習近平のお面で出迎えますからね。全力で。全力で習近平のお面で出迎えて、で、「台湾の蔡英文総統、おめでとう」みたいな感じで、皆で言いまくって。
居島:マダムヤンみたいなね、こんな大きい奴被りたいです。大きい奴。
上念:あのぉ、自民党からもね、祝辞が出ましたよね、確か。その…台湾関係仲良いみたいなね。有志の人から、「当然おめでとうございます」みたいな出てますから。そんなね、2つのチャイナっていう原則でやってる奴らが与党占めてる国に、来ちゃって大丈夫なの、習近平様と。
心から、私、習近平様の事心配しているんですよ。小学生の様なピュアな心と頭脳を持ってらっしゃる習近平様ですから、
ケントギルバート:トランプに聞こえるんだよ、それ。トランプ大統領、いつでも習近平を褒めてるんじゃないですか。褒め殺しだけど。
上念:僕ね、心から、心から、そのピュアな心と頭脳をね、尊敬申し上げているので。外交の天才ですからね。
居島:気の毒でしたね、名前が誤訳されてShit Hokeなんて言われて
上念:そうですねぇ、クソの穴みたいなね。
居島:どうやったら、そんな間違いを
居島:誤訳ですからねぇ。
上念:Welcomeって言って。Welcome Shit Holeみたいな。
ケントギルバート:これ、問題!フェースブックで止められるよ。問題発言で。
上念:僕が言ったんじゃないですよ。フェースブックが誤訳したのが悪いんですよ。今の話も、別に…という話を聞きましたと。
居島:ハイ、そうです。
上念:誰に…誰に…孔大使が誰に会ったかって、一言も言ってませんよね。皆さんのイマジネーションで誰かをイメージして。それはそれは、日本は思想信条自由ですから。これでどんな憶測をして様が、勝手ですよ。
私はただ場所を、1階とか3階とかじゃないって言っただけの話ですから。勿論4階でも、5階でもないですよ。それは。
居島:あくまでも、受け取る側の判断ですからね。
上念:25階でもなければ、31階でもありません。
居島:もう、宜しいじゃないですか、もう。
上念:何処なんだかもう、全然分かんない。でも、わざわざ来るって、この意味を皆さんよく考えて下さい。ネッ。どれ位効いてんのかなぁって思ったら、意外に効いてる。
ケントギルバート:効いてますね。
居島:ボディブローどころではないかもしれないというね。
00:27:40 イラン 保守強硬派が勢力伸長か 国会選挙まで1カ月/レバノンでデモ隊と治安部隊が衝突 の中での上念さんのお勧めのサイトにある矢野義明氏の記事はこちら(冒頭のリンクが切れていた場合はこちらでお読み下さい。コピーです。
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イスラエルによるイラン攻撃の可能性高まる
米国とイランの対立激化のもたらすもの
2020.1.21(火)
矢野 義昭
アメリカ 中東・アフリカ 安全保障
イランのモスク
米国とイランの間の緊張状態が昨年末から急速に高まっている。
昨年の12月27日には、イランがイラク北部のイラク軍基地を攻撃して米国民間人1人が死亡し、米国軍兵士4人が負傷した。
12月29日には、米軍がイラクのシーア派武装組織の拠点を空爆し、5カ所で少なくとも25人が死亡した。
さらに、12月31日には、イランがイラクの首都バグダッドにある米国大使館を襲撃するという事件が発生している。
今年1月3日付の『ロイター通信日本版』は、「イラク国内では、米軍部隊が駐留する基地に対しイランの支援を受けた組織による攻撃が増加、その手段も高度化している。ある米軍高官は昨年12月11日、あらゆる当事者が統御不可能なエスカレーションへと追いやられている、と語った」と報じている。
米国は、そのエスカレーションの元凶となっている中心人物を、イラン革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」を率い、イランが国外で支援している中東各地のシーア派武装組織のテロや破壊活動の総指揮をとっていたカセム・ソレイマニ司令官とみていた。
ついに今年に入り1月3日に、米軍はイラクの首都バグダッドでソレイマニ司令官を殺害した。これに対する報復として、1月8日にイランが弾道ミサイル攻撃をイラク国内の2カ所の米軍基地に対して加えた。
同8日にウクライナ機が撃墜され乗客176人全員が死亡するという事件も起きている。今後の中東情勢がどこに向かうのだろうか?
米国とイランの緊張状態
当面どうなるのか?
ソレイマニ司令官の殺害について1月3日、イラン政府は「厳しい復讐」を誓ったが、これに対しドナルド・トランプ米大統領は、「戦争を始めるためでなく、止めるため」だったと述べている。
またトランプ大統領は8日、イランのミサイル攻撃については、米国人やイラク人の人的被害はなく、わずかの損傷にとどまったとし、「イランは戦闘態勢から引く様子だ」と語っている。
米国は10日にイランに対する追加制裁を公表しているが、軍事報復については言及されていない。これらの対応には、イランとの新たな軍事衝突は避けたいとのトランプ大統領の意向が反映されている。
米国はいま、北朝鮮の核開発をめぐり北東アジアで緊張の火種を抱えている。
また、次期大統領選挙を控えて、トランプ大統領としては、中東でもイランとの新たな戦端を開き、19年間戦い続けてまだ解決の見通しの立たない中東での泥沼のテロとの戦いをさらに拡大することは避けたいと思われる。
選挙前に、新たな対外強硬政策を採り国民の結束を求めて、支持率を高めるという手法は、しばしば歴代の米大統領により用いられてきた。
確かに、トランプ大統領は軍備拡大には熱心である。2020年度の米国防予算の上限枠は史上最大規模の7380億ドルに達している。
しかし、同時にトランプ大統領は大統領選予備選挙の時代から「戦争は最後の手段」であると明言しており、新たな戦争の開始や拡大には慎重である。
2019年6月20日『ニューヨークタイムズ』紙は、「トランプ氏はこれまで、泥沼化したイラク戦争を「避けられた大失態」と批判し、米軍の海外活動を縮小する方針を示している。
イランとの戦争についても、望まないとの意向を繰り返し表明してきた」と報じている。
無人機攻撃によるテロリストの殺害は、バラク・オバマ政権に引き続き、トランプ政権でも重視されている。
今回のソレイマニ司令官の殺害も、アブバクル・バグダディの殺害に次ぐ、米国にとっての「世界一のテロリスト」の殺害だった。
1月3日付の『ロイター通信日本版』は、「ソレイマニ司令官は、イラク側協力者のトップであるアブ・マフディ・アル・ムハンディス氏をはじめとする民兵組織有力幹部に、イランが提供する先進的な兵器を使ってイラク駐留米軍への攻撃を強化するよう指示した」と報じている。
また、1月3日、米政府の要人が、ソレイマニ司令官が「米国の陸空海軍・海兵隊の将兵、外交官らに対する攻撃を計画していた」と語ったと報じている。
このようなソレイマニ司令官の、米軍の新たな損害を招きかねない挑発行為が、米軍の殺害作戦を誘発したと言える。
ソレイマニ司令官殺害に対し、イランと同一宗派のシーア派が主導権を握っている現イラク政権は反発した。
イラクのアブドルマハディ暫定首相は、ソレイマニ司令官とイラク側のムハンディス氏がともにイラク国内で殺害されたことから、「イラクの主権に対する言語道断の侵害だ」と非難した。
イラク国会は1月5日、外国軍部隊の駐留終了を求める決議を採択した。ただし、投票に参加したのはシーア派系の議員が主体だった。
トランプ米大統領は、イラク政府が駐留米軍の撤収を正式に求めてきた場合には「厳しい制裁を科す」と警告しているものの、その後イラク政府と米国の間の対立激化の様子は見られない。
これまでトランプ政権が新たに行った軍事作戦としては、2017年4月、シリアでの民間人に対する化学兵器攻撃への報復として、巡航ミサイルにより、化学兵器攻撃を加えたとするシリア空軍基地施設の破壊を行った程度に過ぎない。
この際にも、ロシア政府やアサド政権に事前通告を行い、目標としては人的被害を招かない施設のみを慎重に選定している。
同様の手法が、今回のイランによる、イラク内米軍基地に対する弾道ミサイル攻撃でも模倣された点は、興味深い。
イランとしては、米軍同様に、慎重に選定された目標を正確に即座に攻撃できると、力を誇示しつつも、他方で、慎重に米軍の人的被害を回避し、米側を挑発して軍事行動に踏み切らせないよう配慮している。
イラン指導部の対応には、硬軟両様のバランスをとった巧みな戦略判断に立ち、一応報復攻撃に出て国内外の強硬派をなだめつつも、米国への挑発を慎重に回避しようとする姿勢が窺われる。
イラン国営テレビが1月8日、「15発のミサイルを発射し、少なくとも80人の米国のテロリストが死亡した」と発表したのは、国内外の対米強硬派をなだめるための宣伝とみられる。
ウクライナ機の撃墜についても、事件3日後の10日にイラン政府は、誤って撃墜したことを認めている。
当初、イランのミサイルは命中していないと断言していたが、速やかに撃墜を認めたイラン側の姿勢から見ても、イランが事態の鎮静化を望んでいることが窺われる。
イランは、トランプ政権の核合意破棄に伴い再開された経済制裁により、国内経済がインフレが進むなど疲弊しており、指導部としても、いままた米国を挑発して本格的な戦いに入ることは望んでいないであろう。
またイランとしては、米大統領選挙を控えたトランプ政権は、本格的なイランとの戦争を望んでいないと読んでいるかもしれない。
あるいは米大統領選挙で民主党候補が勝利し、オバマ政権により締結された核合意に米国が復帰することに望みを託し、イランとしてはあえて米国を挑発せず、事態を静観するとの姿勢なのかもしれない。
以上のような米国とイラン双方の対応姿勢から見ると、事態は当面は沈静化に向かっていくと言えよう。
核合意の制限破棄を明言したイラン
しかし大きな問題が潜在している。それはイランがソレイマニ司令官殺害を受け、包括的共同作業計画(JCPOA)、いわゆる核合意に基づく、ウラン濃縮の上限にとらわれないと表明している点である。
2015年7月に発表されたJCPOAにおけるイランに対する主な核関連の制約としては、
①ウラン濃縮関連では、ウラン濃縮のための遠心分離機を5060基以下に限定すること
②ウラン濃縮の上限を3.67%にするとともに、保有する濃縮ウランを300キロに限定すること
③プルトニウム製造に関しては、アラク重水炉は兵器級プルトニウムを製造しないよう再設計・改修し、使用済核燃料は国外へ搬出すること
④研究開発を含め使用済核燃料の再処理は行わず、再処理施設も建設しないこと
などが含まれる。ジョン・ケリー米国務長官(当時)によれば、本合意により、イランのブレークアウトタイム(核兵器1個分の核燃料の製造にかかる期間)は、JCPOA以前の90日以下から、1年以上になる。
また、JCPOAはあくまで核問題にかかる合意であるため、国際テロ、ミサイル、人権問題などにかかる制裁は停止または解除されるものに含まれない。
これに対し、イスラエルのネタニヤフ首相は2015年10月の国連総会の一般討論演説において、イランの核合意は戦争の可能性を高めているとして激しく非難した。
また、米国においては、議会の過半数を占める共和党が合意に反対していたが、大統領の拒否権を覆す上下両院での3分の2以上の不承認支持には至らず、合意の不承認は回避された(『令和元年版防衛白書』184頁)。
トランプ米大統領は2018年5月、現在のイランとの合意では、完全に履行されたとしても短期間で核兵器を完成させる寸前までたどり着ける、また、弾道ミサイル開発への対応に失敗しているなどと指摘したうえで、米国は合意から離脱すると表明した。
トランプ政権は同年11月に、JCPOAの下で解除されていた制裁をすべて再開するとともに、米国はイランと新しくより包括的な合意(ディール)を行う用意があるとし、イランに対して交渉のテーブルに着くことなどを要求している。
一方、イランは米国による制裁の再開に反発し、2019年5月、JCPOAから離脱するつもりはないとしつつ、JCPOAの一部義務の停止を発表した。
これを受け、米国はイランに対し鉄鋼やアルミニウムなどの分野で新たな制裁を科した。
また、同月、米国は自国の部隊や利益などに対するイランの脅威に対応するためとして、空母打撃群及び爆撃機部隊などを米中央軍に派遣するなど、両国の間では緊張が高まっていた。
その最中の2019年5月12日にオマーン湾に面したフジャイラ沿岸で4隻の民間船舶が攻撃されるという事件が発生した。米国はイランまたはその代理勢力が実施したと指摘する一方、イランはこれを否定している。
2019年6月13日にホルムズ海峡で日本とノルウェーの運航するタンカー2隻に対して何者かが攻撃するという事件が発生した。この日は、安倍晋三首相がイランの最高指導者アリー・ハメネイ師と会談をしていた当日だった。
同6月20日、米国の無人偵察機がホルムズ海峡上空でイランの地対空ミサイルに撃墜される事案も発生した。
米国は、同機が国際空域で撃墜された旨主張する一方、イランは同機が領空侵犯したために撃墜したと主張している(同上書、184~185頁)。
この無人機撃墜に関しトランプ米大統領は、2019年6月21日朝、ツイッターで、米軍が前日夜にイランへの軍事攻撃の準備を進めていたが、開始10分前に中止させたと発表している。
その理由について、軍事攻撃により150人が犠牲になると聞かされたためとし、「無人機に対する報復としては相応ではない」と述べている。
2019年9月にはサウジアラビアの石油施設がドローンなどの集中攻撃を受け、10月にはイランのタンカーが紅海で攻撃されて爆発炎上するなどの事案が相次いで起こった。
他方2019年には、イランが支援するイエメンのフーシ派によるサウジ国内へのミサイルなどによる攻撃も頻発している。
そのような緊張状態が続く中、冒頭に述べたような一連の事案が昨年末から起こり、終に1月3日のソレイマニ司令官殺害に至った。
このような一連の緊張状態を招く最初のきっかけとなったのは、これまでの経緯から見て、2018年5月のトランプ大統領によるイランとのJCPOA、いわゆる核合意の廃棄にあったと言える。
EU、ドイツ、フランス、英国、ロシア、中国は核合意の存続を目指してきた。また、国際原子力機関(IAEA)からの報告によれば、イランは核合意の条件を順守していた。
核合意離脱後に米国が新たな制裁を発動した後も、イランは核合意の順守を続けるとともに、その存続に向けて各国の指導者らと交渉を続けた。
だが米国の核合意からの離脱から1年経った昨年5月以降は、段階的に合意条件を破ってきた。
イランが、核合意の制限を全面的に順守しないと決めたのは、ソレイマニ司令官が米軍に殺害されたためである(『ニューズウィーク日本版』2020年1月6日)。
イランの英字紙『テヘラン・タイムズ』は1月5日、イラン政府の発表として「今後イランはウラン濃縮および核燃料の備蓄、そして核の研究開発のレベルに対するいかなる制限にも縛られない」と伝えた。
イランのジャバド・ザリフ外相も、核合意の下での制限を今後順守しないという同国の決定をツイートしている。
加速が予想されるイラン核開発
もしイランが核合意の制限に縛られないとすれば、核合意の効果として「イランのブレークアウトタイム(核兵器1個分の核燃料の製造にかかる期間)は、JCPOA以前の90日以下から、1年以上になる」ことが期待できなくなる。
すなわち、イランのブレークアウトタイムは再び「90日以下」に戻ることになる。
そうなれば、イスラエルにとり国家の存続に関わる危機が訪れることになり、イランが核爆弾1個分の核燃料の製造を完了する前に、先制空爆その他の方法により、イランから核開発能力を奪おうとする誘因が高まるであろう。
トランプ大統領も、1月8日のイランのミサイル攻撃後の声明の中で、イランには「核兵器は持たせない」と明言している。
また2019年6月に米NBCテレビの番組の中でも、イランと目指す合意とは「イランに核兵器を持たせないことだ」と発言。
イランを5月に訪問した安倍晋三首相を通じ、同国最高指導者のハメネイ師に「核は持たせない。ただ、他については交渉で取引できる」と伝えたことを明らかにしている(『産経新聞ニュース』2019年7月6日)。
トランプ政権が、イランに核兵器を持たせないという絶対条件を譲らず、イランが今回の核合意の制限破棄声明を貫けば、いずれイスラエルと米国による、イランの核開発能力を破壊するための、何らかの先制的阻止行動あるいは軍事行動がとられることは必至であろう。
またその時期は、イランが1個分の核分裂物質を保有する可能性のある3カ月以内ということになる。イスラエルとしては努めて早期に阻止行動をとりたいであろう。
その場合にイスラエルがとりうる行動の選択肢としては、行動の烈度の順に以下のような選択肢がありうる。
①サイバー攻撃による、核関連施設の破壊、イランの革命防衛隊、弾道ミサイル基地などの核作戦に関する指揮通信・統制システムの制圧など
(2010年に発見されたスタックス・ネットによるイランの核施設への高度のサイバー攻撃には、イスラエルが関与していたとみられている。いまもイスラエルはサイバー攻撃を行える高度の能力があるとみられる)
②無人機、特殊部隊の破壊工作などによる要人の殺害、特に核関連部隊の指揮官、核物理学者など枢要な人物の殺害
(かつてイランの核物理学者が暗殺されたことがあり、今回のソレイマニ司令官の殺害もこの型の暗殺作戦とみられる。イランの場合、中心になって高度の指揮能力や核開発能力を発揮できる人材は少ないため、打撃が大きい)
③多数の無人機、あるいは無人機と有人機を併用した精密空爆による核関連施設、指揮通信組織などの中枢施設の破壊
(イスラエルは、1981年にイラクのオシラクに建設中のプルトニウム生産用とみられる原子炉を、2007年にはシリアの建設途上の原子炉を、ともに精密空爆により破壊した実績がある。近年は無人機を多用し、レーダ網をかいくぐり奇襲する空爆作戦が多用される傾向にある)
④特殊部隊および正規軍を限定使用した、ペルシア湾内の離島など小規模の拠点に対する限定地上攻撃
(このような攻撃ではイランの核能力は奪えず、他方でイラン側の本格的報復攻撃を誘発するリスクがあり、効果的作戦とは言えない)
⑤空爆では破壊できないイラン本土内の地下の核施設、指揮統制・通信中枢、ミサイル基地などの破壊を目的とする、限定地上攻撃
(効果は⑥より大きいが、イラン側の迅速な反撃が予想され、イスラエル軍の対処能力に限界がある。地上戦支援のために、ペルシア湾や近海からの米海軍艦艇による巡航ミサイル攻撃、米空母艦載機による空爆も必要になるとみられる)
⑥ペルシア湾の機雷戦、潜水艦戦などによる海上封鎖
(この場合は米海軍の支援が不可欠になるとみられる。また、米同盟諸国の同湾内からの原油などの積み出しも制約される)
⑦本格的な地上戦を伴う攻撃
(この場合は数十万人以上の人的戦力が必要で、米軍だけではなく多国籍軍による攻撃も必要になる)
以上の選択肢のうち、①、②、③まではこれまでイスラエルが行った実績もあり、今もより高度の能力がイスラエルにはあるとみられ、実行される可能性は高い。
ただし、100カ所以上はあるともみられているイラン側の核関連施設の多くは地下にあり、それらの数、位置、規模などの細部は不明であろう。
そのため、効果は限定的なものにとどまり、イランの核能力を完全に奪うことはできないであろう。
イランはイラクの米軍施設に対する報復攻撃で見せたように、十発以上の改良型スカッド級の弾道ミサイルを同時に比較的正確に発射し目標に命中させる能力を持っている。サウジの石油施設攻撃では、無人機の多数運用能力もあることを示している。
秘匿が容易な移動式弾道ミサイルや無人機を先制攻撃で一挙に破壊することはできない。これらのイラン側の残存報復能力をみれば、イスラエルや湾岸に展開する米軍に対する何らかの報復なしに、一方的にイランが制圧される可能性は低い。
また報復に際しては、シリアのアサド軍が多用した化学兵器が使用される可能性もある。核兵器の可能性は低いが、隠蔽された軍用原子炉で密かに核分裂物質を生産し、核実験なしでそれらが弾頭に搭載される可能性も、時間とともに無視できなくなる。
したがって、④から⑦の選択肢を採ることによるリスクは大きく、イスラエルがこれらの選択肢を実行する可能性は高くない。
特に、米軍の本格的な長期の支援が必要になる⑥と、多国籍軍の大規模な地上兵力が必要となり、大量の死傷者が予想される⑦の攻撃には、トランプ政権は同意しないであろう。
また英独仏は1月4日、対イラン国連制裁の再開に道を開く「紛争解決手続き」を発動したとの共同声明を発表しているが、核合意継続を望んでおり派兵には同意しないであろう。ペルシア湾岸諸国も紛争のエスカレートや長期化は望んでいないとみられる。
また⑥や⑦の場合は、中露はイランへの武器援助、経済支援などを行う可能性があり、紛争が長期化し、場合により軍事紛争がエスカレートする危険性もある。
⑥、⑦など最悪のシナリオは米国、イランも望んでいるとはみられず、実現の可能性は低い。
しかし、イスラエルなどの限定的な攻撃に対するイラン側の対応によっては、ペルシア湾での機雷敷設といった事態はありうる。その場合は、石油価格が急騰し、ペルシア湾の石油輸出ルートが長期にわたり安全に使用できなくなるであろう。
全般的には、イスラエル側のイランの核化阻止のために採りうる行動の選択肢の効果には限界があり、イランの核能力を一時的に制限しあるいは遅延はできても、完全阻止は困難であろう。
唯一可能性があるのは、イランのイスラム共和制が民主化運動により倒されることである。
ウクライナ機誤爆をめぐる体制批判がいまイラン国内で起きているが、その動きがどこまで広がるのか、体制側がいつかの時点で革命防衛隊などによる武力弾圧に踏み切るのか、あるいは譲歩するのか、体制変革まで進むのかが注目される。
わが国の採るべき対応
今年1月10日、海上自衛隊の中東派遣命令が発出された。
日本の輸入原油の9割近くが中東からの来ており、原発の稼働が遅れている現状では、わが国のエネルギーの8割以上を原油に依存せざるを得ない。日本の生存と繁栄にとり、中東原油の輸入ルートの安全確保と中東地域の安定は死活的要請である。
そのために海上自衛隊を派遣した今回の政府の対応は当然のことと言えよう。また、独自派遣にとどめ、その任務を調査研究と限定したのも、やむを得ない選択とみられる。
イランとも友好関係を維持してきたわが国の立場と、地域の安定化を必要とする、わが国の安全保障上の要請を考慮すれば、有志連合には加わらないとの選択は正しい。
他方で米国の信頼を得るために、収集した情報を米側に提供するという対応も、妥当な措置と思われる。
ただし、今後数カ月以内に、イスラエルがイランの核化阻止のために、軍事行動を含む何らかの阻止行動を採る可能性は高まっている。
その際に日本のタンカーが巻き込まれ、あるいは海上自衛隊が行動する海域に紛争の影響が波及する可能性もある。
その場合の対応行動としては、情報の収集にとどまらず、日本のタンカーの保護、警護も必要になるであろう。場合により敵性国とみられて海上自衛隊艦艇も攻撃の対象になるおそれもないとは言えない。
おそらく紛争は、地理的にも時間的にも烈度の面でも限定的なものにとどまる可能性が高いとみられるが、いかなる状況変化にも対応しうる柔軟性と即応性が求められる。
その場合は、過度に現場指揮官の裁量権を拘束するのではなく、指揮官に必要な権限を委譲して自主裁量の余地を与え、危機に即時に的確に対応し、危機を拡大させることなく早期に収束に向かわせることが、危機対応上は重要になると思われる。
それと同時に、政府としては、入手しえた最新の情報に基づき、大局に立った冷静な政治的戦略的判断を下し、必要な場合は、任務と権限を変更するなど、新たな行動命令を、機を失することなく発令することが必要になるであろう。
長期のエネルギー安全保障の観点からみれば、過度に中東原油にわが国のエネルギーを依存している現在の態勢を改めねばならない。
その代替エネルギーを、不安定で自然災害の多発する新エネルギーに期待することには限界がある。
1割以下に低下しているわが国のエネルギー自給率を高めるためにも、準国産エネルギーである原発の早期再稼働を進めねばならない。
原発の再稼働は地球温暖化防止のためにも必要である。その決断がいま求められている。